会計士の経理業務について
公開日:2017/07/18 | 最終更新日:2020/06/30
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公認会計士が民間企業で経理として携わる場合は、企業内会計士と呼ばれます。企業内会計士の業務内容、ポジション、将来性について、確認してみましょう。
公認会計士試験合格者と公認会計士の活動領域の拡大
金融庁は、公認会計士試験の合格者に向けて、公認会計士の活動領域の拡大を目指しており、以下のように方針を定めています
1.合格者等の活動領域拡大への期待
~経済社会の様々な分野で合格者や公認会計士が活躍できるように~
平成15年の公認会計士法改正により、平成18年から新しい公認会計士試験制度が導入されました。これは、受験者層の多様化と受験者数の増加を図り、質の高い人材が経済社会で多数活躍できるようにすることを目指したものでした。
合格者や公認会計士に対して、監査業界での活躍のみならず、企業の中でその専門的知識を生かして働く等、経済界等の幅広い分野で活躍することが期待されています。
2.経済界における会計関連業務の今後の動向
~企業内における合格者等の会計専門家の役割はますます重要に~
企業における会計関連業務としては、経理業務のみならず、複雑な会計基準適用の判断、内部監査、経営戦略の企画や合併・買収のM&A等様々な業務があります。
また、企業における会計関連業務は、近年急速に複雑・多様化しており、平成20年度から四半期報告制度や内部統制報告制度が導入されたほか、企業における海外事業の拡大等に伴い、企業内の会計実務も急速に国際化・高度化している等を踏まえると、企業内における会計知識や会計関連業務の重要性は更に増大していくことが予想されます。
そのため、会計関連業務に精通した人材の充実・強化が、質・量ともに強く求められることになると考えられます。
3.実務経験として認められる多様な職種
~合格者が経済界等で活動しても公認会計士となる道は拓かれている~
合格者が経済界等で会計専門家として活動していくにあたって、必ずしも公認会計士資格を取得することは必須ではありませんが、公認会計士資格取得を望まれる方には、経済界等の実務経験をもとに資格取得する道も近年大きく拓かれております。
具体的には、経理、予算管理、原価管理、内部監査、企業財務分析や与信管理等様々な分野で実務経験を積むことで、公認会計士資格を取得できる要件を充足することも可能となるように、制度の弾力的運用が図られてきています
引用元:http://www.fsa.go.jp/policy/kouninkaikeishi/kounin_goukaku.html
企業内会計士の業務内容
企業内会計士が求められる職場は民間企業の中でも、上場企業や上場準備企業が多いです。元々は公認会計士の資格自体が上場企業の監査を行うための資格であるからです。携わる業務としては、経理の中でも決算業務が中心になるでしょう。決算業務とは、四半期報告書、決算短信、有価証券報告書の作成業務になります。通常、監査法人に携わる公認会計士は、財務諸表の監査を行う立場ですが、企業内会計士は財務諸表を作成する立場になります。よって、監査を受ける立場となります。監査の仕組みを熟知している会計士は監査をどのように行うかを知っており、監査法人の対応を行う際には、企業内の経理部門において、重宝されるといっていいでしょう。
また、企業会計の最近の動向として、高度化されていきている傾向にあります。具体的には、内部統制業務、IFRSの導入が挙げられます。これらの制度に対応するには、最新の会計制度を理解している会計士が企業内で経理部に所属するのは最適であるといえます。
そして、予算編成においても、企業内会計士が力を発揮するといっていいでしょう。
予算編成とは、企業の業績見込の作成になります。この作業は、いわば将来の企業の将来予測であり、経営者のみならず一般の投資家に対しての判断に影響力を与えることになり、財務の情報が新聞やニュースで報じられたり、株価に変動を与えることになるため、社会的な責任の重い業務となります。
上場企業の経理求人の傾向と企業内会計士のニーズ
上場企業においては、高度で専門的な実務能力のある経理の人材を即戦力として、採用したいという傾向があります。しかしながら、そのような条件を満たした人材がなかなかいないのが実情です。そこで、企業としては、経験が浅くても、高い専門的な経理知識を身に着けている公認会計士をポテンシャルのある人材として、採用する傾向が出てきています。
企業内会計士は、経理部門においては、具体的な業務としては、連結決算業務とIFRS対応業務の求人が多い傾向にあります。連結決算は上場企業においては、要となる業務でより複雑ですが、制度を理解した会計士であれば、対応しやすいといえます。そして、上場企業の中でも、IFRSに制度を変更しようとしている企業は増えてきています。IFRSは会計士のみならず、米国公認会計士に対しても、需要は高まっています。また、経理部門のみならず。企業内会計士の求人は、財務、経営企画、内部監査の部署でのニーズが高まっています。
また、企業も、すでに上場して歴史のある企業だけでなく、新興市場の企業においても、会計士の求人は増加傾向にあります。上場したての企業やこれから上場を目指す企業は経理体制が整っていない企業が多いためです。このような企業においては、経理のみならず、金融機関や証券会社との対応業務も求められ、マルチに対応する能力が必要とされてきます。
そして、企業内会計士の企業における求人のポジションは、管理部長やCFOの候補が多く、給与水準も高い傾向にあるといえます。
企業内会計士に求められる資質と将来性
経理の業務は最終的には、決算業務を取りまとめることが目的となります。しかし、企業の存在目的は利益を出していくことにあります。経理部の人間は直接、企業の売り上げに貢献する立場ではありませんが、コスト意識を持って、コスト削減に貢献することは可能です。
コストを削減することで、利益を出すことにつながります。また、前述した予算編成にかかわることで事業を運営する上で、資金計画に影響を与えることもできます。よって、会計士が企業内会計士として存在するのは、事業運営の方針に影響を与えるポジションになります。
また、前述したように、金融庁は公認会計士に対して、活躍の場を監査法人のみならず、民間企業にも、活躍の場を広げようとしています。これは、逆に言えば、公認会計士という難関資格をとっても、安泰ではなく、監査法人のみに固執しないでほしいということを示唆しているともいえます。従来であれば、試験合格後が監査法人にいき、その後にキャリアを積んで、独立して、コンサルタントになるというのが通常の進路でした。
しかし、最近では企業において、会計の専門家のニーズが高まっており、企業内会計士が必要とされてきています。特に、IFRS導入企業が増えれば増えるほど、日本の会計制度とIFRSの制度の内容を理解した会計士の需要はますます、高まるといえます。よって、これからの会計士には会計の専門的な知識のみならず、幅広い企業経営に関する見識が求められるといえます。
まとめ
監査法人と民間の企業では働きかたに違いがあります。監査法人は公認会計士というスペシャリストの集団であり、プロジェクト単位で仕事を行います。民間企業の場合は、部署の異動はありますが、基本的に固定されたメンバーで業務を行います。よって、チームワークが必要とされ、企業内会計士であっても、サラリーマンとしての対応が求められます。
よって、民間人としてのありかたを企業内会計士は意識して、幅広く業務に対応するゼネラリストとしての面が要求されるといえます。これらの要素をふまえ、企業内会計士として活躍する方向性を模索するのも良いかもしれません。
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