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弁理士特許技術者

特許技術者と弁理士

2020年7月1日
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公開日:2017/09/28 | 最終更新日:2020/07/01

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特許技術者は、特許事務所において特許関係の実務を行う者で、弁理士の補助者という位置付けです。今回は、特許技術者の仕事内容等について見ていきたいと思います。

1.特許技術者について

特許事務所では、平均的に見て所員の約3分の1が弁理士で、あとは特許技術者、図面担当、翻訳・外国担当、商標担当、事務員等という構成が多いでしょう。事務所によっては、特許弁理士よりもはるかに多くの特許技術者がいることもあります。

特許技術者は、理系出身者がほとんどで、修士課程や博士課程を修了した人もいますので、自分のバックグラウンドがある分野では弁理士と同等の知識があります。

そして、特許技術者には、弁理士を志している人とそうでない人がいます。この点については、事務所の労働環境も大きく関わってくると思います。所内に特許技術者がそれなりにいて活躍できる環境であったり、所長や他の弁理士から弁理士になるようプレッシャーを与えられているという状況にもない場合は、特許技術者として仕事を続けることを考える人も多いでしょう。特許技術者として仕事をしながら弁理士試験の勉強を続けるのは、かなり大変だからです。

弁理士を志している人は、特許技術者を続けながら、隙間時間を見つけて勉強をするしかありません。特許事務所内に弁理士がいますので、弁理士になった後のことをイメージすれば、受験勉強も頑張れるのではないでしょうか。なお、実務を行っている特許技術者は、実務とは無関係の受験生より試験に有利、という人もいますが、実務を行っていても合格まで10年や20年かかったり、結局合格できなかったという人もいますので、あまり関係はないと思われます。

2.弁理士の業務について

弁理士法第75条において、「弁理士又は特許業務法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、特許……に関する特許庁における手続……を業とすることができない。」と規定されており、これに違反すると、「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」(同法第79条)と書かれています。

つまり、知財については、弁理士以外の者が報酬をもらって手続を行ってはいけない、ということになります。そのため、出願書類の【代理人】欄には、弁理士(か又は弁護士)の名前しか記載することができません。

特許技術者が作成した特許明細書については、弁理士がチェックした上で、所長とその弁理士を【代理人】欄に含めて出願するのが一般的でしょう。

3.特許技術者の仕事内容

特許技術者は、特許明細書等を作成することも多いですが、原則として、弁理士の指揮監督の下、作業を行わなければなりません。しかしながら、実際は、特許技術者単独で、依頼人対応を行ったり、特許明細書を作成したりする場合もあるようです。この場合、士業で禁じられている「名義貸し」に該当する可能性があります。

しかしながら、歴史の古い事務所であれば、ベテランの特許技術者が多くいたりしますので、実際、若手の弁理士より知識も実務能力も上、ということがあり、なかなか難しいところではあります。

昔から特許技術者は、弁理士と同様の作業を行ってきました。具体的には以下のような作業です。

(1) 発明者等から発明に関する相談を受けること
 このような相談を受ける場合は、原則として、弁理士が同席しなければなりません。大企業等の場合、研究所が遠くにあったりしますので、呼ばれた場合は、依頼人の承諾を得て、弁理士と一緒に出張することになります。

(2) 発明者等から依頼を受け、特許明細書(及び図面)を作成すること
 実際に依頼を受けた場合は、特許明細書等の作成に取り掛かります。依頼人との連絡の取り合いは特許技術者が行っても問題ないでしょうが、逐一、弁理士に報告することが望まれます。

(3) 作成した特許明細書について、弁理士・依頼人にチェック及び修正を依頼すること
実体的な内容のチェックは、依頼人に求めるべきでしょう。弁理士は、形式的なチェックや記載不備のチェックがメインになることが多いと思われます。但し、依頼人に特許明細書に関する知識がない場合は、弁理士が全体をチェックしなければなりません。

(4) 修正作業が済み次第、出願手続を進めること
知財は先願主義であり、ある意味「早い者勝ち」ですので、依頼人から出願指示を受け次第、出願手続を進めなければなりません。出願前の最終チェックも弁理士と共に行うことになるでしょう。出願手続自体は、特許事務所の担当部署が行うことになります。

(5) 審査開始後、特許庁から拒絶理由通知書等を受け取った場合は、内容を精査し、対応案の作成・依頼人への報告をすること
特許出願はストレートに特許が与えられることはあまりなく、何らかの拒絶理由通知書を受け取ることが多くなっています。そのため、弁理士とも相談の上、補正案や反論案を考えて、依頼人に報告するのが通常の流れです。この部分が、特許技術者として最も頭を働かせる作業になるでしょう。

(6) 依頼人から対応指示があれば、特許庁に意見者や補正書を提出すること
意見書等の特許庁への提出手続も担当部署が行います。なお、意見書等で主張した内容は、「包帯禁反言」と言って、後に第三者との間で争いが生じたときに不利に扱われることがありますので、よく考えて作成します。ここは、判例等に精通した弁理士の意見が反映されるべきでしょう。

(7) 査定(拒絶査定か又は特許査定)が出た段階で、依頼人に報告すること
拒絶査定がなされた場合は、拒絶査定不服審判請求を行うかどうか依頼人に確認します。もし審判請求を行う場合、弁理士がより深く関わる必要があるでしょう。拒絶査定になったことにより、依頼人が、特許事務所の対応に不満を抱いている可能性もあるからです。特許査定になされた場合は、期限までに特許料を納付すれば特許権が与えられますので、特許技術者の役割はここで終了、となります。

なお、特許事務所には、特許技術者以外に、弁理士資格を有しない商標担当者もいます。商標担当者も弁理士の管理下でなければ作業を行うことができません。

また、訴訟に関する対応・手続、ライセンス契約に関する代理などは特許技術者が行うことはありません。このあたり、行政手続の方法がメインの出願案件と、法律的知識がかなり必要な訴訟等との違いが現れてきます。

4.待遇

給与面は、勤務弁理士と特許技術者ではあまり変わらないことが多いです。弁理士は、所長やパートナー等の経営者になる場合がありますので、そうなると給与がかなり異なるかもしれません。
あとは、定年後の扱いで、弁理士の方が長く特許事務所に在籍することが多いでしょう。弁理士は「特許事務所の顔」の一人なので、より重要視されるからです。

しかしながら、特許事務所から功労者とみなされている実力ある特許技術者であれば、70歳くらいまで働くことも珍しくありません。

5.まとめ

弁理士から見ると、特許技術者には資格というよりどころがありませんので、不安定に映るでしょう。そういう意味で、長年特許技術者として特許事務所に貢献している人は、「職人」と言えると思います。

今後は、IoT、AI、ビッグデータ等に代表される第4次産業革命によって、不透明かつ複雑な時代に変わっていくでしょう。弁理士業界においても、今までの業務をより進化させていったり、業務を幅を広げていくことで顧客満足度を上げていく必要があると言われています。その場合、弁理士資格者の方が、その役割を担いやすいといった見方もあるようです。今までの特許技術者のような、「職人技」だけでは通用しなくなるかもしれません。

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