税理士の相続業務
公開日:2016/11/13 | 最終更新日:2016/11/14
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日本は超高齢化社会を迎えて、相続対策の必要性が高まってきています。相続対策は、相続対策が中心であり、その役割を持つのは税理士です。相続対策に関して、税理士はどのように関っていくべきか、また税理士の資格以外で相続対策を行う士業について、そして、求められる相続に強い税理士に必要なものは何かを確認してみましょう。
相続対策の必要性
相続対策はなぜ、必要なのでしょうか。
相続において、相続税が発生する案件は少ないです。しかし、相続は親が亡くなることで、誰にでも起こる事象です。相続は身近に経験している人が少ないため、相続人どうしでの揉め事が発生しやすいです。
相続対策は相続財産の分割対策と納税対策の2つに分けられます。
相続財産の分割対策としては、遺言書の作成があります。遺言書の作成を事前に行っておくことで、相続人が揉めることを防ぐ手段になります。そのためには、遺言書が認められる要件を満たしている必要があります。また、相続した財産を相続人どうしで分割しやすくするために、不動産を早期に売却して換金化するプランもあらかじめ立てておくべきでしょう。
そして、納税対策です。
相続税が発生する案件は少ないですが、平成27年の税制改正により、相続税の対象となる人は増えてきています。相続税は金銭で納付するのが原則であるため、相続税の納税のための資金が必要となります。この対策を講じるためには、第3者として税理士などの専門家にアドバイスが必要になります。
相続対策の相談先
相続税の対策を相談するのは税理士になります。しかし、相続の業務は相続税の申告業務だけでなく、付随業務も発生します。相続税の申告を行う場合でも必要な資料の収集から開始しなければなりません。そして、相続税が発生しなくても、相続のために必要な手続業務もあります。相続業務を誰に依頼するべきかを確認してみましょう。
まず、相続税の申告は税理士に依頼することになるでしょう。税理士に依頼すれば、相続税の申告に必要な資料収集から相続税の税務調査に対する立ち合いまで任せられるからです。また、相続財産の評価計算も依頼できます。
ただし、全ての税理士が相続税に強いわけではありません。税理士にも得意とする分野と苦手とする分野はあります。よって、相続人として相続税の申告業務を依頼する場合は、相続に強い税理士を見極める必要があります。相続税の申告には財産評価が絡むため、不動産に長けていて、相続税の申告を数多く行っている税理士に依頼するべきでしょう。
相続には、不動産が必ず絡んできますが、相続の際に、不動産の名義人の変更が必要となります。この業務に関しては、司法書士の領域となります。また、遺言書の作成や成年後見人の依頼も司法書士の仕事です。これらの手続きに関しては、司法書士に相談するべきでしょう。
そして、相続人どうしが遺産分割のトラブルを起こした場合です。この場合は、弁護士の領域となります。裁判所での調停や裁判手続きは弁護士が行うことになります。また、司法書士が行う遺言書の作成や成年後見人の依頼は弁護士でも可能です。
さらに、相続対策としては、被相続人が生前の間に行う資産や資金の管理対策も必要です。この領域に関しては、FPが相談先としては最適でしょう。FPは士業ではありませんが、国家資格であり、税理士とWで資格を保有している人が多いです。
相続の相談は相続が発生した後に行うことが多いです。しかし、相続税の申告期限は決まっており、それまでに遺産分割の協議が必要であれば、済ませておく必要があります。しかし、大抵は遺産分割協議で時間がかかってしまうことが多いです。
したがって、最近では信託銀行などが相続に対する相談業務から相続税の申告業務まで全てを請け負うケースも増えてきています。
相続は人が介在する業務です。それぞれの家庭の事情で相続に対する問題は異なるでしょう。よって、相続が発生する前に相続問題を相談できるアドバイザーが必要です。一般的には、その役割は相続に強い税理士であり、必要に応じて司法書士や弁護士、FPも相談先としては考えられるでしょう。
税理士以外の相続関連資格
税理士以外の相続関連資格にはどんな資格があるのでしょうか。まずは、税理士とWで保有している人も多いFPです。FP資格は学習する科目も幅が広いです。相続事業承継だけでなく、生命保険、不動産運用、金融資産運用も学習科目となっています。よって、財産を多角的にとらえて、いかに資産運用を行い、資金管理を行うべきかという視点を持っています。例えば、相続対策として生命保険をいかに活用するべきかというプランを立てられます。
そして、FPはライフプランニングを得意としています。年金や退職金をどのように運用して、相続していくかはFPの領域であるといえます。
また、最近登場した相続関連資格として、相続診断士という資格があります。相続診断士の試験は一般社団法人相続診断協会が実施している試験です。一般社団法人相続診断協会とは税理士、行政書士、司法書士などの専門家の集団が理事と監事になっている協会で、受験資格はなく、誰でも受験が可能な試験です。
相続診断士は、相続関係者からヒアリングして現状の分析を行い、顧客と税理士、弁護士、司法書士等の士業との間に立ち、相続に関する問題を解決する役割を持っています。
よって、相続診断士は相続税が発生するような家庭ではなく、一般家庭の相続問題の相談先として、強い味方となり、最適であるといえます。
税理士として、相続全般に強い税理士であることをアピールするには、これらのFPや相続診断士などの資格も合わせて所有することで、仕事の幅は広がるでしょう。
税理士の相続業務に関する求人例
税理士の相続業務に関する求人例を2つ確認してみます。
1.信託銀行
(業務内容)
相続財産評価の依頼のあった相続人・受遺者、銀行担当者、提携税理士法人と連携します。相続財産の確定、評価明細の作成、申告書類の作成・申告(税理士が行う)が、期限までに滞りなく行えるよう対応します。
(応募資格)
税理士資格(相続税法)
FP資格をお持ちの方歓迎
2.会計事務所
(業務内容)
相続税、贈与税、譲渡所得税などの申告業務
土地評価・タックスシミュレーションを中心とした資産コンサルティング
事業承継業務、組織再編業務
(応募資格)
税理士有資格者(免除可)
相続税合格者優遇
やはり、相続業務に関するので、税理士でも相続税法を取得している人が対象となっています。会計事務所では、会社の事業承継や資産税対策を行っているところが多いです。また、相続業務に関する税理士の平均的な年収は600万円から800万円となっています。
まとめ
相続税の申告は税理士しか行うことはできません。ただし、全ての家庭で発生する相続財産に相続税が課せられるわけではありません。相続人が揉めることなくスムーズに相続できることをプランニングする必要があります。そして、相続税が発生する場合は、できるだけ、節税する対策を講じる必要もあります。相続業務は多角的な視点が必要であり、相続に強い税理士であることをアピールするには、FPなどの他資格も所有しているとよいでしょう。また、相続業務は複雑で厄介な業務です。したがって、司法書士や弁護士との連携を図れる総合的な税理士の会計事務所やコンサルタント会社がこれからは生き残っていくでしょう。
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