税理士試験の科目と必要な学習方法について
公開日:2017/05/24 | 最終更新日:2017/06/17
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税理士資格を手にするにはいくつかの方法がありますが、税理士試験に合格して、税理士になる場合、試験科目の中で最終的に5科目を合格する必要があります。税理士試験の受験資格、科目の内容、合格に必要な学習方法、実務との関連性について、確認してみましょう。
税理士試験の受験資格
税理士試験を受けるにあたっては受験資格があります。受験資格は以下のようになります。
(1) 学識による受験資格
大学又は短大の卒業者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
大学3年次以上で、法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上を取得した
者
一定の専修学校の専門課程を修了した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
司法試験合格者
公認会計士試験の短答式試験に合格した者
(2) 資格による受験資格
日商簿記検定1級合格者
全経簿記検定上級合格者
(3) 職歴による受験資格
法人又は事業行う個人の会計に関する事務(※6)に2年以上(※7)従事した者
銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者
引用元;http://www.nta.go.jp/sonota/zeirishi/zeirishishiken/shikaku/shikaku.html
税理士試験制度と科目の概要
税理士の試験科目は、会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目(必修)と税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうち受験者の選択する3科目(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択)です。
税理士試験は科目合格制をとっており、受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもよいことになっています。合格科目は生涯有効です。
合格は各科目60点以上で、例年受験者の10~20%(科目により差があります。)が合格しています。合格科目が会計学に属する科目2科目及び税法に属する科目3科目の合計5科目に達したとき合格者となります。
【税理士試験免除制度】
税理士試験には、免除制度が設けられています。主な制度は以下のとおりです。
・学位による免除
修士又は博士の学位を授与された者は、試験の一部が免除されます。
・国税従事者における免除
10年又は15年以上税務署に勤務した国税従事者は、税法に属する科目が免除されます。
23年又は28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者は、会計学に属する科目が免除されます
引用元;http://www.nichizeiren.or.jp/prospects/work/
税理士試験は例年、8月上旬に実施されますが、平成28年の税理士試験の日程は以下のとおりでした。
平成28年8月9日(火)
午前9時から同11時まで 簿記論
午後0時30分から同2時30分まで 財務諸表論
午後3時30分から同5時30分まで 消費税法又は酒税法
平成28年8月10日(水)
午前9時から同11時まで 法人税法
正午から午後2時まで 相続税法
午後3時から同5時まで 所得税法
平成28年8月11日(木・祝)
午前9時から同11時まで 固定資産税
正午から午後2時まで 国税徴収法
午後3時から同5時まで 住民税又は事業税
税理士試験科目の内容と合格するための学習方法
税理士試験科目の内容と合格するための学習方法について、確認してみましょう。
まずは、必須となる会計科目の簿記論と財務諸表論です。
簿記論は、3問構成で試験が出題されます。第1問、第2問は大学教授などの学者が作成する問題で各25点の配点、第3問が税理士などの実務家が作成する問題で50点配点になっています。
出題内容は仕訳、元帳への転記、財務諸表の作成問題となっています。日商簿記2級や1級の項目と重複する内容であり、合格が必須ではありませんが、日商簿記2級レベルは最低でもクリアしている必要があります。
問題のボリュームが多いため、2時間の試験時間の中で解答するスピードが求められます。
財務諸表論も3問構成で試験が出題されます。財務諸表論は理論問題と計算問題の構成となっており、理論問題は第1問と第2問で出題され、大学教授などの学者が作成します。
この理論問題は、会計学といわれる領域で記述式による解答方式で行われるため、あらかじめ、文章を構成する力が問われるといえます。
日商簿記1級で会計学という科目があり、この科目を学習しておくと比較的、学習しやすいといえます。
また、計算問題は、第3問で出題され、税理士などの実務家が作成する問題で50点配点になっています。この計算問題は白紙の状態で財務諸表を作成する形式で出題されます。
よって、簿記論との関連性が強いため、簿記論で学習した内容が生かされます。
簿記論と財務諸表論は関連性があるため、時間がとれるのであれば、同時並行で学習したほうがよいでしょう。ただし、合格に必要な学習時間が1科目あたり年間で500時間といわれています。簿記の基礎力がどれだけあるかで学習時間も変わってきますが、忙しい社会人のかたは1科目ずつ学習していくほうがよいでしょう。
次に税法科目です。税法は法人税法と所得税法の2科目が選択必須科目となっており、どちらか1科目は必ず選択して、合格する必要があります。
法人税法は3問で構成されています。第1問と第2問は財務諸表論と同じく理論問題ですが、税法の理論を記述する解答方式で行われます。理論の試験委員は国税庁のスタッフや税理士が作成するため、より実務的な視点で問題が出題されます。
第3問は法人税の申告書を作成する問題が出題されます。
所得税法も3問で構成されています。第1問と第2問は財務諸表論と同じく理論問題ですが、税法の理論を記述する解答方式で行われます。理論の試験委員は国税庁のスタッフや税理士が作成するため、より実務的な視点で問題が出題されます。
第3問は所得税の申告書を作成する問題が出題されます。
税理士業務を行う上で、所得税法も法人税法も知識としては必要ですが、この2科目は税理士試験の科目の中でも最も難関といわれており、受験生も簿記論と財務諸表論をクリアしている受験生が多く、レベルが高いです。合格に必要な学習時間は年間で1科目あたり600時間といわれています。よって、どちらかの科目を選択して学習する受験生が多く、2年、3年と継続して学習している人もざらにいます。
所得税法と法人税法以外の税法科目は7科目ありますが、選択科目です。所得税法か法人税法のどちらかを選択する受験生が多いため、この選択科目は2科目選択して学習する受験生が多いです。ここでは選択する人が多い相続税法と消費税法について、確認してみましょう。
相続税法の試験形式は所得税法と法人税法と同じ形式です。相続税法は簿記の知識を必要としないので、簿記の学習経験がゼロの人はこの科目を受験するのも一つの方法であるといえます。ただし、税法の条文の量は多いため、合格に必要な学習時間は年間で500時間といわれています。最近、税理士業界では相続案件が多いので、相続税法は人気の科目となっています。
消費税法も試験の形式は所得税法と法人税法と同じ形式です。消費税は税法の条文の量は少ないため、学習しやすい科目であるといえ、簿記の知識も3級程度で対応できます。ただし、本試験では全ての受験生が高得点をとるため、競争率が高くなる傾向があります。
合格に必要な学習時間は年間で300時間といわれています。
税理士試験科目と実務における関連性
税理士試験に合格後は実務経験を2年積まないと税理士登録ができません。そこで、実務を行う上で望ましい税理士試験の科目選択を考えてみます。
会計事務所で業務を行う場合、法人税と消費税の申告書作成は必須となっています。
よって、一般的に会計事務所で業務を行う場合は簿記論及び財務諸表論と税法は、法人税法、消費税法の選択がベストであるといえます。
ただし、最近では、相続対策の案件に特化している会計事務所もあります。この場合は、個人の財産に関わることになるため、簿記論及び財務諸表論、所得税、相続税、固定資産税の
選択がベストであるといえます。
まとめ
税理士試験の科目はそれぞれ、特徴がありますが、税理士になったときに試験科目の選択を聞かれることは会計事務所に就職する時ぐらいで、あまりないです。
仕事との両立の中で、少しでも早く5科目に合格することを考えるべきでしょう。
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