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弁理士東京

東京の弁理士について

2020年5月20日
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公開日:2017/08/25 | 最終更新日:2020/05/20

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弁理士というと、他の士業と比べて知名度が低く、地方では弁理士のことを知らない人も多いのが現状です。弁理士は東京の事務所に所属している人が非常に多いですが、弁理士を取り巻く状況を調べていくと、その理由が見えてきます。今回は、東京の弁理士について、説明したいと思います。

1.弁理士数

弁理士の分布は、以下の日本弁理士会のホームページに掲載されています。
http://www.jpaa.or.jp/about-us/members/

上記ホームページにおける令和2年3月30日現在の資料によると、日本全国の弁理士数は11,460人で、そのうちの約64%を占める7,376人が東京の事務所・企業に在籍しています。ちなみに関東地区の事務所等に在籍している弁理士数は9,158人(約80%)となっていますので、いかに弁理士が東京近辺に集中しているかをお分かりいただけると思います。

参考までに、インターネット上で公開されている情報によると、弁護士は全国で約41,000人いるのに対し、東京(東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会)は約19,000人(約46%)、税理士は全国で約78,700人いるのに対し、東京は約23,300人(約29%)となっています。

2.東京都内の弁理士の分布

東京都内では、特許庁がある千代田区を中心にその隣接区である港区・中央区・新宿区に事務所が集中しています。この4区だけで、日本の弁理士数の4割を超えています。業務に便利というより、霞ヶ関や虎ノ門といった住所が、事務所としての一種のステータスになっているのかもしれません。

また、大阪等の地方の大手特許事務所も東京に支部を設けているところがあります。理由として、仕事の多い東京で事業拡大のきっかけを作ろうという考えもあると思いますが、大阪にある企業の本社機能が東京に移転することがよくあり、そのような場合でも対応できるようにするため、というのも一つの理由でしょう。

3.東京に弁理士が多い理由

それでは、何故東京に弁理士が多いのでしょうか。具体的には、以下のような理由が挙げられます。

(1)企業の本社の多さ
まず、企業が東京に集中していることが挙げられます。弁理士は特許や商標などの知的財産(知財)を扱いますが、知財に関する権利は、企業が所有することが多くなっています。そして、企業名義で特許庁に出願を行うとき、出願人住所は登記上の本店(通常は本社)住所を記載します。

企業の本社は、東京や大阪などの大都市に集中しています。そのため、弁理士数は、東京が大幅に多くなっているのです。

(2)特許庁が所在していること

知財に関する出願・手続を受け付ける行政機関である特許庁が、東京にしかない、ということが挙げられます。弁護士であれば、各地方に地方裁判所や高等裁判所がありますし、裁判以外の法的手続であっても、東京でなければ行えないということは少ないでしょう。税理士についても、税務署は全国の至るところにあります。

現在では、オンライン出願・申請を行うことができますので、あまり不都合はありませんが、審査官との面接等を考えると特許庁に近い方がいいですし、特許庁の判断(審決など)に不服の場合は、東京高等裁判所(知的財産高等裁判所)に訴訟提起する必要がありますので、東京の方が便利であることには違いありません。

もう一つ言えることは、弁理士になるには弁理士試験に合格することが一般的なのですが、審査官や審判官として特許庁で7年以上従事した人は、弁理士となる資格が与えられます。審査官や審判官は、東京近辺に在住している人がほとんどだと思いますので、弁理士になったとしても、東京の特許事務所に入所したり、東京で独立開業することが多いでしょう。

(3)外国案件対応に関する優位性

外国案件に関する情報も東京に集まりやすいと言えるでしょう。外国代理人が来日するときは、東京の特許事務所を訪問することが多いからです。事務所数も依頼件数も多いので、外国代理人も重要視しています。また、外国代理人が来日するときは、企業から依頼されて直接面談するのが目的であることもしばしばです。企業の知財部が東京にあることも、併せて東京の特許事務所に訪問することにつながっているのでしょう。

なお、東京では大手特許事務所がいくつもあり、逆に外国の特許事務所や国際会議に出向く弁理士も少なくありません。士業の中では、弁理士は最も国際的な仕事と言え、それにあこがれて志望する人もいますので、外国案件が多い東京の特許事務所に弁理士が集まりやすいと思われます。

(4)法律事務所との連携

知的財産権侵害訴訟等の訴訟案件は、それほど件数はありませんが、警告状送付などの訴訟前の措置はそれなりに生じます。法的アドバイスを得るためにも、知財対応に長けた法律事務所と提携するのが目的で東京に弁理士が集まりやすい、とも言えます。

また、現時点では利用件数はそれほど多くありませんが、弁護士や弁理士が共同対応して調停や仲裁を行う日本知的財産仲裁センターも霞が関の弁理士会館内に本部があります。

(5)弁理士試験の受験に関する環境

弁理士試験は、一次試験である短答式試験こそ、仙台や福岡等の地方でも行われるものの、二次試験の論文式試験は東京と大阪のみで行われ、最終試験の口述式試験は東京のみで行われます。その関係からか、弁理士試験の受験生も東京と大阪の近辺に在住していることが多いです。そして、士業の中ではマイナーな資格であり受講生の数も多くはありませんので、資格予備校もほとんど全てが、弁理士試験講座を東京と大阪のみで開催しています。

このような状況ですので、東京の弁理士数が多くなる要因がここにもあります。ちなみに、令和元年度の短答式試験では、福岡会場の合格者は19名しかおらず、仙台会場の合格者は8名でした。

4.研修について

日本弁理士会の本部があり、会員向けの集合研修は東京で行われることが最も多くなっています。ただし、会員数が非常に多いため、会場規模の関係から、東京での集合研修は申込開始後すぐに定員に達することが多いようです。そのため、申込が出来なかった会員をサポートするために、東京での集合研修は後日eラーニングで受講できるようになることがあります。

また、東京での集合研修は、TV配信で北海道支部や九州支部等、各支部で受講できる場合もあります。研修の講師になるくらい実務に長けた弁理士が東京に多いのも、東京で研修が行われやすいことにつながっているでしょう。

5.会派について

弁理士は、他の多くの士業と異なり、地域や各都道府県ごとに登録されるわけではなく、全員、日本弁理士会に登録されることになっています。そして、上述のとおり、東京や大阪以外は、弁理士があまりいませんので、独自の会派がある地域はほどんどなく、大阪の西日本弁理士クラブ(通称、「西弁」)以外はあまり知られていないようです。
 一方、東京には、いくつかの会派があります。代表的な会派としては、日本弁理士クラブ(通称、「日弁」)に所属する、PA会、春秋会、無名会、南甲弁理士クラブ、稲門弁理士クラブの5会派があります。

6.今後(まとめ)

最近は、企業に所属する企業内弁理士も多くなっています。これだけ東京中心となる理由が揃っていますので、今後も東京の弁理士数は、さらに増加することはあっても減少することはなさそうです。

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