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特許技術者

特許技術者とは

2020年5月1日
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公開日:2017/01/04 | 最終更新日:2020/05/01

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特許技術者とは、特許事務所の所員のうち、弁理士資格を所有しておらず、主に、発明を特許出願する場合に必要な「明細書、特許請求の範囲、要約書」を作成する人をいいます。これらの書類とは別に、図面を添付する場合がありますが、図面は、通常、CADなどのソフトを扱う図面担当者が作成します。

特許技術者としての就職

昔と異なり、今は、弁理士になることを志して、特許技術者として特許事務所に就職することが多くなっています。特許技術者として、特許明細書作成業務に携わり、実務経験を積みながら、弁理士資格の取得を目指すのです。

大学・大学院を出てすぐに、特許技術者として特許事務所に就職する場合もあれば、一般企業に勤務した後、20代・30代で特許事務所に転職して特許技術者になることもあります。なお、40歳を超えて特許技術者として就職することは稀で、そのような年齢の場合は、弁理士資格を取得した後、弁理士として特許事務所に就職することがほとんどです。その場合、一般企業の知財部経験者や研究開発経験者、特許庁審査官などが多い傾向のようです。

特許技術者の仕事

特許事務所に入所すると、まず、弁理士やベテランの特許技術者に指導してもらい、主な法律の規定、特許明細書作成業務、及び、特許出願業務の基礎を習得します。特許技術者の主な仕事内容は、以下のとおりです。

・明細書、特許請求の範囲(通常、「クレーム」といいます)、要約書の作成
出願書類の中核をなす書類です。これらによって権利範囲がほぼ確定しますので、非常に重要な作業です。これらの書類の作成にあたっては、通常は、弁理士が、特許技術者に代わってクライアントとのやり取りを行うか、少なくとも特許技術者と一緒にクライアントの話を聞くようにして、責任の所在を明確にしておきます。

・出願後に特許庁から出された拒絶理由通知に関するクライアントへの報告及びコメントの作成
出願後、出願審査請求を行った案件は、審査官による審査が開始され、特許査定になるか、または、拒絶理由通知が発行されます。拒絶理由通知が発行された場合は、原則として、まず、特許事務所で拒絶理由通知の内容を確認し、その内容の説明文及び事務所としてのコメントを作成します。これらの書類は、作成後、通常は、(ベテラン特許技術者及び)弁理士がチェックしてから、クライアントに送付します。

・拒絶理由通知に対する意見書や補正書の作成
上記のコメント等を送付後、クライアントから拒絶理由通知に対応するよう指示があれば、その指示内容に基づき、特許庁に提出する意見書や補正書を作成します。案件によっては、この作業が最も難しい作業になります。

・クライアントとの面談
クライアントが事務所を訪問したり、依頼されてクライアント企業を訪問することもあります。通常は、弁理士の同席の下、面談を行います。

なお、弁理士法第75条において、弁理士資格を持たない者は、報酬を得て特許出願の代理業務等を行うことができず、行った場合、同法第79条に基づく罰則(1年以下の懲役、100万円以下の罰金)を受ける可能性があります。そのため、特許技術者の作業は、弁理士の管理・監督の下で行われなければなりませんが、実際には、ある程度の経験を積んだ特許技術者は、独断で作業を進めていることがあり、しばしば問題視されています。

ここで、特許技術者の仕事内容について、事例を挙げて具体的にご紹介します。

(1) 特許技術者Aさん(36歳、実務歴1年6ヶ月、専門分野:機械)
Aさんは、難関国立大学の修士課程を修了した後、約10年間大手機械メーカーの開発部門に在籍していました。
特許出願の発明者として、知財に関わっていくうちに、もともと勉強好きだったこともあり、弁理士を目指そうと考えました。当該機械メーカーに勤務しながら弁理士を目指すことも考えましたが、年齢的に特許事務所に転職して明細書作成能力を身に付けた方がよいと判断し、34歳のときに特許事務所に入所しました。

2回目の受験で短答試験に合格し、その年の論文試験に合格することはできませんでしたが、現在は最終合格を目指し、勉強を続けています。
Aさんの現在の年収は、約400万円です。

(2) 特許技術者Bさん(48歳、実務歴25年、専門分野:化学)
Bさんは、大学卒業後、すぐに特許事務所に就職しました。所長に勧められ、最初は弁理士を目指していましたが、なかなか短答試験に合格できず、15回受験した後、弁理士になるのをあきらめました。

しかしながら、人に好かれるタイプのため、Bさんを頼って依頼してくるクライアントが数多くあり、Bさんは、今の特許技術者としての仕事にやりがいを感じています。
Bさんの現在の年収は、約600万円です。

(3)特許技術者Cさん(66歳、実務歴47年、専門分野:機械)
Cさんは、工業高校を卒業後、特許事務所に就職しました。就職当時は、弁理士や特許技術者の数が少なかったこともあり、高卒でも特許技術者として特許明細書作成の仕事を割り当てられました。

さらに、Cさんは発明の本質を見出すことに長けていたことから、クライアントから多くの依頼があり、弁理士を含めても特許明細書の作成件数が所内で最も多くなっています。年齢的にも、そろそろ引退を考える時期ですが、事務所としてもできるだけ長く勤務してくれることを希望しており、引き際が難しいのが悩みの種です。

また、最近は、特許明細書の作成時において外国出願を考慮した内容にする必要があったり、新しい判例や度々発生する審査実務の変化に対応しなければならなかったりして、負担が大きくなったと感じています。
Cさんの現在の年収は、約1000万円であり、所長に次ぐ金額になっています。

いかがでしょうか。特に老舗の特許事務所では、上記のように、いろいろなタイプの特許技術者がいるのです。

特許技術者の年収

今の時代であれば、特許事務所に就職した特許技術者の年収は、300万円~500万円が一般的です。上でご紹介したように、年配の高収入の特許技術者がいる一方で、若手特許技術者の年収はその半分以下、ということもあります。年齢に関わらずより多くの仕事をこなせるようになれば、高収入となる特許事務所もあるようです。弁理士になることができれば、年収は若干上がり、より業務範囲を拡大する事が出来るようになれば、さらに高収入を目指す事も出来ます。

特許技術者の今後

今後は、上述のAさんのように、弁理士を目指したりすることにより、法律知識を得て、法改正や判例による実務の変化についていけなければ、特許技術者として仕事を続けていくのは難しいでしょう。
また、他の所員にはできないことを身に付ける必要も大切です。たとえば、最近は外国出願の件数が増加していますので、英語を勉強して、特許翻訳もできる特許技術者になれば、将来性はあるでしょう。

そのため、弁理士になるための勉強を続けていくか、または、特許翻訳ができるよう英語を勉強していくのが得策であると考えます。
弁理士になると、パートナー弁理士になったり、他の事務所に転職したり、あるいは、開業して所長弁理士になる道も開けてきます。日本弁理士会が開催するセミナー等にも無料で参加できたりしますので、人脈や仕事の幅が広がっていきます。
また、能力のある特許翻訳者の数は不足していますので、特許翻訳の仕事ができると、年収が高くなり、転職もしやすくなるでしょう。

まとめ

以上にように、特許技術者は特許事務所において非常に重要な役割を担っている一方で、今後どのようなスキルを身に付けていかなくてはいけないのか、個別で検討を重ねていく必要があります。ご自身だけで考えるのではなく、特許事務所業界に詳しい第三者的立場の方に相談してみると、今後のキャリアプランも見据えられる可能性がありますので、相談してみるのも手でしょう。

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