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弁理士特許庁

弁理士と特許庁との関係について

2019年2月18日
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弁理士法に「弁理士は、他人の求めに応じ、特許、実用新案、意匠若しくは商標又は国際出願、意匠に係る国際登録出願若しくは商標に係る国際登録出願に関する特許庁における手続及び特許、実用新案、意匠又は商標に関する異議申立て又は裁定に関する経済産業大臣に対する手続についての代理並びにこれらの手続に係る事項に関する鑑定その他の事務を行うことを業とする。」(弁理士法第4条1項)と規定されているように、弁理士は、特許庁への手続が主な業務となります。そのため、弁理士と特許庁との関係は互いに非常に密接かつ重要なものと言えます。
今回は、一般的にはスポットが当たらない弁理士と特許庁との関係について見ていきたいと思います。

1.特許庁への最初の手続について

弁理士となるための弁理士試験は特許庁が行っています。弁理士と特許庁の関係は、このときから始まっていると言ってもよいかもしれません。
報酬を得て、代理人として特許庁に手続できるのは、弁理士と弁護士だけです。弁理士資格等を持たない一般人も代理人にはなれますが、報酬を得ることはできません。一般人が、代理人として報酬を得て特許庁に手続を行った場合は、非弁行為を行ったとして、弁理士法に基づき刑罰の対象となる可能性があります。現に、行政書士等が報酬を得て商標登録出願の相談を受けたり出願を代理したりして逮捕される事件が、何件か発生しています。

また、特許庁は、出願人・代理人との意思疎通の円滑化を図るため、手続を弁理士を介して行うよう命じる場合があります(特許法第13条3項)。また、手続に関する弁理士が複数いる場合は、担当弁理士を明確にするよう求めています。このように、特許庁は、手続の基本形としては明確な弁理士とやり取りすることを中心に考えています。
弁理士登録を受けますと、通常はまず特許庁に識別番号付与請求を行い、識別番号を取得しておきます。出願人等の一般人の識別番号は、最初に出願した時に順番に自動的に付与されますが、弁理士の識別番号には必ず弁理士登録番号が含まれていますので、予めその識別番号が予約されているという扱いになります。例えば、弁理士登録番号が○○○××の場合、識別番号は100○○○××△になります。

2.特許庁と弁理士との日常的なやり取りについて

現在では、特許庁と弁理士とのやり取りのほとんどは、電子出願ソフトを使ってオンラインで行われていて、書面を郵送等することはあまりありません。
参考までに、代表的な例として特許出願の手続の流れを説明します。特許出願においては、まず出願書類を提出し、その後法定期間内に出願審査請求を行います。出願審査請求を行うまでは、特許庁から出願時に受領書が発行されるものの具体的な反応はありません。出願審査請求を行うと、後日審査官による審査が開始されますので、双方向のやり取りが発生します。

審査官からの反応としては、拒絶理由通知又は特許査定が考えられます。特許査定になると、期限までに特許料を納付することで特許権が発生しますが、現在の審査実務では、特許出願の場合は約7~8割が拒絶理由通知を受けています。拒絶理由通知を受けた場合、内容を確認の上、権利化を断念するか又は意見書や補正書を提出して審査官に再検討してもらうか、いずれかの方法をとることになります。場合によっては、意見書等の提出の前に、審査官に直接電話をしたり、面接を申し込んで特許庁に出向いたりすることもあります。面接では、発明が特許されるべき理由を出願人と共に審査官に説明するのが一般的です。意見書等を提出した場合、後日審査官が再度審査を行い、再審査の結果が通知されます。連絡の種類としては、再度の拒絶理由通知、拒絶査定又は特許査定が考えられます。拒絶査定は審査官が出願を拒絶する最終決定をしたことを示していますので、審判請求という不服申立を行わなければ権利化を図ることはできません。審判請求でも特許庁の判断が覆らなかった場合は、特許庁との手続は原則として終了となり、さらに不服を申し立てたい場合は、裁判所に訴訟を提起しなければなりません。

以上が、弁理士と特許庁との特許出願における一般的なやり取りになります。
以外とやり取りが増えてしまうのが、出願人名義変更や権利譲渡等の登録手続です。普段はあまり行わない手続のため、書類等の不備を特許庁から指摘されて補正書を出さなければならないことがよくあるからです。

3.国際出願書類の特許庁への送付

PCT出願(特許に関する国際出願)やマドプロ出願(商標に関する国際出願)は、外国での権利化を図る出願ですが、出願書類は日本の特許庁に提出します。
マドプロ出願の場合は、特許庁は方式的な審査しか行いませんが、商品の記載等に不備があれば、ファックス等で出願人に修正を求めます。不備が解消されれば、特許庁はスイスにある国際事務局に出願書類を送付します。国際事務局でさらに方式審査が行われます。この送付で特許庁とのやり取りが終わるのではなく、国際事務局から欠陥通報が出された場合は特許庁経由で対応する必要が生じます。

PCT出願の場合は、特許庁が(国際調査機関として)実体審査を行い、「見解書」という審査結果を出すことになっています。これに対し、出願人は、補正書(「19条補正」という補正等があります)を提出して出願の内容を修正することができます。

4.特許庁審査官等から弁理士への転身について

弁理士が特許庁審査官になるという話はあまり聞きませんが、特許庁の審査官や審判官が弁理士に転身したという話はよく聞きます。そして、弁理士への転身が多い理由は、審査官等は、一定の条件を満たせば弁理士試験に合格しなくても弁理士になれるからです。弁理士は俗に言う「自由業」であって且つそれなりに安定はしていますので、堅い職業である公務員への転身よりは、弁理士への転身が多くなるのでしょう。弁理士試験を受けるのではなく審査官から弁理士になることを目標として特許庁に入庁する人もいるようです。
なお、特許庁のデータによると、審査官補として特許庁に入庁する人の約8%が弁理士資格を持っています。このパターンは、特許庁内の審査実務に興味がある弁理士が、審査官補になってみるという例だと思います。そして、また弁理士に戻ることがほとんどではないでしょうか。

審査官等は、審査等の事務に従事した期間が通算して7年以上になると、弁理士登録する資格が与えられます。特許庁は、公開している審査官採用に関係するパンフレットにも、審査官から弁理士になった人のインタビューが掲載されています。特許庁も審査官が弁理士になる道があることを示すことにより、幅広く審査官を募っていると思われます。

5.まとめ

いかがでしたか?特許庁と弁理士は、出願手続だけでなく、いろいろなところで密接な繋がりがあることをお分かりいただけたでしょうか。
また、特許庁が意見募集を行った場合等は、日本弁理士会でも関係する委員会で話し合って意見を述べたりするようです。特許庁としても、印紙料収入を増やすためにも、弁理士にも協力してもらい、出願件数の増加に繋げていかなければなりません。

弁理士としても、特許庁と密な繋がりを持つことで、有用な情報をいち早く入手でき、依頼人等へ様々な提案を行えるようになります。
IoT時代を迎え、知財においても国際競争が激しくなっていますので、弁理士と特許庁が良い繋がりを持ち続け、協力していくことが今後ますます重要になってくるでしょう。

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