税理士に求められる役割(所得税編)
公開日:2017/07/18 | 最終更新日:2020/06/26
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所得税の内容と所得税の申告業務における税理士の役割について、確認してみましょう。
所得税に対する所得と所得税
所得税は所得に対して課税される税金です。よって、所得の考えかたと所得の種類について、確認する必要があります。
所得とは1月1日から12月31日までの1年間で個人が形成した経済力の増加であるといえます。所得はその発生原因によって、以下のように分類されます。
(利子所得)
利子所得とは、預貯金や公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいいます。
(配当所得)
配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける配当や、投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託以外のもの)及び特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得をいいます。
(不動産所得)
不動産所得とは、土地や建物などの不動産、借地権など不動産の上に存する権利、船舶や航空機の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他、他人に不動産等を使用させることを含みます。)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除きます。)をいいます。
(事業所得)
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得をいいます。ただし、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になります。
(給与所得)
給与所得とは、勤務先から受ける給料、賞与などの所得をいいます。
(退職所得)
退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当や加入員の退職に基因して支払われる厚生年金保険法に基づく一時金などの所得をいいます。
(山林所得)
山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得を いいます。 ただし、山林を取得してから5年以内に伐採又は譲渡した場合には、山林所得ではなく、 事業所得又は雑所得になります。
(譲渡所得)
譲渡所得とは、土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得、建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得で一定のものをいいます。
ただし、事業用の商品などの棚卸資産、山林、減価償却資産のうち一定のものなどを 譲渡することによって生ずる所得は、譲渡所得となりません。
(一時所得)
一時所得とは、上記1から8までのいずれの所得にも該当しないもので、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外のものであって、労務その他の役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
例えば次に掲げるようなものに係る所得が該当します。
(1)懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻
(2)生命保険金の一時金や満期保険の満期返戻金
(雑所得)
雑所得とは、上記の所得のいずれにも該当しない所得をいいます。
例えば次に掲げるようなものに係る所得が該当します。
(1) 公的年金等
(2) 著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税
引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1300.htm
所得税とは、上記10種類の個人所得に対して課せられる税金であり、法人の所得に対して課せられる税金と同じく、負担する人と申告する人が同じ直接税の代表的な税金となっています。
源泉所得税を納付している給与所得者の5割以上が確定申告を要するといわれており、所得税は納付者の関心の高い税金であるといえます。
確定申告は自分で申告書を作成して、納付も自分で行うことが原則ですが、申告書の作成やアドバイスは税理士に委ねることになり、税理士の存在が必要となります。
所得税の申告と納付
所得税の確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税の額を計算し、源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合には、その過不足を精算する手続です。
確定申告をする必要のある人は以下の人になります。
その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合で、その超える額に対する税額が、配当控除額と年末調整の住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人は、原則として確定申告をしなければなりません。
しかし、給与の収入金額が2,000万円以下で、かつ、1か所から給与等の支払を受けており、その給与の全部について源泉徴収される人で給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円以下である人等、一定の場合には確定申告をしなくてもよいことになっています。
引用元: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm
所得税の対象となる給与所得者は、会社で年末調整を受けており、確定申告は不要です。
ただし、給与所得者でも上記にあるように一定額以上の収入がある人や年末調整で受けられない所得控除や税額控除を受けたい場合は、確定申告を行う必要があります。
よって、確定申告の対象となるのは、個人事業者が多く、事業所得を得ている人になります。
税理士は、確定申告の時期には、個人事業者の事業所得の対する確定申告業務を中心に行うことになります、事業所得は事業収入から必要経費を差し引きして計算します。したがって、事業所得を抑えることで、所得税を節税できますが、そのためには、必要経費をいかに認めてもらえるかがポイントとなります。
必要経費に関しては、税理士は熟知しており、確定申告の際には納税者の強い味方となります。
所得税の節税対策
給与所得者に対する所得税の節税対策は限定されます。最近の制度でいえば、ふるさと納税は、特定の都道府県に寄附を行うことで、返礼品を受けられますが、誰でも寄附金控除が受けられため、給与所得者にとっても、所得税のみならず、住民税の節税にもなります。
事業所得者の所得税の最大の節税対策としては、青色申告を行うという方法があります。
青色申告の概要は以下のようになります。
1年間に生じた所得金額を正しく計算し申告するために、収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を記帳し、また、取引に伴い作成したり受け取ったりした書類を保存しておく必要があります。 ところで、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる青色申告の制度があります。
青色申告をすることができる人は、不動産所得、事業所得、山林所得のある人です。
また、青色申告を行うメリットは以下のようになります。
(1) 青色申告特別控除
不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者で、これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則、(一般的には複式簿記)により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付して法定申告期限内に提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高65万円を控除することとされています。
また、それ以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得及び山林所得 を通じて最高10万円を控除することとされています。
(2) 青色事業専従者給与
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができます。 なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。
引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
青色申告を行うには、記帳を行う必要があります。よって、青色申告の際には、会計ソフトの選別などの記帳のノウハウに関して、税理士にアドバイスを受けるべきであるといえます。特に会計ソフトに関しては、クラウドを導入する動きが活発化しています。
クラウドの導入により、記帳業務は各段に効率化されます。よって、税理士には、クラウドを導入するアドバイスも行う必要があるといえます。
まとめ
所得税は個人に密接にかかわる税金です。特に事業所得者にとっては、所得税は、悩ましい問題であり、税理士はアドバイスや申告書の作成を行える存在として、必要不可欠であるといえます。また、国税庁は、電子申告を推進するべく、手続きを簡素化する動きを行っています。よって、普段の記帳業務から電子申告を行うプロセスをスムーズにいかせる存在として、税理士は納税者をサポートする立場にあるといえます。
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