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IPO監査法人

IPOの実務とIPOにおける監査法人の役割

2017年11月24日
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公開日:2017/11/24 | 最終更新日:2017/11/24

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IPOの実務の内容と、監査法人のIPOの実務における役割について、確認してみましょう

IPO実務の流れ

IPO実務の流れは以下のようになります。

・IPOコンサルタントの選任

まずは、IPOについて豊富なノウハウをもったコンサルタントを選定します。IPOコンサルタントは、IPOに向けたスケジュール管理、予備調査への事前対策、証券会社や監査法人への対応の指導等を行います。公認会計士のIPOコンサルタントの場合は、監査法人の行うショート・レビューへの事前対策も対応できるので、より最適であるといえます。

・事業計画の策定

ビジネスモデルの詳細を検討して、市場規模の動向・シェアの確保状況の制約等をもとに、企業の成長予測を年度ごとの数値を算出し、5年間の長期計画、単年度の計画を策定します。この計画は、利益に関する計画が中心となります。利益計画は、損益計算書の利益を予想するだけでなく、資金計画や設備投資計画等も策定する必要があります

・資本政策の策定

IPOを意識した資本政策案を策定します。将来的にVCからの資金調達が必要であれば、オーナーのシェア低下対策として、事前にストックオプションを発行します。

・内部統制の整備と規定の整備

IPOを意識して内部統制を整備していく必要があります。監査法人の予備調査の結果、内部統制が未整備の箇所について、指摘事項を受けることが多いです。よって、監査法人の予備調査を受ける前に、監査法人出身で株式公開準備の経験のある公認会計士等に依頼し、内部統制の整備をあらかじめ、行うとよいでしょう。

・内部監査実施

内部監査室等の部署を設けて、内部監査担当者により内部監査を実施します。内部監査担当者は年間の内部監査計画を策定します。監査に際して、内部監査担当者は、監査調書を作成し、監査結果は監査報告書にまとめられ、監査対象となった部門の責任者に交付されます。内部監査担当者は、公認会計士又は監査法人の行う外部監査や監査役の行う業務監査や会計監査と連携して業務を遂行することで、より効果的な監査が可能となります。

・管理会計の導入

企業の部門が複数の場合、部門別損益計算が必要となり、製造部門があれば原価計算制度を導入する必要があります。通常は監査法人と相談して、原価計算制度を導入します。ここで、原価計算システムの導入が必要となるケースもあります。

予備調査

監査法人は、会社の状況を理解するとともに上場に向けての課題を把握するため、予備調査を行います

・外部監査人の選定

IPOでは、専門家である監査法人に会社の決算が適正であるという承諾をもらう必要があります。その役割を担うのが監査法人です。外部監査人としては、監査法人が選任されるケースがほとんどです。なお、監査証明は直前期と直前前期の2期分必要となります。よって、直前前々期において外部監査人を選任することとなります。

・棚卸と立会

製品・商品の在庫がある場合、実地棚卸を行う必要が生じます。また、長期滞留品の有無や評価減の必要性の有無についての検討も必要となります。そして、会社が実施する棚卸に外部監査人である公認会計士が立ち会うこととなります。

株式上場と監査法人の役割

株式上場を目指している会社に対する監査法人の主な役割は、証券取引所における上場審査基準で求められる「会計監査」を実施することです。この監査の対象となる財務諸表等の作成に際しては、最新の会計基準の適用と会計処理の適正化が必要となりますが、それらについての指導・助言を実施することも監査法人の役割となります。その他に、株式上場後に適用される内部統制報告制度(J-SOX)にも対応した社内管理体制の整備が必要になりますが、それについての指導・助言を実施することも監査法人の役割となります。

ただし、このような指導・助言を超えて、監査法人自身が財務書類の作成業務を行うことや、社内管理体制の構築方法を決定することはできません。世間の人々から、会社と監査法人との間の馴れ合い関係を疑われるおそれがあるためです。従って、監査法人の指導・助言を十分受けたうえで、会社自身が財務書類を作成し、社内管理体制を構築する必要があります。
様々な業種に属する数多くの会社の株式上場について指導・助言を実施した経験を持っている監査法人は、「株式上場の専門家集団」であるといえます。そのため、監査法人の指導・助言を受けることで株式上場に向けた具体的な準備作業をより効果的、かつ、効率的に進めていくことができます。多くの場合、会計監査の受託に先立って実施される監査法人による「ショート・レビュー」を受けて、株式上場を実現する上での問題点を把握し、それを改善するための方策を立案して、着実に実行していくことが、株式上場を実現するための早道となります。

なお、監査法人では、ショート・レビューのサービスがIPO業務において、大事なサービスとなりますが、具体的な内容は以下のようになります。

① ショート・レビュー
イ.会計処理の企業会計の基準への準拠性に関する調査(財務調査)
ロ.株式上場のための経営管理制度等の調査(制度調査)
イ. の会計処理の企業会計の基準への準拠性に関する調査(財務調査)は、特定の(一般には直近の)財務諸表等の作成にあたって採用されている会計処理基準と一般に上場企業に求められている会計処理基準との相違を検討・報告するサービスです。調査の範囲が個々の案件により異なることが多いため、調査手続、調査範囲および報告様式については、当事者間であらかじめ合意した上で、手続きを行います。
ロ. の株式上場のための経営管理制度等の調査(制度調査)は、株式上場へ向けた経営管理制度等に関する現状把握を行い、想定される証券市場や上場時期との関係において、上場審査基準(形式要件と実質審査基準)の適合状況を検討するサービスです

引用元:https://www.eyjapan.jp/services/assurance/ipo/ipo-basic/04.html

IPO実務検定

IPO実務に関する資格としては、IPO実務検定がある。IPO実務検定の特徴は以下のとおりです。

IPO実務検定は、上場準備の実務を遂行するにあたって必要となる知識をまんべんなく、総合的に問う本邦初の試験であり、豊富な実務経験を持つ上場準備の専門家が中心となって膨大な上場準備実務を分析・体系化することにより、実務に根ざした問題を中心に構成されています。したがって、IPO実務検定に合格するための勉強をすれば、短期間で自然に上場準備の実務能力を身につけることができます。IPO実務検定の受験勉強を通じて学んだことは、現在上場準備企業で働く方や、上場関連のビジネス(監査法人、ベンチャーキャピタル、証券会社など)に携わる方にとっては仕事にダイレクトに役立つことはもちろん、これから上場準備の世界に身を置きたいと考えている未経験者や学生にとっては、上場を目指す成長企業に転職・就職するためのツールとしても役に立つはずです。

また、IPO実務検定の資格のレベルは、標準レベルと上級レベルに分かれ、試験科目と出題方式は以下のようになります。
標準レベル
試験科目:「倫理・社会的責任」「制度・コンプライアンス」「上場準備実務」
出題方式:択一式(60問)
上級レベル
試験科目:「制度・コンプライアンス」「上場準備実務」
出題方式:択一式(60問)および記述式(3問)
引用元:http://ipo-kentei.or.jp/examination/index.html

まとめ

IPO実務において、監査法人の役割は、上場しようとする会社にとっても、投資家にとっても、与える影響は大きいといえます。未上場の会社は内部管理体制が整っていない場合が多く、監査法人の指摘を受けながら、企業のIPO担当者は、内部体制を構築していきます。
また、IPO実務のノウハウを学ぶ方法としては、IPO実務検定という資格があるので、IPO業務に携わる予定の方は、受験を検討してみてください。

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