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弁理士特許調査

特許調査について

2020年9月11日
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公開日:2017/04/19 | 最終更新日:2020/09/11

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特許調査とは、特許関連の情報を調べることを言いますが、調査目的によって、方法や調査範囲が異なります。例えば、企業においては、研究開発費が無駄にならないよう公に知られている技術(「公知技術」といいます)を調査し、そのような公知技術が無いことを確認した上で、開発を進めていきます。特許調査について、見ていきましょう。

特許調査の種類

(1) 開発段階調査
研究開発の方針が決まったら、似たような公知技術の有無を調査します。公知技術があると、多額の研究開発費をかけて製品を開発したとしても、それに見合った利益が得られず、また、公知技術が、存続している特許権等に関するものであれば、製品の製造・販売が権利侵害になる可能性が高くなるからです。そのため、公知技術が発見されたら、開発方針を変えるかどうか、又、方針を変えなくても公知技術とは大きく異なる効果が得られるものを開発できるかどうか、判断しなければなりません。

また、製品を開発している間にも、公知技術は増えていきますので、研究開発が進んで、内容がより具体化した段階で、再度調査を行う必要が出てくることもあります。

(2)出願前調査
研究開発がさらに進んで、発明が、特許出願ができるほどほぼ完成された段階で、特許性があるかどうか、出願前に調査を行うことがあります。公知技術が存在していて、それにより特許性が無いと分かれば、出願費用を抑えることがができるからです。
    
ただし、調査範囲を広げすぎると、調査費用が高額になりますので、範囲をある程度絞って調査を行うのが一般的です。

(3)製品化前調査
特許出願を行ったか否かに関わらず、実際に売り出そうとする製品については、他人の特許権等を侵害していないか、調査しておくのが一般的です。権利侵害に該当した場合、特許法等の規定により、その侵害行為には過失があったと推定されるからです。
そのため、出願前調査などの調査よりは、この製品化前調査の方が重要です。

(4)特許無効化のための調査
自社製品の販売に障害となる特許権が発見されたら、販売を断念する方法もありますが、その特許権を失効させることができれば、障害がなくなりますので、特許無効審判を請求することもあります。ただし、無効審判を請求された側は、訂正を行って権利範囲を狭めることによって無効理由を解消することができますので、思い通りの結果にならないかもしれないことには注意が必要です。

誰が調査を行うか

調査を行う場合、キーワードをどうするかという問題もありますので、技術内容を最もよく知る企業が、自社で調査することも多いです。ただし、出願前調査であれば、出願依頼を受けている特許事務所が行うこともあります。その他の調査では、特許調査専門会社が行うことが多いでしょう。特許調査専門会社は、特許調査を主たる業務としており、調査に関するノウハウが多く持っているからです。特許事務所に調査を依頼した場合でも、特許事務所がそのような専門会社に外注することも多いようです。

実際に特許調査で使用するデータベース

調査のためのデータベースはいくつかあります。代表的なものは、特許庁が公開しているデータベースである、J-PlatPatです。特許文献である公開公報や特許公報を検索し、見ることができます。J-PlatPatは無料のデータベースで、特許調査において、最も使用されています。

また、場合によっては、民間の有料データベースも使用されます。民間データベースも、収録されているデータはJ-PlatPatとあまり差はありませんが、検索方法や出力される内容が優れており、独自の分析機能を持ったものもあります。

(1)特許庁データベース(J-PlatPat)
J-PlatPatは、長年「特許電子図書館(IPDL)」として使用されていたデータベースが数年前にリニューアルされたものです。基本的な使い方は以前と同じで、若干機能が追加されました。

「特許・実用新案テキスト検索」のページで、キーワードや分類を入力して、検索するのが一番多いやり方でしょう。ちなみに、分類には、IPC(国際特許分類)、FI、Fタームがあります。FIとFタームは、日本独自の分類記号です。

調査方法は、検索項目として「公報全文(書誌を除く)」や「要約+請求の範囲」を選択し、検索キーワードを入力するパターンが一般的です。さらに検索項目に「出願日」などを追加して、絞りをかけることも多いでしょう。

なお、J-PlatPatは、独立行政法人工業所有権情報・研修館が管理・運営していますが、定期的に、検索方法等の講習会も全国各地で開催されています。また、東京開催のみですが、既に特許調査についてある程度の知識や実務能力のある人向けに、検索エキスパート研修[上級]も行われています。

(2)商用データベース
最近は、いろいろな会社から、有料のデータベースが提供されています。代表的なものを挙げます。

1. NRTサイバーパテントデスク2(NRTサイバーパテントデスク株式会社)
2. JP-NET(日本パテントデータサービス株式会社)
3. PatentSQUARE(パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社)
4. ATMS(富士通株式会社)
5. SRPARTNER(株式会社日立システムズ)
6. ShareResearch(株式会社日立製作所)

提供元は電機メーカーが多くなっていますが、互いにシステムを共有したりしていますので、中身が重なるデータベースもあるようです。料金が高いため、商用データベースを利用するのは、特許調査専門会社や知財部門が充実している大企業が多いです。

(3)海外データベース
 特許調査としてはあまり使用されないかもしれませんが、他者の外国出願の動向などを知るために、海外のデータベースを検索することもあります。そのようなデータベースとしては、以下のようなものがあります。

①Patentscope
国際出願(PCT出願)を管理している世界知的所有権機関(WIPO)が開設しているデータベースで、主に、PCT出願の検索に使用されますが、国内出願に関する情報も得られます。PCT出願については、国際調査機関の見解書も公開されており、このデータベースで閲覧することができますので、そのPCT出願が特許性を有しているかどうか、大まかに確認できることになっています。

②Espacenet
ヨーロッパ特許庁(EPO)が開設しているデータベースです。世界各国の公開公報や特許公報の情報が閲覧でき、1つの特許出願に基づく外国出願の内容(Patent Family)や、それらの現況(Legal Status)などを知ることができます。

Patentscopeより使用頻度は高いです。外国における製品販売化前調査などに使用されます。例えば、自社の製品が、ある国における他者の特許権を侵害するおそれがあると分かった場合、別の国で販売可能かどうか調べるために、Patent Familyを見てその国で特許権を所有しているかどうか確認する、といった場面で利用されます。

③各国特許庁データベース
日本と同様、外国の特許庁も自国の特許出願・特許権に関する情報を掲載したデータベースを公開していることが多いです。

ただし、上記のEspacenetが有用ですので、各国のデータベースを見ることはあまりないでしょう。まれに、一部の国の特許情報や古い特許情報を調べる場合で、Espacenetでの検索ではデータが入手できないことがありますので、そのようなときに各国のデータベースを検索することはあります。

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