SACTサムライマガジン
公認会計士監査法人

監査法人への転職事情

2016年12月6日
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公開日:2016/12/04 | 最終更新日:2016/12/06

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最近、ある大手メーカーの企業で不正な会計処理を行った事件が発覚し、世間の監査法人に対する見方が厳しくなってきています。しかし、株式公開やIFRSへの対応などで監査法人の需要は高まっており、成長率も上がってきています。このような状況で会計士の監査法人の転職事情はどうなっているのか、確認してみましょう。

監査法人とは

元々は上場企業における監査は個人の公認会計士が行っていたのですが、昭和40年の相次ぐ会社の倒産で、粉飾決算が明るみになり、会計士の虚偽の監査証明が発覚しました。
これをきっかけに、公認会計士法は制定されて、組織的に監査を行う監査法人が新しく創設に至りました。この監査法人の誕生により、会計士の監査における信頼性と中立な立場がより明確になりました。

また、監査法人の設立には最低5人以上の公認会計士が社員になる必要があります。
監査法人は合名会社をベースとしており、監査法人の場合の社員は出資者であり、株式会社でいう株主と取締役を兼ねている立場になります。社員は無限連帯責任の立場になります。
したがって、監査証明業務に係る責任については、特定の監査証明業務に関与していない社員であっても関与した社員と区別されることなく、被監査会社等からの損害賠償責任を負うことになります。

しかし、この従来型の監査法人の形は社員数の増加、企業活動の多様化や国際化により、変化を遂げていきます。平成19年に有限責任の監査法人制度が創設されました。昭和41年に監査法人制度が創設された当時と異なり、監査法人の大規模化などの現状においては、合名会社制度をモデルとして社員の相互監視と相互牽制を前提としている監査法人制度が社員に求めている損害賠償責任の無限連帯責任制は現実にそぐわない面が出てきていること、諸外国ではパートナー(社員)の責任を有限化している監査事務所が一般化していること等により、我が国においても非関与社員の責任を限定する提言がなされてきました

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/pdf/2-15-8-2-20080610.pdf
有限責任監査法人制度に関するQ&Aより1部引用

監査法人の業務

監査法人のメインのサービスは監査業務になります。監査業務とは企業や地方公共団体が作成した財務諸表が適正性を確認する仕事です。BIG4と呼ばれている新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人、あらた監査法人では公認会計士以外にも、システム監査やコンサルタントなどの専門家もいるため、監査業務のみならず、
株式公開の支援業務やアドバイザー業務も行っています。このBIG4に対して、規模の小さい監査法人では監査業務のみに特化しているケースが多いです。

上場企業の場合は3月決算が多く、この3月決算の顧客に対しては、公認会計士は、4月から5月ごろに顧客の会社に往査して、期末の監査業務を行います。監査手続き終了後に、会社法監査報告書と金商法の監査報告書を提出して、監査意見を表明します。また、上場企業は四半期ごとに財務諸表を作成しており、この四半期財務諸表の適正性を確認する四半期レビューを行います。
そして監査業務以外では、株式公開支援業務、IFRS導入支援、地方自治体に対する外部監査等、M&Aに対するアドバイザー業務も行っています。これらの業務は、会計士が監査業務と兼任で行う場合もありますが、監査業務が忙しい場合は、コンサルタントと提携して行うことが多いです。

監査法人の転職事情と年収

監査法人への転職事情について考察してみます。
どの業界でも同じですが、経験値により転職事情は異なります。監査法人での監査の経験がある会計士は他の監査法人への転職はしやすく、年齢が若いほど有利となっています。

そして、監査法人業界の転職事情は、公認会計試験合格者の就職状況に影響を受けやすいです。公認会計試験合格者の就職は厳しい状況の時は転職組の採用も控えており、公認会計試験合格者の就職が好調の時は、転職組の採用も積極的に行う傾向にあります。
さらに、監査経験がない民間の上場企業経理職の公認会計士の場合は、監査法人の採用は景気に左右されることが多く、監査の経験がある会計士と同じく、年齢が若いほど有利となっています。

監査法人では、転職組はスタッフレベルからシニアスタッフレベルをターゲットとしています。スタッフレベルの年収は500万円、シニアスタッフレベルで650万円が想定されます。場合によってはマネージャー職以上を採用する場合もありますが、年収は1,000万円が想定されます。
年収と監査法人の規模に関しては、BIG4監査法人の年収は最も高いレベルにあります。ただし、BIG4監査法人の間での格差はないといえます。それぞれの監査法人の業績や部門の業績で差がつきますが、この事情は民間企業の場合と変わらないといえます。

そして、監査法人の規模により、年収の格差が生じてきます。準大手監査法人では、BIG4監査法人と比較して、年収は100万円ほど低くなっています。ただし、監査法人の業績や部門の業績、残業の状況で格差がない状況に人もいます。さらに、中小の監査法人では、BIG4監査法人と比較して、年収は200万円ほど低くなっています。

監査法人の採用動向と求人例

監査法人では、対象となる監査のポジションにより採用の動向が違ってきます。
一般の民間企業向けの会計監査では、BIG4での監査経験者を中心に積極的に人材の採用が行われています。
また、金融機関向けの会計監査では、最新の会計基準に精通していることが条件ですが、スタッフは多くの数を必要としており、採用人数も多くの会計士の募集を行っています。
いくつかの監査法人の求人例を確認してみましょう。

1.大手監査法人(BIG4)

(仕事内容)
■監査業務・法定監査業務 ・財務諸表監査・内部統制監査・IFRS関連業務
■金融機関向け監査業務 (国内・外資銀行、証券会社等)
■パブリック業務
■IPO (株式公開)業務

経験・スキル: 監査法人、事業会社等での監査・会計実務経験者
資格・ライセンス:  論文式試験合格者 (スタッフ)
※日本公認会計士・USCPA資格取得を目指す方々については「監査トレーニー」として募集しています。

想定年収
450万円 ~ 1000万円

2.中堅監査法人

ワークライフバランスの取れた中堅監査法人にて監査経験のある若手公認会計士の募集!残業は大手監査法人の半分以下。時短勤務の方も多数。

(仕事内容)
①上場企業、会社法適用企業、公会計に関する会計監査
②スポットで発生する各種会計コンサルティング業務

【必須条件】
・会計士試験合格者
 ※役職についてはご経験や前職での役職を考慮し、シニア~マネージャーでのポジショ  ンを想定しております。
・コミュニケーションをとることが好きな方

【歓迎条件】
・英語力のある方(出張等で海外行くことも)

【求める人物像】
・責任感の高い方
・柔軟性のある方

想定年収
600万円 ~ 1000万円

BIG4と中堅監査法人の求人例で2つとも最高で年収1,000万円を想定しています。経験とポジションにもよりますが、中堅監査法人でもBIG4との年収の大差はあまりないようです。監査能力以外に英語やコミュニケーション能力がポイントになるといえます。

まとめ

最近の会計に関する不祥事は目に余るものがあり、株式市場の健全性を守る監査法人の責任は以前にも増して、高まってきています。公認会計士は給与の高い職業ではありますが
責任の重い仕事であるといえます。公認会計士の業務は監査業務だけでなく、IFRS関連業務や株式公開業務もあり、活躍する分野は広がっているので、転職の際は、様々な可能性を求めてみましょう。

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