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仕事内容特許事務

特許事務の仕事内容を業務別に解説します

2017年6月1日
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公開日:2017/05/17 | 最終更新日:2017/06/01

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特許事務所には、大きく分けて、弁理士以外に、特許技術者、特許翻訳者及び特許事務員が在籍しています。弁理士や特許技術者は男性比率が高いですが、特許事務員は女性がほとんどです。特許事務の仕事内容はどのようなものか、詳しく見ていきましょう。

1. 特許事務の仕事内容

(1)電話対応・受付対応
かかってきた電話を取ったり、事務所の入口に近い席に座り、来客などの対応を行います。特許事務所に限らず、一般的な事務員の仕事ですので、通常、特許事務の経験が浅い人が担当します。特許事務所の場合、外国からのゲストが来所することもあり、簡単な英会話ができることが望ましいですが、すぐに翻訳担当者などに取り次ぐことができますので、できなくても問題はありません。来客を応接室に案内した後は、お茶を出したりします。

(2)レター等の受送信
特許事務所は、多くのレターを扱います。最近は、顧客や外国代理人とEメールでやり取りすることが増えていますが、署名書類や証明書類、証拠物件などを扱うこともありますので、その場合は、郵送したりDHLなどの国際宅配便を使ったりします。Eメールの受送信は、通常は弁理士や特許技術者が行いますので、特許事務員は主に郵便物を振り分ける作業を行います。

まず、受信した郵便物を特許関係、商標関係、外国関係など大まかな振り分けを行い、それぞれの部署の別の特許事務員に回して、各担当弁理士等に届けてもらう、という流れが一般的です。逆に、送信する郵便物は、弁理士の指示・チェックの後、先方に送ることになります。

(3)国内顧客向けレター作成
出願完了報告など、国内顧客向けの一般的な報告用レターは定型文ですので、既存データに基づき、特許事務員が作成します。ただ、どの定型文を選択するのかは、ある程度手続の流れが分かっていないと判断できませんので、何年か経験を積んだ人が行うことが多いです。特許庁からの拒絶理由通知などの報告等は、専門的な判断が必要となりますので、通常、対応案などを含めて弁理士がレターを作成します。

(4)外国代理人・外国顧客向けレター作成
英語が得意で、かつ、ある程度経験を積んで実務を理解しているベテラン特許事務員であれば、外国向けの英文レターを作成することがあります。なお、韓国・中国・台湾などの代理人は、日本語でやり取りできるところがほとんどです。ただし、発展途上国の代理人は、期限を守らないことが多く、督促することが頻繁に起こりますので、期限を設定しなければならないような重要なレターは、弁理士が作成・管理することになるでしょう。

英会話が得意であれば、外国からゲストが来所したときや、逆に弁理士が外国代理人の事務所を訪問したり国際会議に参加したりするときに、通訳を頼まれる可能性もあります。

(5)特許庁へのオンライン手続
特許庁へのほとんどの手続は、インターネット出願ソフトを利用してオンラインで行います。この作業も、通常は特許事務の仕事になります。弁理士や特許技術者、チェッカー等がチェックした書類・データについて、オンライン申請の準備を行います。作成書類や操作に問題があると、各段階でエラーが表示されますので、修正しながら最終的には問題の無い手続を行うことができるのですが、至急出願しなければならない案件等もありますので、特許法等の法律や書式に関する基本的な知識を持ち、すぐに対処できる能力は必要でしょう。そのため、この作業は、ベテランの事務員が担当することが多いです。

(6)期限管理
特許事務の仕事のうち、期限管理が最も重要です。原則として、顧客は特許事務所に期限管理を任せていることが多いですので、期限管理に誤りがあると、最悪、権利が失効することになってしまいます。そうなると、事務所が信用を失うだけでなく、場合によっては、損害賠償を請求されることもあります。

そのため、期限の所内のデータベースへの入力及び紙媒体の期限簿への記載を行うにあたっては、ダブルチェックやトリプルチェックを行い、最終チェックは弁理士が行うことが一般的です。また、データベースのバックアップ作業も重要で、定期的に特許事務がこの作業を行うこともあります。
期限が近づくと上記(3)で説明した通り、定型文を用いて、顧客に期限連絡を行うことになります。なお、事務所への回答期限までに連絡がなかった場合は、弁理士に確認の上、督促することもあります。

(7)事件袋作成、データ記入
出願の依頼を受けると、特許事務は、事件袋を作成し、権利化されるか又は拒絶が確定するまでは、その事件袋に書類等を入れて管理します。最近は、ペーパーレスを謳いデータだけを残す特許事務所も多くなりましたが、紙媒体の方が読みやすいことから、まだ、紙媒体の事件袋を作るところが一般的です。新規の顧客については、所内のデータベース等に顧客データを入力します。

出願公開、審査請求や拒絶理由通知等、事件に動きがあると、特許事務は、事件袋を保管場所から取り出して弁理士等の担当者に回し、内容確認とその後の対応を行ってもらいます。

(8)誤記チェック
弁理士が特許明細書や意見書等を作成した後、特許事務員が誤記などの有無をチェックすることがあります。それほど実務に詳しくなくてもできますが、権利範囲や権利解釈に影響を及ぼすことがある重要な作業ですので、通常は、ベテランで几帳面な事務員が担当することが多いです。

2.求められる人材

資格などは必要ありませんが、英語ができるのに越したことはありません。外国部に所属したいのであればできるだけTOEICの点数を取っておくほうがよいでしょう。特許事務は、応募者が多く、結構競争率が高いです。所内で弁理士等の他の担当者とやり取りしますので、几帳面で社交的であることが採用の重要なポイントです。また、必須ではありませんが、特許事務の経験の有無や学歴も、ある程度は考慮されるでしょう。また、向学心を持っていることも重要です。入所後は、特許法等の代表的な規定や知財実務を理解しなければならないからです。

3.給与・待遇

特許事務の年収は、入所時は250万円~400万円であるのが一般的です。事務所によって昇給額が大きく異なりますが、ベテランの特許事務員であれば、年収が500万円以上になることもあります。英語力があれば、さらに年収が高くなる可能性もあります。そのため、場合によっては、他の給料の安い特許事務所の弁理士より年収が高くなっているという話も聞きます。   

雇用形態を見ますと、正社員としての採用がほとんどですが、年齢は35歳未満の人を選ぶのが一般的です。特許事務所は「長く働いてもらいたい」というところが多いからです。また、福利厚生はきちんとしており、いわゆる「ブラック特許事務所」というのはあまり聞きません。
特許事務の場合、定時で帰宅できるところが多いでしょう。

4.まとめ

 
特許事務では、結婚・出産後も退職することなく働き続けている人が多いです。事務所の雰囲気はいろいろですが、他の業種に比べて、働きやすいでしょう。また、上記のように、特許事務の仕事は、かなり細分化されています。それだけ、仕事が専門的で複雑であることを表しています。続けていくと、他の事務職よりずっと大きなキャリアになるでしょう。

特許出願は、新規な発明でなければ権利を取得することができず、商標も商品発売前に出願を行うことがほとんどです。そのような仕事に携われるのは、弁理士でない特許事務員でも喜びを感じるところではないでしょうか。特許事務所は、東京・大阪にある事務所が多いですので、特許事務は、都心のオフィスビルで生き生きと働きたい女性にお勧めの仕事と言えるでしょう。

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