会計事務所の仕事内容について
公開日:2016/12/07 | 最終更新日:2020/06/15
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税理士や会計士が経営している会計事務所ではどんな業務を行っているのか、また、会計事務所の求人の仕事内容について、確認してみましょう。
事業会社と会計事務所の違い
経理の業務は通常、事業会社の場合は経理部員を雇い、自社で経理業務や決算業務を行っています。一方で、会計事務所の場合は、複数の顧客と顧問契約を業務委託の形で結び、毎月の経理業務や決算業務を行っています。よって、事業会社の場合は社内向けサービスになりますが、会計事務所の場合は社外に対するサービスになります。事業会社の場合は当然、自社の業務に集中していくことになりますが、会計事務所の場合は複数の顧客を相手に業務を行うことになります。会社によって、決算月はまちまちですが、決算月の2ヶ月後が法人税や消費税の申告書の提出期限となります。よって、例えば3月決算の会社の場合、5月末ぐらいまで繁忙期が続くことになります。
また、業務にあたるスタッフにも違いがあります。事業会社の場合は、税理士の資格を所持している、あるいは科目合格しているスタッフは少なく、実務経験を積んでいる人が多く、自社の経理業務に集中するため、自社の業務に精通している人が多い傾向にあります。
一方で、会計事務所の場合は、税理士の資格を所持している、あるいは科目合格しているスタッフが多いです。なぜなら、税理士の資格取得を目指して、業務にあたっている人が多いからです。よって、高度な知識があり、複数の顧客を相手にしているため、顧客に応じたサービスを提供するという姿勢を身に着けている人が多いです。
例えば、事業会社の場合は、自社の会計ソフトには、勿論対応できますが、他の会計ソフトには対応できない人が多いでしょう。
会計事務所の場合は、顧客が利用している会計ソフトに対応する必要があるため、ある程度、複数の会計ソフト対応できる人が多いです。
いくつか、事業会社と会計事務所の違いを確認してきました。じっくりと実務経験を積みたい人は事業会社、将来的に税理士の資格取得を目指して、複数の会社の決算や申告書作成に携わり、会社経営のコンサルタント業務に携わりたいという人は会計事務所が向いているといえるでしょう。
会計事務所の特徴
会計事務所は、一般の社会人から見ると、その実態が分かりづらいという印象があります。
その理由をいくつか、確認してみます。
まず、会計事務所のメイン業務は会計業務と税務業務になります。会計業務と税務業務は
難解であるというイメージがあり、実際の内容もイメージ通り、否定はできません。
しかし、顧客としては、面倒な会計業務と税務業務を代行してもらい、少しでも税金を減らしたいという思いで依頼しています。よって、会計事務所の業務は顧客のお金や税金という他者には知られたくない部分を知ることになるため、秘匿性が高くなるため、実態が分かりづらくなる傾向があります。
それでは、経理業務は自社で行うにしても、法人税や消費税の申告書作成は会計事務所に依頼しないといけないものなのでしょうか。
法人税や消費税の申告書作成は、そもそも申告納税制度により、納税者自身が自ら、行うべきものです。ただし、前述したように税金の計算は複雑であり、専門的な知識を必要とします。また、税務署の調査があった場合、税務調査への立ち合いも会計事務所では行ってくれるため、会計事務所に業務を依頼するケースが多いです。
よって、経理業務は税理士ではなく、第3者に依頼することは可能ですが、申告書作成の第こうは税理士が独占業務として行える業務です。ただし、第3者に申告書作成を依頼した場合、依頼されて業務を行った人は税理士法違反となります。そのため、申告書には、税理士署名の押印欄が用意されています。この欄に署名捺印できるのは税理士のみになります。
そして、会計事務所の業務は、日常の記帳代行、決算書作成、申告書作成、税務調査立ち合いに分かれます。日常の記帳代行は前述したように、経理部員や記帳代行サービス業者に任せて、決算書作成、申告書作成、税務調査立ち合いのみを税理士に依頼することも可能です。
ただし、日常の記帳代行による会計処理と決算書作成や申告書作成は密接に結びついています。仮に日常の記帳処理を自社で行っていても、第3者の目でチェックして、より質の高いものにしておく必要があります。そのため、大抵の会計事務所では月次で顧問契約を結び、顧問報酬を受けている形態をとっている人が多いです。
税理士は税理士試験に合格した人以外に会計士や弁護士でも税理士資格を登録して、税理士業務を行えることができ、税務署で国税専門官として勤務していた人でも一定の条件を満たしていれば、税理士資格を登録できます。よって、税理士によってバックグラウンドが異なります。
さらに、会計事務所では、大抵の企業の会計や税務には対応できるようになっています。
上場企業の場合は、例外でしょうが、中小零細企業であれば、どの企業でも対応は可能でしょう。ただし、最近では相続や資産税業務に特化して、記帳代行は受けないというスタンスをとっている事務所もあります。
※関連記事
税理士に求められる役割(法人税編)
税理士に求められる役割(相続税編)
税理士に求められる役割(所得税編)
会計事務所の求人例
会計事務所の求人内容を確認してみます。
1.中堅の会計事務所
中小・中堅企業、個人事業主を対象に、税務会計業務全般を行って頂きます。
(業務内容)
・月次巡回、経理指導
・決算及び各種税務申告書作成
・税務相談、経営相談全般
・年末調整、個人向け確定申告
・給与計算、社会保険手続き
・法人設立の登記支援業務
・相続税申告書作成業務
(業務のポイント)
・最終的に担当数は30社近く持って頂くことになります。但し、記帳等の入力・資料作成は入力担当と分業体制を取っており、担当数は一見多く見えますが、すべてを自己完結で行うことわけではないので、過度に忙しくなることはありません。
・相続税申告はグループ全体で年間60~70件、年間数件程度は関与して頂くことになります。
・自計化率は約50%、また入力専任の担当もいるため、記帳業務のボリュームは少なめです。
・会計ソフトは弥生会計、申告ソフトはTKCがメイン。
(必須条件)
・会計事務所にて税務会計業務の実務経験を有する方
・税理士科目1科目以上の資格を有する方
2.公認会計士の会計事務所求人
□会計帳簿作成・税務申告書作成
□株式公開コンサルティング
□外資系企業の会計税務サポート
□税務コンサルティング(米国IRSへの申請等も含む)
□株価算定(ストックオプションのブラックショールズモデルやモンテカルロシミュレーションによる評価等も含む)
□株価鑑定(裁判所から「裁判目的の株価鑑定」も受託)
□事業計画作成(東証1部上場の警備会社子会社等からの受託)
□各種財務コンサルティング
□財務デューデリジェンス(東証1部上場の大手メーカー等からの業務も受託)
【求める人材像】
当会計事務所の特徴は、通常の会計・税務を中心に、株式公開支援・資本政策立案等といったベンチャー企業支援や各種のファイナンスコンサルティング業務に積極的に取り組んでいる点です。会計・税務のみならず、ファイナンスコンサルティングに関心があり、真面目で成長意欲の高い人材を希望致します。
【資格等】
税理士、税理士科目合格者(特に消費税科目合格者)は優遇します。
税理士の方のパートタイム勤務も歓迎致します。US CPA(米国公認会計士)に関しては、最低でも日商簿記2級取得を必須とします。公認会計士、US CPA(米国公認会計士)については、税務業務に真剣に取り組む意欲があり、最低3年以上の勤務意思のある方に限らせていただきます。
2つの特徴の違う会計事務所ですが業務内容は多岐にわたっています。コンサルタント業務が中心であるのが特徴といえます。また、スタッフの数の影響もあるのでしょうが、分業体制をとっており、資格としては税理士科目、税理士資格者を対象としています。
まとめ
ITの発達で会計ソフトが便利となり、記帳代行業務は効率化されてきています。会計事務所の業務もコンサルタント業務が中心であり、公認会計士の会計事務所では、上場企業向けのサービスがメインとなっています。記帳代行より、決算書作成や申告書作成の比重が高く、今後は高齢化に伴う相続関連の業務も増えてくるでしょう。
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