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求人知財

知財の求人動向について

2018年6月4日
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知財は知的財産の略語ですが、知的財産あるいは知的財産権とは何でしょうか。知的財産権の定義は、知的財産基本法の第2条に「この法律で『知的財産権』とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。」と規定されています。これらの権利を取得・活用するために、さまざまな業種で求人が行われています。今回は、知的財産権のうち、特許権、意匠権、商標権、及び、著作権について、権利毎に、活用方法や求人の動向を見ていきたいと思います。

1.特許権

(1)特許権の取得と活用について
特許庁が公開している「特許庁ステータスレポート2018」によると、2017年の特許出願件数は約318,000件であり、過去10年間では最低レベルですが、ここ3年ほどは横ばいの状態です。

電気機器メーカーの不振などにより特許の出願件数は減り続けていましたが、景気の回復や、国際標準化を巡る外国との競争、AIやIoT関連発明の推進などにより、今後は出願件数が増加する可能性も指摘されています。

最近は、通常の特許発明の実施やライセンス許諾及び侵害訴訟提起の他、知財の価値評価や標準必須特許、パテントプールなど活用の仕方も多種多様になってきました。

(2)特許に関する求人動向について
特許出願件数が伸びない中、求人件数は増加しています。それは求められる人材が多様化しているためです。
現在も、特許明細書作成担当者に関する募集が最も多いのですが、外国特許担当者や特許翻訳者の求人も多くなっています。日本出願と異なり、外国出願の件数は増加していますので、それに伴う傾向でしょう。
また、上記(1)で述べたとおり、国際標準化を見据えた発明やIoT絡みの発明が増えていますので、特に機械・電気分野の求人が増えているようです。

2.意匠権

(1)意匠権の取得と活用について
「特許庁ステータスレポート2018」によると、2017年の意匠登録出願件数は約32,000件であり、30,000件を下回った2014年、2015年からは、増加に転じています。

件数が増加している要因の1つとして、2015年に加盟した「意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定」が挙げられます。この協定は、日本で同年5月13日に発効しました。上述の2017年の出願件数のうち、約7%にあたる2,200件ほどが国際意匠登録出願でした。したがって、国際意匠登録出願が意匠登録出願全体の件数を押し上げていると言えます。

意匠法は、物品の美的外観を保護するものであり、特許のような「技術の累積的進歩」という考え方はありません。
そのため、活用方法としては、新たな意匠を創作した場合、その斬新さを謳って早期かつ大々的に販売活動を展開することが一般的です。需要者は、その斬新なデザインに惹かれて商品を購入するからです。そのうえで、斬新さがなくなり、商品の売れ行きが鈍れば、全く別の意匠を創作することを考えなければなりません。

このような状況から、登録意匠について他人に実施許諾を行うことは、特許ほどは多くありません。
なお、最近でも意匠の活用方法や市場の動向に従来からの変化は見られません。

(2)意匠に関する求人動向について
 意匠は、特許や商標に比べて出願件数も少ないため、従来より求人件数は多くありません。特許担当者や商標担当者が意匠案件も担当している特許事務所が多いと思います。

 意匠案件の仕事を希望するのであれば、数少ない意匠に関する求人に応募するか、特許、商標に関する求人に応募してみて、意匠の仕事もできるか実際に確認することをお勧めします。

3.商標権

(1)商標権の取得と活用について
特許庁が公開している「特許庁ステータスレポート2018」によると、2017年の商標登録出願件数は約190,000件であり、過去10年間では最も件数が多く、他の知財と異なってここ5年間は毎年急激に出願件数が増えています。

理由としては、新しいタイプの商標(音商標など)の出願受付が開始された他、地域ブランドの価値向上に関する働きかけが奏功したことが考えられます。ただし、特許庁は公表していませんが、最近話題になった、他人の商標を無断で大量出願した元弁理士の出願件数がカウントされてこのような状況になった可能性も否定できません。

商標は、継続的に使用されることによって積み上げられてきた「信用」を保護するものですので、活用方法としては、今も自社の商標を製品等に付けて使用することがメインです。最近は、他人にライセンスを許諾することによって、ライセンス収入を得ることも多くなっています。主に商標のライセンスビジネスを行っている会社の活用方法としては、他社への商標の使用許諾以外に、「信用」にただ乗り(フリーライド)されるのを防ぐため、常時他社の商品等をチェックし、必要に応じて、訴訟提起などの法的措置を採ることでしょう。

(2)商標に関する求人動向について
 商標に関する求人も最近は増え始めています。特許事務所による募集が多く、企業からは募集が少ない傾向にあります。
なお、求人件数は増えてきていますが、特許に比べると実際の採用数は少ないものと思われます。また、特許は「急募」という注意書きが付けられていることがよくありますが、商標ではほとんど見られません。
そのため、商標の求人に応募する場合は、自分をアピールする気持ちを常に持っておくことが肝心です。

4.著作権

(1)著作権の活用について
著作権は、創作と共に自然発生する権利です。そのため、特許権や商標権のように、特許庁に出願し、審査を経てようやく権利が得られる、いうものではありません。

ただし、著作権については文化庁に登録申請を行うことが可能で、これにより第三者に対し自分が著作権者であることなどを証明しやすくなります。
著作権の活用については、個人であっても丸Cマークを付けて著作権者であることをアピールすることがよくありますが、団体による活用方法としては、映画の著作物や音楽の著作物でしょう。

特に映画の著作物は製作に膨大な費用と期間がかかることから、他の著作物の保護期間が50年であるのに対し、公表後70年の保護期間が与えられています。

音楽の著作物は、日本では原則として日本音楽著作権協会(JASRAC)によって管理されていて、最近は、JASRACによる著作権の権利行使がよく話題になります。
著作権は権利の発生が明確でないことから、他の知的財産権に比べて争いが生じやすくなります。

(2)著作権に関する求人動向について
 著作権に係る代理は、弁理士でなくても行えますので、求人についてもさまざまなところから行われています。
法律事務所からは著作権に関する係争を担当するための弁護士に関する求人が出されていますし、企業からは自社著作物の管理担当者の求人が出されます。

なお、企業の場合は、著作物の管理を専門とする団体であれば著作権関連業務がメインですが、通常は商標権などの他の知財に関する業務を一緒に行うような求人がほとんどです。
以上のような事情により、一般的な求人と同様に、社会情勢や景気の変動に左右されやすい求人動向となるでしょう。

5.まとめ

 現在は、知財全般に求人動向は悪くないと思われます。取引と知財のグローバル化が進む中で、どの企業・特許事務所も、強みとなる情報と人材を幅広く求めています。知財に興味のある人は、今のうちに知財業界に入り、知識と経験を得ておくことをお勧めします。

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