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相続税税理士

税理士に求められる役割(相続税編)

2020年6月23日
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公開日:2017/07/25 | 最終更新日:2020/06/23

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相続対策や相続税の申告業務における税理士の役割について、確認してみましょう。

相続税とは

相続税は、個人が被相続人(亡くなられた人のことをいいます。)から相続などによって財産を 取得した場合に、その取得した財産に課される税金です。
被相続人から相続などによって「財産を取得した人それぞれの課税価格」の合計額が、「遺産に係る基礎控除額」を超える場合、その財産を取得した人は、 相続税の申告をする必要があります。「遺産に係る基礎控除額」 は、 3,000 万円 +(600 万円×法定相続人の数)
「相続人」とは 民法では、相続人の範囲と順位について次のとおり定めています。

被相続人の配偶者は、常に相続人となります。 次の人は、次の順序で配偶者とともに相続人となります。

第1順位  被相続人の子(子が被相続人の相続開始以前に死亡 しているときなどは、孫(直系卑属)が相続人となり ます。)

第2順位  被相続人に子や孫(直系卑属)がいないときは、被 相続人の父母(父母が被相続人の相続開始以前に死亡 しているときなどは、被相続人の祖父母(直系尊属) が相続人となります。)

第3順位  被相続人に子や孫(直系卑属)も父母や祖父母(直 系尊属)もいないときは、被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が被相続人の相続開始以前に死亡しているときな どは、被相続人のおい、めい(兄弟姉妹の子)が相続人となります。)

引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4132.htm

相続税の申告と納付

相続税の申告をする必要がある場合には、被相続人が亡くなった日の翌日から 10か月以内に、 被相続人の住所地を所轄する税務署に相続税の申告書を提出するとともに、納付税額が算出される場合には、納税しなければなりません。
相続税の課税対象となる財産は次のとおりです

(1) 被相続人が亡くなった時点において所有していた財産
①土地、②建物、③株式や公社債などの有価証券、④預貯金、⑤現金などのほか、金銭に見積もることができる全ての財産が相続税の課税対象となります。 そのため、日本国内に所在する財産のほか、日本国外に 財産も相続税の課税対象となります。 なお、財産の名義にかかわらず、被相続人の財産で家族の名義となっているものや無記名のものなども相続税の課税対象となります。

(2) みなし相続財産  被相続人の死亡に伴い支払われる「生命保険金」(被相続人が負担した保険料に対応する部分に限ります。)や「退職金」などは、相続などによって取得したものとみなされ、 相続税の課税対象となります。ただし、「生命保険金」や「退職金」のうち、一定の金額までは非課税となります。

引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sozoku-tokushu/souzoku-aramashih27.pdf

相続税の節税対策

相続税の節税対策に関して、確認してみましょう。
相続財産の約6割は不動産であるといわれています。よって、不動産を上手く活用することで、相続税を節税することができます。
まずは、不動産を上手く活用する方法として、小規模宅地の特例という制度があります。詳細な内容は以下のとおりです。

個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。この特例を小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます。
なお、相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。

引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

この小規模宅地の特例を活用することで、相続した土地の一定割合について、相続税の額を50%から80%減額することができます。

また、被相続人が生前のうちに贈与を行い、相続税を節税するという対策もあります。
贈与に関しては、年間で110万円という基礎控除の枠があります。これは、年間110万円の枠内であれば、贈与税がかからないという制度です。ただし、贈与した側と受贈者側に贈与の意思があることを明確にしておく必要があります。また、定期的にではなく、不定期に行う必要があります。よって、贈与契約書を作成しておいたほうがよいでしょう。

そして、相続において、配偶者は常に相続人になりますが、贈与税の配偶者控除という制度があります。詳細な内容は以下のとおりです。

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。

この制度を受けるためには以下の要件を満たす必要があります。

(1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
(2) 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
(3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4452.htm

この制度を利用することで、配偶者に対して、スムーズに居住用不動産を贈与することができ、相続時に分割問題でもめることがなくなります。

さらに、配偶者ではなく、子や孫に対する贈与を行う際の有効な制度として、相続時精算課税制度という制度があります。詳細な内容は以下のとおりです。

相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。 なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、「暦年課税(注)」へ変更することはできません。
この場合の贈与税額と相続税額の計算は以下のようになります。

(1) 贈与税額の計算

相続時精算課税の適用を受ける贈与財産については、その選択をした年以後、相続時精算課税に係る贈与者以外の者からの贈与財産と区分して、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算します。
その贈与税の額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額:2,500万円。ただし、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります。)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。

(2)相続税額の計算

相続時精算課税を選択した者に係る相続税額は、相続時精算課税に係る贈与者が亡くなった時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。
その際、相続税額から控除しきれない相続時精算課税に係る贈与税相当額については、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。
 なお、相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与時の価額とされています。

引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm

いずれの制度も適用要件などがあり、贈与を行う際にも計画的に行う必要があります。
そんな時には相続税に強い税理士に相談して、有益なアドバイスを受けるべきでしょう。

相続税の税務調査と税理士

相続税の納付と申告を行った場合、申告件数の3割近くが、税務調査を受けるといわれています。税務調査を受けたうちの8割近くが、申告漏れの指摘を受ける傾向があります。

よって、相続税の税務調査の対象となるケースとその場合に税理士をどう活用するべきかを知っておく必要があります。
相続税の税務調査の対象となりえるのは、相続財産が1億円以上の場合です。また、全ての相続人と相続税の申告を行った税理士が対象となります。そして、相続財産のうち、税務調査の対象となりやすいのは、現金や預貯金(名義預金)、生命保険になります。これらのものは、不動産と異なり、故意に隠したりされやすいためです。

相続税の税務調査を未然に防ぐためには、税理士の役割が重要となります。相続税の申告を行う際に、税理士自身は相続税の申告の根拠を示した書類を添付することができます。この制度を書面添付制度といいます。この書面がある際は、税務署は税理士に意見を聞く必要があり、そこで不明点が解消されれば、税務調査はなくなります。

また、万が一、税務調査が入った場合でも、税理士は税務調査に立ち会い、納税者の不利益にならないように味方になってくれます。
よって、相続税の申告後も税理士を上手く活用して、対策を行う必要があります。

まとめ

相続の問題は、相続人にとって、悩ましい問題です。たとえ、相続税がかからない場合でも、
事前に贈与を行うことで、相続時のトラブルを防ぐことができます。税理士は相続や贈与を行う際のアドバイザーとしてなくてはならない存在であるといえます。

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