税理士の就職先
公開日:2016/12/31 | 最終更新日:2016/12/31
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税理士資格を持っている人の就職先としては、どんなところが考えられるでしょうか。
会計事務所、税理士法人、民間企業、金融機関などが税理士資格者の就職先として、考えられますが、それぞれの組織での税理士資格者の業務とスタンスについて、確認してみましょう。
会計事務所
税理士資格を持っている人の就職先として、会計事務所が最もスタンダードといえます。会計事務所では税務業務全般やコンサルティング業務を行っているためです。
具体的な業務は、法人税業務、資産税や相続税業務、税務コンサルティング業務が挙げられます。
法人税業務は顧客の企業の規模に関わらず、全ての企業において、必須の業務となります。
法人税業務では、決算における法人税の申告書作成がメインの業務となります。
また、資産税や相続税業務では、相続に関する業務を行いますが、相続税の申告書作成がメインの業務となります。最近では、経営者の高齢化に伴い、事業承継コンサルティング業務も出てきています。
そして、上場企業向けの場合、組織再編の税務、国際税務などの業務が出てきます。これらの業務は税務コンサルティング業務であり、節税対策としてのアドバイスを行う形となります。
会計事務所における税理士の年収の相場は500万円前後が相場であるといえます。会計事務所に税理士として勤務する場合、求人票で、会計事務所がどのような会社を多く顧客としているかをよく確認する必要があります。自分の積みたいキャリアと一致している業務を行っている会計事務所を選択したいところです。
補助税理士から所属税理士へ
開業していない税理士が会計事務所で勤務している場合、補助税理士として勤務する立場にあり、業務に関しては、以下のように定められていました。
開業税理士又は税理士法人の補助者(法第2条第3項に規定する「補助者」をいう。以下同じ。)として、税理士業務及び税理士業務に付随して行う業務に従事する税理士が「補助税理士」であり、補助税理士は、従事する開業税理士又は税理士法人が委嘱を受けた事案について、自らの名において税理士業務を行うことができることとされている。また、補助税理士は、その雇用主たる開業税理士又は税理士法人の事務所を本拠として、当該税理士等の補助者として税理士業務を行うものであることから、納税者等との法律関係を明確にする等の観点から、納税者等から直接委嘱を受けて税理士業務を行うことはできないこととなる。
【ポイント】
補助者として従事する者は、補助税理士として登録を受けなければならない。
補助税理士は、従事する税理士等が委嘱を受けた事案について、自らの名において税理士業務を行うことができる。
補助税理士は、納税者等から直接委嘱を受けて税理士業務を行うことはできない。
引用元:https://www.nta.go.jp/sonota/zeirishi/zeirishiseido/kentokai/01.html
しかし、平成26年3月の税理士法改正に伴い、補助税理士から所属税理士に名称が変わり、業務に対するスタンスも変わり、以下のように定められています。
所属税理士が行う直接受任業務
【ポイント】
平成26年3月の税理士法施行規則の改正により、従来の補助税理士の名称が「所属税理士」に改められた。
所属税理士は、原則として、従来の補助税理士と同様に、税理士又は税理士法人の補助者として税理士事務所に勤務し、税理士業務に従事することとされているが、改正された税理士法施行規則第1条の2第2項においては、使用者である税理士又は税理士法人の書面による承諾を得ることにより、所属税理士が他人の求めに応じ自ら委嘱を受けて税理士業務等に従事できることとされた。
引用元:http://www.nichizeiren.or.jp/suggestion/1-13/13.html
この改正で今までの会計事務所に勤務する税理士のありかたが変わってくる可能性があります。補助税理士の時は、勤務している会計事務所の責任下において、業務を行う立場でした。しかし、所属税理士の立場では、自ら第3者から委嘱を受けて税理士業務等に従事できることとなりました。ただし、使用者である税理士又は税理士法人の書面による承諾を得ることが条件となります。したがって、会計事務所の求人では、所属税理士としての勤務についての記述が税理士有資格者向けにある場合、細かく待遇や方針について、チェックする必要があるといえます。
また、税理士有資格者の会計事務所での勤務が、所属税理士となることで、事務所内独立という形となり、開業する税理士とあまり変わらなくなり、業務に対する責任の重さが増してきているといえます。
民間企業
税理士有資格者が会計事務所に勤務する以外には、民間企業で一般の経理部門に勤務することが考えられます。
民間企業における税理士としての業務は、企業の規模により変わってきます。中小企業の場合は経理に限らず、総務や人事部門での業務にも携わる可能性もあります。上場企業の場合、税務部門が設置されていれば、専属で税務アドバイザーとして関わることとなるでしょう。
いずれにせよ、民間企業の場合は、一般のサラリーマンと待遇はそれほど変わらないと考えてよいでしょう。
民間企業における税理士の年収の相場は500万円から600万円となります。
求人としては、中小企業よりか上場企業クラスのほうが税理士有資格者の場合は多い傾向があるといえます。中小企業での求人の場合は、管理職としての募集が多くなるでしょう。経理や税務業務の能力の他に、民間の企業ではチームで動くことを基本としているため、管理職の場合、マネジメント能力が求められることになります。そして、上場企業の場合は、国際会計基準や国際税務への対応が求められる可能性もあり、英語力も必要とされるでしょう。
金融機関
金融機関では税理士有資格者が勤務する部門はフロント部門とバックオフィス部門があります。
フロント部門では、法人向けの組織再編や事業承継コンサルティング業務や富裕層向けの資産運用コンサルティング業務が挙げられます。また、投資銀行であれば、M&Aのアドバイス業務もあります。直接、顧客に対してコンサルティングを行うため、この部門ではコミニュケーション能力と提案力が求められます。
よって、税務業務の知識だけではなく、FPや中小企業診断士関連の知識と資格も所持して
いるのが望ましいといえます。
また、バックオフィス部門ではより高い専門性が求められます。具体的にはSPC(特別目的会社)での経理や税務業務、REITの決算での開示業務が挙げられます。
税理士有資格者は、どちらの部門でも金融機関では特殊なスキルが要求されます。よって、会計事務所や民間企業での年収よりか高くなり、相場が800万円となります。
コンサルティングファーム
税理士有資格者の勤務先としては、コンサルティングファームが挙げられます。具体的には税務や財務のコンサルティング会社で、業務としては事業再生コンサル業務や経営コンサル業務があります。年収の相場は800万円となります。
まとめ
従来、税理士有資格者は開業税理士として仕事を行うのがスタンダードな形でした。しかし、会計事務所は大手事務所の拡大化が進んでおり、中小の会計事務所は経営が困難となっている現状です。そんななかで、開業税理士ではなく、所属税理士として勤務して、事務所内独立というスタンスをとる税理士は増えてきています。また、より年収アップを目指すなら、民間の上場企業や金融機関では、税務コンサルティング業務や組織再編対策の業務に対して、税理士有資格者の求人は増えてきているので、就職先として、検討してもよいでしょう。
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