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大手特許事務所転職

大手特許事務所への転職について

2019年6月3日
magor-tax

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知財業界の転職には、いくつかのパターンがあります。大きく分けて、特許事務所間の転職、企業間の転職、企業と特許事務所の間の転職が挙げられます。
特許事務所から企業等への転職はそれほど多くはなく、ほとんどは特許事務所への転職となっています。それらの転職のうち、大手特許事務所への転職することも多いかと思います。今回は、大手特許事務所の特徴と、その転職事情について見ていきます。

1.大手特許事務所の特徴

最近は、弁理士数50人以上の超大手特許事務所も存在しており、昔と比べて大手特許事務所の数が増加しました。理由としては、弁理士試験合格者の増加、業務の国際化等が挙げられ、急増した弁護士による弁理士登録も理由の一つとして考えられます。なお、外国の場合は、弁護士が特許弁護士等の名の下、日本の弁理士と同様の業務を行っていることが多く、日本よりもはるかに大規模の特許(法律)事務所があります。

日本における大手特許事務所の多くは、法人化して特許業務法人という形態をとっています。一般に、大手特許事務所は、特許に限らず、商標、意匠及び実用新案、並びに、外国案件対応及び訴訟案件対応を総合的に処理できる事務所となっています。明確な基準はありませんが、弁理士数で考えると、少なくとも10人以上の特許事務所が該当するでしょう。
そして、所内の分業化が進んでいるため、中小特許事務所と異なり、特許専門、商標専門というように、一つの法域のスペシャリストが揃っているのが特徴です。さらに、超大手特許事務所になると、例えば、商標分野のうち、調査専門、出願専門、外国案件専門といったふうに、さらに細分化されているところも珍しくありません。また、外国案件の依頼を受けることも多いことから、外国の弁理士資格を所有している外国人が所属していることもあり、外国案件のスムーズな処理を謳い文句にしていたりします。これらのことから、出願件数の多い国内外の大企業からの依頼が業務の大部分を占めています。

また、事務所の大規模化に伴って、東京や大阪等の主要都市に本部を置き、地方都市にも支部がある特許事務所も増えてきました。
さらに、特許事務所内での地位についても、中小の特許事務所よりも細かく分かれています。一般的には、所長弁理士か代表パートナーがトップにいて、その下に、副所長や数名のパートナーがいます。事務所によっては、実務をほぼ引退した高齢の会長がいたり、知的財産高等裁判所の元裁判所長等を顧問に招き入れているところもあります。そして、そのさらに下に、多くの一般所員やアソシエイトと呼ばれる弁理士(そのまた下に、さらに多くの補助員としての弁理士資格を持たない所員)が在籍しています。転職直後は、よほどのことがない限り一般所員やアソシエイトとして働くことになります。

給与面は、事務所によってかなりバラつきがあり、大手特許事務所だから給与が高いとは言えません。上で述べたように、一所員が行える業務範囲は限られているため、飛びぬけて売上成績が良くなることはほとんどありませんので、成績によって急激に給与が上がるのを期待するよりは、長年勤めて所内での地位が上がる(アソシエイトからパートナーへ、等)ことによる給与額の増加を期待した方がよいでしょう。なお、弁理士の場合は、年俸制を採用している大手特許事務所も多いようです。

2.大手特許事務所への転職を希望する理由

独立開業を希望する弁理士も多い中、大手特許事務所への転職を希望する弁理士がいる理由は何でしょうか。理由の一つとして、弁理士は、理系出身者が多いため、事務所経営は不得手と自覚しているか又は事務所経営には携わりたくないと考える傾向が強いと言えるでしょう。

また別の理由として、一つの仕事のスペシャリストになりたいと考えている人が大部分を占めているため、上で述べた大手特許事務所の特徴にマッチしていることが挙げられます。特に、外国案件や訴訟案件は、中小の特許事務所ではあまり携わることができないため、大手特許事務所へ転職するのが、それらのスペシャリストになる近道だからです。

3.大手特許事務所への転職の注意点

大手特許事務所に転職するメリットは、大手に属しているという満足感と安定感かもしれません。しかしながら、大手特許事務所には、特有の注意点があります。

(1)仕事内容について
上述のように、仕事内容について分業化されている特許事務所が多く、自分が考えていた仕事内容と異なる場合があります。確かに、特許事務所全体としては、様々な業務を行っているのですが、一所員としては、満足できる仕事を担当できないことがよくあります。
クライアントに関しても、通常、メインのクライアントの担当者は経験豊富なベテラン弁理士であって既に決まっていますので、中小企業や個人発明家の案件ばかり担当することも少なくありません。もちろん、これらの案件は、依頼人に知財の知識があまりないことから、自分主導で作業を進められるというメリットはあるかもしれませんが、幅広く先端技術に関する手続を担当したいのであれば、大手特許事務所ではそれは叶わない可能性がありますので、注意しましょう。

(2)人間関係について
これは特許事務所に限ったことではありませんが、大手になると、人間関係が難しいことがよくあります。特に、知財の仕事は失敗が許されない手続が多いため、トラブルが生じたときに責任の所在について問題になることがあります。チームとして流れ作業で仕事をするのが原則であるためです。
また、大手特許事務所の場合、創業者が健在のことも多いですが、強気の手腕で大きくしたところも多いため、ワンマン経営者特有のプレッシャーを感じさせる事務所もありますので、特に、自分の裁量の余地を望む弁理士の場合は、よく調べて転職する必要があります。

(3)OJT(On-the-Job Training)の考え方について
大手特許事務所では、教育担当者も多いため、弁理士を含め若年層を雇い入れ、積極的にOJTを行うところが多いですが、一方で、経験者を優先的に採用し、教育をほとんど行わない大手特許事務所もあります。そのため、実務経験が無ければ、転職活動がうまくいかなかったり、転職後すぐ解雇されることも考えられます。特に、40代以上で実務未経験の場合、弁理士であっても大手特許事務所にはなかなか入れない可能性が高くなります。
大手特許事務所への転職を希望する場合は、「弁理士資格を取ってから」と考えるより、無資格でも若いうちに入所する方が、成功する確率は高いでしょう。

4.まとめ

大手特許事務所の弁理士の経歴を見ると、弁理士の転職年齢は幅広く、ある意味、士業では珍しいかもしれません。最近の人手不足で、さらにその傾向が強くなった感があります。また、転職を決意する時期についても、最も多いのは弁理士試験の合格直後だと思われますが、やはり人によってかなり異なります。
今回ご説明したとおり、大手特許事務所には特有の特徴がありますので、転職する場合は、自分が従事したい仕事や自身の性格等と照らし合わせて、よく考えて行動することをお勧めします。

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