税理士法人の年収はどれくらい?
公開日:2016/12/06 | 最終更新日:2020/07/28
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税理士有資格者が税理士法人に勤務した場合の年収の相場はどれくらいなのでしょうか。
税理士法人の規模、税理士有資格者の年齢やキャリアによって、年収の相場は変わってきます。勤務税理士の年収相場に関して、確認してみましょう。
税理士法人とは
税理士法人とは、2名以上の税理士が社員となっている特別法人のことをいいます。
税理士が個人では行えない業務で複数の税理士が組織とて勤務することにより、M&Aなどの案件を手がけている税理士法人が多いです。また、税理士以外に社労士や公認会計士などの他の士業とのネットワークを持ち、税理士業務だけでなく、税理士付随業務も手がけている税理士法人が多いです。
税理士法人制度の趣旨について、国税庁HPでは、以下のように定めています。
1、税理士業務の共同化を促すことは、複雑化・多様化、高度化する納税者等の要請に対して、的確に応えるとともに、業務提供の安定性や継続性、より高度な業務への信頼性を確保することが可能となり、納税者利便の向上に資するものであること
2、「規制緩和推進3か年計画(再改定)」において、税理士について法人制度の創設を検討すべきこととされていること
から、従来、税理士が個人として行うこととされていた税理士業務を、新たに法人形態でも行い得るよう、平成13年の税理士法改正において創設されたものです。なお、税理士法人は、社員を税理士に限定した、商法上の合名会社に準ずる特別法人です。
また、税理士法人の業務については、国税庁HPでは、以下のように定めています。
税理士法人の業務については、税理士業務のほか、税理士が税理士の名称を使用して税理士業務に付随して行う記帳代行等の会計業務を行うことができるのと同様に、税理士法人においても、定款に定めることにより、税理士業務に付随して行う会計業務や財務省令で定める一定の業務を行うことができるとされています。
国税庁HPより引用
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/kentoukai/04.htm
中堅規模の税理士法人の場合
中堅規模の税理士法人に明確な基準はありません。ただし、個人の会計事務所よりかは規模が大きいです。具体的には、従業員の数も30人から50人規模で、税務に関するコンサルティング業務を手がけているのが特徴であるといえます。
年収の相場は通常の社員で500万円から600万円で、マネージャークラスで800万円となっています。
BIG4税理士法人の場合
世界的に大規模な税理士法人が、KPMG税理士法人、税理士法人PwC、新日本E&Y税理士法人、デロイトトーマツ税理士法人になります。
これらのBIG4税理士法人の業務は、通常の個人の税理士が行うような記帳代行業務はしていない場合が多いです。業務としては、税務申告書の作成とチェック、税務に関するコンサルティング業務、M&Aコンサルティング業務がメインとなっています。
年収の相場は、20代の若手で500万円となっています。採用要件としては、20代の若手の場合は実務経験よりか、税理士の科目3科目(法人税必須)が最低条件となっている場合が多いです。
また、レベルアップして、30代でマネージャークラスの場合、年収1,000万円、パート―ナークラスで1,500万円が相場となっています。
BIG4税理士法人の場合は、他の中堅規模の税理士法人の場合と比較して、年収の相場は高めとなっています。
コンサルティングファームの場合
コンサルティングファームはソリューション型のコンサルティング会社とファイナンス型のコンサルティング会社に分かれます。
ソリューション型のコンサルティング会社では、会計システムの導入、M&Aコンサル業務を行うことが多いです。顧客は上場企業の経理部や財務部を対象としています。よって、このソリューション型のコンサルティング会社では、税理士の資格だけでなく、民間企業での経理部や財務部での実務経験が生きてきます。
ファイナンス型のコンサルティング会社では、株式公開支援業務や事業再生業務が中心となります。ここでは、公認会計士が行う業務と大差はないですが、税務に関する部分を担当する形になります。
コンサルティングファームでは、税務の知識だけでなく、コンサルタントとしての資質があるかを採用条件としています。また、付加価値の高い業務を行っているため、年収は700万円が相場となっています。
専門的な業務に特化している税理士法人の場合
最近では、税務申告書の作成やコンサルティングではなく、専門分野に特化している税理士法人が増えてきています。
具体的な業務とは、金融機関向けの証券化税務、外資系企業向けの国際税務、富裕層向けの資産税や相続税業務です。これらの業務の報酬は、通常の税務業務と比較して高いため、税理士としての年収も高めになります。
よって、3年から5年程度のキャリアのある税理士であれば、年収800万円が相場となっています。
税理士法人の求人例
1.中堅規模の税理士法人
(業務内容)
税理士、行政書士、FP業務お客様を毎月訪問 会計・税務コンサルティング
(仕事の特徴)
起業家の発掘育成・医療関連・資産家のお手伝いをするお仕事です。お客様は、若い伸び盛りの企業・経営者が多く、黒字割合も高いのが特徴です。また、1~2年で会計や税務の一通りの知識は身につけてもらい、その後は能力や意欲に応じて得意分野を作ってもらえればと思っています。
(年収)
年収400万円~
例)フルタイムで5年程度あれば:年収500万円
マネージャー、シニアマネージャー、パートナー候補、年収600万円~1000万円
営業が得意だったり、企画業務ができればパートナーとなりそれ以上の年収になります。
2.専門的な業務に特化している税理士法人
(業務内容)■一般税務会計業務■相続税・事業承継等業務■経営コンサルティング業務■事業再生支援、M&A等業務等■その他税務会計業務全般支援
【求めるスキル・経験等】■税理士 or 税理士有資格者※科目合格者応募可■会計事務所経験2年以上
(年収)400万円 ~ 700万円
3.コンサルティングファームの場合
(業務内容)
■年商数十億円規模のクライアント先へ出向し、経理部の責任者として、経理業務のチェックや、管理を行って頂きます。
フルタイムで勤務希望の方は、下記の業務も希望に応じて行うことが可能です。
◆税務顧問業務
記帳代行から月次決算、年次決算、各種税務申告業務、巡回等
◆コンサルティング業務(FAS)
M&A関連業務や、IPO支援等のスポット業務
(必要な経験・能力)
◆税理士、公認会計士の方
◆税務、会計スキルや知識に関して意欲と向上心がある方
◆周囲と協力して業務を行い、調和を大切にできる方
(年収)
450万円 ~ 800万円
違うタイプの税理士法人ですが、3つとも単なる記帳代行業務は行っていません。税務の業務も短期間で習得することを目標として、コンサルティング業務をメインとしています。
業務はチーム体制で行っており、協調性も求められています。
まとめ
税理士法人の規模や対象としている業務により、年収の相場は変わってきます。採用条件は必ずしも、税理士有資格者である必要はなく、科目合格者でも採用している税理士法人は多いです。そして、年収の条件の高い税理士法人は収益性の高い顧客を抱えている傾向があります。よって、顧客に対して、より付加価値の高いサービスを行える環境にあるため、税務業務のみならず、コンサルティング業務をメインとしています。
したがって、税理士法人で年収を上げていくには、コンサルティング業務に対応するために、自分の得意分野を作り、顧客に対して、提案型の営業やアドバイスを行うスタンスをとれる必要があるといえます。
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