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司法書士民法改正

民法改正と司法書士

2017年7月14日
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公開日:2017/07/14 | 最終更新日:2017/07/14

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最新の民法(相続関連)と(債権関連)の改正のポイントと実務対する影響について、確認してみましょう。

民法(相続関連)の改正

平成27年4月から法務大臣の諮問機関である法制審議会民法(相続関係)部会において検討が 開始されました。

配偶者の貢献に応じた遺産分割の実現

配偶者の貢献に応じた公平な遺産分割を実現するため、被相続人の財産を 実質的夫婦共有財産と固有財産(相続・贈与・婚姻前の預貯金など配偶者の貢献を考えることができない財産)に分け、実質的夫婦共有財産については遺産分割前に清算し(例えば妻の取り分を2分の1とする)、実質的夫婦共有財産の残りの部分と固有財産を合わせた財産について遺産分割の対象とする(子と配偶者が相続人の場合は、 例えば妻の相続分を現行法の2分の1より減らして3分の1とする)、などの方策が検討されています。

配偶者の相続分の見直し

相 続は、人の死亡を原因として発生します。もし遺言があれば遺 言に従って財産が相続されますが、遺言がない場合のために、民法は相続の順 位と割合を定めています。
これを法定相続人と法定相続分といいます。
法定相続人と法定相続分の順位と割合は下記の表のとおりです。

例えば、配 偶者(夫もしくは妻)と子供2人がいた場合には、現行法では子供が1/2(2 人で1/2を分け合うので各人の割合は1/4です)、配偶者は1/2となります。今回の相続法改正では、この法定相続分の割合を変更して、配偶者の相続分 を増やすということを検討しています。具体的には、子供が1/3(2 人で1/3を分け合うので各人の割合は166です)、配偶者は2/3となります。

なぜ法定相続分を増やすことを考えて いるかといいますと、近時高齢化が進展していることから、亡くなった人の財 産の形成や、維持に対する配偶者の貢献度が以前よりも大きくなったと考えられるからです。

寄与分制度の見直し

現行の相続制度では、相続人の 財産形成への貢献は寄与分制度によって考慮するしかなく、寄与分の適用にあたって は被相続人の財産の増加・維持について相 続人の特別の寄与を要件としているため、 前述のような療養看護による貢献は寄与分として考慮することが困難という事情がありました。 そこで、現行の寄与分制度に療養看護型の特別の寄与分制度を加えることが検討されています。

遺留分制度の見直し

遺留分とは、被相続人の遺言等によって他人に渡ってしまった財産のうち、法律で決められた割合を取り戻すことができる制度です。
遺産分割と異なり遺留分制度では寄与分を考慮して解決を図ることができないとされていますので、被相続人の財産形成に 貢献した相続人について公平を図ることができな いとの指摘もあります。

さらに、遺留分請求を扱う裁判所(地方裁判所) と遺産分割を扱う裁判所(家庭裁判所)が異なり、 相続に端を発する問題であるにも関わらず一つの裁判所で一回的な解決をすることができないという問題も生じています。 そこで、遺留分制度においても相続人間の実質的 な公平を図ることができるように、配偶者については実質的夫婦共有財産のうち自己の貢献分は確保するような方策や、遺産分割と遺留 分請求の事件の管轄を同一にするなどの方策が検討されています。

相続人以外の者の貢献の考慮

現行法上、寄与分は相続人のみに認められることになっていますが、相続人以外の者(例えば子の配偶者や甥、姪)による療養看護が長期にわたって行われることがあります。この場合、被相続人がその者へ遺贈をする、養子 縁組をするなどすれば療養看護を行った者に対してある程度の財産を遺すことができるようになるのですが、遺言・養子縁組共にその他の相続人との関係などから利用しにくい場合が多いと考えられます。 「相続人以外の者」の範囲や寄与の内容など、要件について慎重に検討がされています。

預貯金等可分債権の取扱い

被相続人の預貯金を払い戻すため、金融機関の書式に従い、相続人の印鑑証明書や 実印集めに奔走した経験のある方もいらっしゃると思います。これは、金融機関の書式を用いて遺産分割を行っているためです。実は、預貯金は可分債権ですから、遺産分割をしなくても相続と同時に法定相続分に従って相続人に帰属するとの最高裁判所の判例があり、この判例に基づけば相続人は自分の法定相続分について金融機関に預貯金の払戻を請求できることになるのですが、実際は前述したような遺産分割を行わないと金融機関は被相続人の口座の払戻に応じてもらえないこともあります。

また、原則預貯金について遺産分割の対象とならないとする判例があるにもかかわらず、不動産などの遺産について遺産分割を行う場合は、預貯金等が相続人間の調整をするための有効な手段となっていて、判例と現実との間には大きな隔たりがあると 考えられます。 そのため、預貯金を遺産分割の対象とする提案がされています。

自筆証書遺言について

ほとんどの遺言は、自筆証書遺言か公正証書遺言によってされています。このうち、 自筆証書遺言は文面のすべてについて遺言者が自署・押印しななければならないとされているため、記載ミスなどにより無効な遺言となってしまう事例が多いと言われて います。また、死期が迫った状況で遺言がされることも多く、体力の低下した高齢者 にとっては全文自筆することが困難との指摘、訂正方法が厳格過ぎるためより簡易な訂正方法を認めるべきとの指摘、偽造が容易な押印を要件とすべきでないとの指摘がされています。

また、公正証書遺言の場合は公証役場が遺言書の原本を保管する仕組みが整えられていますが、自筆証書遺言の場合は遺言書の保管場所がわからず遺言の存在自体が知られないまま相続手続がされることもあるとの指摘がされています。 そのため、自筆証書遺言について、全文自筆及び押印を必要とする要件を緩和する こと、遺言書の保管場所についての方策などが検討されています

引用元:http://www.shiho-shoshi.or.jp/activity/kikan/2716/
第48号 相続法改正の動向とその論点
第56号 配偶者の相続分の見直し

民法(相続関連)の改正は財産分与や遺言に関する項目が多くなっています。特に配偶者の法定相続分の見直しは、大きな影響がある内容であるといえます。

民法(債権関連)の改正

民法(相続関連)以外に、民法(債権関連)も改正となります。いくつか、改正項目がありますが、ここでは、法定利率を固定制から変動制に変更する内容について、確認します。

現行の法定利率は、固定制である点が分かりやすいといえますが、昨今の経済情勢のもとでは、相対的にかなり高利率であるといえます。 逆に、今後、経済情勢が変わった場合は、年5%の法定利率が相当低いと評お価されることも考えられます。 そこで、改正法案では、時々の経済情勢からかい離した利率になりにくいよう、短期(貸付期間が1年未満)の市場金利の動向を反映した変動制を採用し ています。

もっとも、変動制といっても法定利率を頻繁に変動させるものではなく、3 年おきに1回の頻度で見直しの機会を設けて、短期金利の60ヶ月平均値が 1%以上かい離した際に初めて、1%刻みで変動する、という緩やかなもので す。なお、改正法施行後の当初3年間は年3%とされます。

引用元: http://www.shiho-shoshi.or.jp/activity/kikan/2716/
第49号 、法定利率を固定制から変動制へ

民法(債権関連)は権利関係をまとめた規定ですが、今回の改正は、より現在の時代に合わせた内容となっています。

司法書士の実務に対する影響

相続関連や債権関連に関する制度は、誰もが経験をする法律問題といえ、今回の改正は、
不動産登記実務や裁判関係業務など司法書士実務にも影響を与えると思われます。よって、今後の動向については、司法書士としては、内容をよく確認し、研究しておくべきであるといえます。

まとめ

民法は、時代に対応しておらず、社会経済への対応性が問題視されており、書き方や内容が難しいといわれていました。今回の改正では、この点を解消しようという狙いがあるといえます。

また、今回の民法の改正のうち、相続関連は40年ぶりといわれています。相続問題は、現在、社会問題化しており、今回の改正は司法書士のみならず、弁護士や税理士などの士業の業務にも、大きな影響を与えるものであるといえます。

そして、司法書士としては、相続関連のみならず、債権関連の改正も関連してきます。これらの改正は、司法書士の登記実務に対しての影響があり、法律の専門家として、改正部分を把握しておく必要があるといえます。

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