大手税理士法人の業務、役職、求人例を解説します

大手税理士法人の業務と特徴

大手の税理士法人では、大企業向けを中心として、M&A・組織再編税務、事業承継税務、企業再生税務に関する税務コンサルティングサービスを行っています。これらの税務業務はレベルが高いです。具体的には、外形標準課税、外国税額控除、試験研究費控除、過少資本税制といった法人税の業務であり、これらの業務は通常の会計事務所では経験できない業務です。特にM&A・組織再編税務では、大手の有名な企業の案件も出てきます。

これらの業務はレベルが高い特殊業務であり、顧客のレベルも高いため、税法の条文を根拠とした解釈や説明力が求められます。
また、国際税務業務も行っています。具体的には、企業が日本から海外に出る場合のアウトバウンド税務、海外から日本に入る場合のインバウンド税務、タックスヘイブン税務や移転価格などのサービスも行っています。

そのため、英語力が求められます。国際税務業を行うにあたっては、TOIEC600点から700点レベルが必要となるでしょう。ただし、国際税務業務を行っていない等の部門は必ずしも英語力が必須では無い所もあります。
大手の税理士法人では通常の会計事務所が行う記帳代行や決算業務は行っていません。

その代わり、税務申告書の作成がメインとなります。そのため、法人税の中でも特殊論点に精通することが求められます。全般的に業務は専門性が高く、スタッフ数も多く、部門がきっちり分かれているため、経験できる業務が限定されてくるのが特徴です。
また、顧客は大手企業が多いため、1人で担当するのではなく、チームで担当するケースがほとんどです。この点は会計士の監査法人とも類似している点です。

大手の税理士法人に繁忙期のピークは12月から6月にかけてです。顧客は、外資系企業が多く、12月決算となっており、申告月は2月になります。そして、日本の上場企業の決算は3月決算が多く、申告月は5月になります。申告の期限は必ず守らなければならないため、この時期はかなりの労力が必要となってきます。

大手税理士法人の役職と給与の相場

大手税理士法人では、キャリアを積むことで職位も上がっていきます。
具体的には、スタッフ、シニアスタッフ、マネージャー、シニアマネージャー、パートナーとなります。
通常は3年程度のキャリアで次の職位に昇格するケースが多いです。
給与の相場は一番下のランクのスタッフで500万前後、一番上位ランクのパートナーで、1,200万円前後となっています。

大手税理士法人の求人例

大手税理士法人の求人例を確認してみましょう。

ポジション
税務コンサルティングスタッフ【ジュニア～シニア】【育成枠も同時募集】
仕事内容
法人税務を中心に資産税、Ｍ＆Ａ、再生・再編等の各種業務に従事して頂きます。】

■税務申告・タックスプランニング
(月次・年次決算支援/税務申告/資金繰り管理・支援/各種分析業績/税務調査立会い等)

■コンサルティング業務
(Ｍ＆Ａ、企業再生・再編、ＤＤ・ＶＡＬ、株式公開準備、事業承継、資産税関連業務)
※中堅～上場企業を中心とした税務業務に携わって頂きます。当法人では、各部門の担当者が通常の税務顧問業務だけでなく、資産税・組織再編・Ｍ＆Ａ等も一貫してフォローする体制です。法人に対して基礎から高度な提案まで幅広く身につけたい方には適した環境です。

必要な経験・能力
【必須資格・ご経験】
■税理士科目合格者
※税理士資格者尚可
■会計事務所実務経験者

【育成枠の方】
■税理士試験科目2科目～
■就業経験は問いません

【求められる人物像】
■コミュニケーション能力の高い方
■真面目で誠実な方

ポジション

国際税務業務（シニアアソシエイト）

仕事内容
■日系企業向国際コンサルティングサービス
日系企業の海外展開に関連する様々な税務問題を提携海外事務所と協同で解決するワンストップサービスを提供しています。　

・クロスボーダー 組織再編支援
・クロスボーダー Ｍ＆Ａ支援（買収ストラクチャリング支援/税務デューデリジェンス支援）
・グループ税務リスク診断

■その他国際税務コンサルティングサービス
・外資系企業に対する税務コンサルティング/コンプライアンス業務
・国際税務に関連する法人税申告書作成支援

◆シニアアソシエイトは、上席者の補助として難易度・複雑性の高い
業務に携わっていただき、上席者の指示のもとレビューやアドバイザリー業務をこなせるようになることを目指していただきます。

◆クライアントはベンチャー企業から上場企業まで様々で、案件ごとにチームで取り組みます。

必要な経験・能力

＜必須条件＞
・公認会計士（監査業務の経験を有する方）
・税理士、税理士有資格者の方
・英語能力と日本での税務実務経験を有する方

＜希望条件＞
・海外で税務実務の経験がある方（米国公認会計士・英国勅許会計士等）
・大手税理士法人での勤務経験がある方

ポジション
税務コンサルタント　【金融機関経験者】
仕事内容
見せる指導をしております。
今までの「顧問税理士先生とお会いするのは年に１回だけ」ということではなく、数字の面から色々なアドバイスをいただきたいという希望から顧問契約変更する企業様も数多くあります。

～具体的には～
■月次対応業務(他社でも提供している定務)
・日常経理業務の指導
・仕訳業務含めた記帳代行(主にパートが対応)
・試算表作成/各種申告書の作成

■財務に関するコンサルティング(特徴的な点)
・利益計画策定支援、管理会計的視点による経営分析
⇒何処に目をつけて対処すれば利益が出るのか、そしてどのような対応をすればコストが下がるのか、という根本的なポイントも実際の決算書類の他、独自の経営分析ツールを駆使して徹底的に説明して行きます。

■経営計画書作成支援(ここがポイント)
業界、業種別の動向を抑え、常に最新の情報・根拠を基にお客様の1～5年先、そして10年先の経営計画を立てていきます。お客様にとっての経営のバイブルといえるような経営における航海図をお客様と一緒に作り上げていきます。

■その他
金融機関対応…事業計画の策定をし、お客様と一緒に銀行に借り入れの相談をしに行きます。また借り入れが成功した場合は、具体的にどういった戦略でどのように資金を投資するのか、どのようにして回収するかも計画書に落とし込んで行きます。

■事業承継対策支援
自社株やオーナーの財産管理、承継に関しての相談及びアドバイスを致します。会社がＭ＆Ａで買収されない為に、どういった措置を事前に取るべきか、そして経営者自身が会社をどうしていきたいかを徹底してヒアリングし、企業オーナー、従業員が幸せになるための事業承継対策を支援します。

必要な経験・能力
【必須条件】
・金融機関での最低3年程度をお持ちの方（決算書の知識）
・会計知識を有し、中小企業の経営支援を行いたいと強く志望されている方
・事務所の方針や理念に共感される方

【歓迎条件】
・納得できるサービスでお客様に貢献したいとお考えの方
どの大手税理士法人も組織再編、M&A、事業承継、国際税務の業務に力を入れています。
コンサルタントとして、顧客にサービスを提供するスタンスに立っています。

まとめ

会計事務所業界は格差が出てきている時代です。記帳代行業務はクラウドの登場により、簡素化されてきており、専門家に委ねなくてもいい時代になってきています。
より高度で専門性のある業務を行いたいのであれば、税理士の資格を生かして、大手の税理士法人を検討してもよいでしょう。各大手税理士法人の特徴や採用意欲などは部門などによっても異なる場合が多々あります。より詳しい情報を得る為に専門のエージェント等に相談をしてみるのも手でしょう。