会計士試験の科目の内容と学習方法、実務における関連性について
公開日:2017/07/25 | 最終更新日:2017/07/25
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会計士試験の科目の内容と学習方法、実務における関連性、について、確認してみましょう。
会計士試験制度
公認会計士試験は、公認会計士になろうとする方々に必要な学識及びその応用能力等を有するかどうかを判定することを目的として、短答式(マークシート方式)及び論文式による筆記の方法により行います。受験資格はありませんが、短答式試験は12月と5月の年2回、実施され、どちらかの試験で合格すると論文試験を受験することができます。
短答式試験は、財務会計論、管理会計論、監査論及び企業法について行い、論文式試験は、短答式試験に合格した者及び免除された者について、会計学、監査論、企業法、租税法及び選択科目(経営学、経済学、民法、統計学のうち受験者があらかじめ選択する1科目)について行います。
なお、合格基準は、以下のとおりとなっています。
1. 短答式試験
配点はそれぞれ、財務会計論200点、管理会計論100点、監査論100点及び企業法100
点となっている。
総点数の70%を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率とする。ただし、1科目につき、その満点の40%に満たないもののある者は、不合格とすることができる。
2.論文式試験
配点はそれぞれ、会計学300点、監査論100点、企業法100点、租税法100点及び選択科目100点となっている。
52%の得点比率を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率とする。ただし、1科目につき、その特典比率が40%に満たないもののあるものは、不合格とすることができる。
引用元:http://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/qanda/02.html#01
会計士試験科目の内容
会計士試験科目の内容について、確認してみましょう。
財務会計論
財務会計論の分野には、簿記、財務諸表論、その他企業等の外部利害関係者の経済的意思決定に 役立つ情報を提供することを目的とする会計の理論が含まれる。 簿記は、企業等の簿記手続の理解に必要な基本原理、仕訳、勘定記入、帳簿組織、決算及び決算 諸表の作成について出題する。また、財務諸表論は、企業等の財務諸表の作成及び理解に必要な会計理論、会計諸規則及び諸基準並びに会計処理手続について出題する。
管理会計論
管理会計論の分野には、原価計算と管理会計が含まれている。原価計算は、材料、仕掛品及び製 品等の棚卸資産評価並びに製品に関する売上原価の計算について出題する。また、管理会計は、利 益管理、資金管理、戦略的マネジメント等を含み、会計情報等を利用して行う意思決定及び業績管 理に関連する内容について出題する。
監査論
監査論の分野には、公認会計士又は監査法人(以下、公認会計士)による財務諸表の監査を中心と した理論、制度及び実務が含まれる。すなわち、財務諸表監査、中間監査、四半期レビュー及び内 部統制監査の理論、制度及び実務を出題範囲とする。 このうち制度に関する出題範囲の中心となるのは、わが国の監査の基準の設定主体である企業会 計審議会が公表する監査基準等及び公認会計士による 財務諸表の監査に係る諸法令である。
企業法
企業法の分野には、会社法、商法(海商並びに手形及び小切手に関する部分を除く)、金融商品 取引法(企業内容等の開示に関する部分に限る)及び監査を受けるべきこととされている組合その 他の組織に関する法が含まれる。 会社法に関しては、会社法の全体を出題範囲とする。
租税法
租税法の分野には、租税法総論及び法人税法、所得税法などの租税実体法が含まれる。 租税実体法については、法人税法を中心として、所得税法、消費税法の構造的理解を問う基礎的 出題とする。また必要に応じ、これらに関連する租税特別措置法、並びに法令の解釈・適用に関する実務上の取り扱いを問う
経営学(選択科目)
経営学の分野には、経営管理と財務管理が含まれる。経営管理は、経営管理の基礎及び経営管理の個別領域のうち、経営戦略、経営計画、経営組織、組織行動、経営統制を出題範囲とする。
経済学(選択科目)
経済学の分野には、ミクロ経済学とマクロ経済学が含まれる。基礎的な理論の理解を問う。ここでいう基礎的な理論とは、多くの大学で必修とされているミクロ経済学とマクロ経済学の内容を意味する。
民法(選択科目)
民法の分野は、財産法の分野と家族法の分野に大別されるが、このうち財産法の分野、すなわち 民法第1編[総則]、同第2編[物権]及び同第3編[債権]並びに関連する特別法を出題範囲とする。
統計学(選択科目)
統計学の分野には、記述統計と確率、推測統計、相関・回帰分析の基礎が含まれる。
引用元:http://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/hani29-b/01.pdf
会計士試験に合格するための学習方法
会計士試験科目に合格するための学習方法について、確認してみましょう。
財務会計論
財務会計論は簿記と財務諸表に分かれます。簿記は財務諸表の作成がメインですが、財務諸表は、理論的な背景がメインとなります。よって、簿記と財務諸表は密接的に結びついており、一緒に学習を行うべきでしょう。
この科目は短答式と論文式の両者において、配点の大きい科目であり、財務会計論をマスターすることが会計士試験合格の近道になるといえます。
管理会計論
管理会計論は製品の原価計算と経営者の意思決定の2つの分野に分かれます。
短答式試験では、財務会計論と科目が分かれていますが、論文式試験では、会計学として、同一科目としてまとめられています。まずは、計算方法をマスターして、計算に裏付けとなる理論を抑えていくとよいでしょう。
監査論
監査論では、財務諸表監査制度に関する内容と会計士としての資質や価値観を学習していきます。会計士として実務を行う上で欠かせないもいのであり、重要性の高い科目であるといえます。監査制度に関する意味や必要性を意識して、学習するべきでしょう。そして、理論的な背景を確認して、会計士として行うべき姿勢をイメージできるようにするとよいでしょう。
企業法
企業法の中心は会社法になります。会社法は、会社を取り巻く組織、運営、活動の具体的な内容を学習します。法律の特有の言い回しに慣れていき、会社法の体系と考え方を抑えていくとよいでしょう。
租税法
租税法では、監査を行う上で必要な法人税、所得税、消費税の基礎的な理解が問われます。
会計との関連性が強いので、会計科目を攻略することで、租税法対策にもなります。
この科目は、短答式試験にはなく、論文式試験で新たに加わる科目となります。
経営学(選択科目)
経営学は論文式試験における選択科目となります。企業経営に関する経営戦略論やファイナンス理論を学習します。
ボリュームが少なく、会計士が行うアドバイザリー業務にも関連するため、選択する受験生が多い科目です。
経済学(選択科目)
経済学は論文式試験における選択科目となります。この科目はミクロ経済学とマクロ経済学に分かれます。体系化された科目なので、基礎をしっかりと身に着けるべきでしょう。
民法(選択科目)
民法は論文式試験における選択科目となります。民法は条文の解釈や対立点を理解することがポイントとなります。改正点が影響する科目なので、負担となるようであれば、他の科目を検討してもよいでしょう。
統計学(選択科目)
統計学は論文式試験における選択科目となります。データ解析やファイナンス理論に必要なことを学習します。数学のレベルが最低でも高校文系数学必要とされます。
まとめ
会計士試験制度は受験資格がなくなり、短答式試験も年2回となり、門戸が広くなりました。短答式試験論文式試験の内容も関連性が強いです。自分の学習スタイルに合う資格取得スクールの利用も検討して、短期合格を目指しましょう。
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