弁護士の営業について
公開日:2016/11/14 | 最終更新日:2016/11/14
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弁護士も客商売であることの意識が必要
一昔前であれば、弁護士は医者と並び、資格だけで食べていける、いい暮らしができる職業とされていました。
しかし、法制度改革に伴い、法科大学院ができ、司法試験合格者が増えた現在はそんなに甘い世界ではなくなっています。
特に東京をはじめとする都市部に弁護士が集中し、仕事を奪い合っている、というのが現状です。この実情は、司法修習生になりながら、最終的に就職先が見つからず(一部はインハウスとして、弁護士登録をしていない人も含まれますが)、弁護士登録をしない、という人が、68期修習生を見ても、2016年1月時点で全体の約1割存在することからも明らかです。
もちろん、今までに実績を積み重ね、名前で売れる、あるいは、事務所が組織的にしっかりしており、顧客をがっちりと掴んでいる、といった事務所であれば、今までのスタイルでもある程度の収入は見込むことができます。但し、これらの事務所も新興勢力の台頭により、絶対に安全、とまでは言い切れなくなってきているのが実情です。
いかに、顧客を獲得するか、弁護士もあくまで客相手の商売であり、資格を持っているからといって、当然に儲かる、といった意識はもう古い、ということを認識する必要がある時代に突入しています。
もっとも安心・確実なのは紹介によって顧客をつかむこと
「一見さんお断り」、飲食店でこのような表示・評判を耳にすると、敷居が高そう・・・というイメージを受けると思います。
ですが、弁護士にとって一見さんなしで食べていける、仕事になる、というのは非常に大きなアドバンテージです。
後述するような、ネット集客や法律相談をせずに、法律事務所を運営していけるだけの仕事がある、ということは、それだけの信頼、そして顧問先を抱えている、ということになります。
また、飛び込みのお客さんがいない、というおとは基本的には関係が継続している依頼者が多い、ということです。一度きりの依頼者と違い、信頼関係が依頼者との間に存在することが多いので、例えば和解の話合いがスムーズに進んだり、細かいミスも許されたり・・・ということが少なくありません(もちろん、ノーミスで仕事ができるのであれば、それに越したことはありませんが、人間である以上、少なからず、ミスは併発してしまうものです。)。
こうして信頼関係があれば、当然顧問契約、という話につながっていきますし、訴訟の結果やその過程で依頼者と意見が合わないといった事態が発生したとしても、懲戒請求などをされることはまずありません。
そうした信頼関係のある依頼者の方からの紹介者なら、依頼者のメンツもありますし、まず、大きなトラブルにはならないでしょう。
その分、報酬を正規料金では取りにくい・・・といった面はあるかもしれません。
また、事件の多様性という面では、ある程度同じベクトルに固まってしまう・・・ということもいえるでしょう。
インターネットやテレビCMなど、メディアを使っての集客
近年、急激に増加しているのがこの方法による集客です。
弁護士.com等はその最たる例といえます。この方法の特徴は、まず初期投資にある程度の資金が必要だ、ということです。
弁護士.comを例にとって説明すれば、無料会員と有料会員が存在し、有料会員は当然、検索時に上位に表示されるようになっています。
また、表示される情報や、口コミなども有料会員・無料会員で差があります(当たり前といえば当たり前ですが・・・)。
テレビCMはいわずもがなです。数千万円単位のお金がかかることは間違いないでしょう。
こういった集客方法は一見さんを捕まえるには非常に効率的です。
「テレビCMをしているんだから、社会的に信用できる法律事務所なんだろうな」「口コミの評判がいいから、この弁護士に依頼してみよう」こういった心理が一般の人に働くことは何ら不自然ではありません。我々がレストランを探すときに食べログ等をあてにして、その評価や口コミを参照するのと何ら変わりはないのです。
数を集める、という意味では一番効率的です。
もっとも、依頼者の質は当然ですが保証されません。
あくまで一見さんなので、モンスター・カスタマーに転じてしまう可能性や、明らかに無理筋の主張を依頼してくる場合があります。
モンスター・カスタマーに転じるか否かを初回の無料相談などで見分けることは非常に困難ですが、無理筋の依頼かどうかは初回相談でもある程度見えてくるはずです。特に初回無料相談を実施しているような場合には、依頼者も気楽に主張してきますので、それをしっかりと法的に分析する必要があるでしょう。
その結果、法的紛争に適さない主張だと判断したり、明らかに裁判になれば勝ち目がないものだと考えた場合には、そのことをしっかりと説明することが必要です。
それでもなお、依頼を執拗に迫ってくるような場合には、受任できないことをしっかりと告げる勇気を持つことでしょう。
相談に訪れる依頼者が、貴重な顧客であり、収入源(特にイソ弁の形態で雇われている場合には、個人事件になるのですからその収入は魅力的なのは理解できます。)として魅力的なのは十分理解できることではありますが、受任してしまって苦労するのは目に見えています。極端な話、懲戒請求などもされる危険性があります。
そういったことを踏まえ、なんでも受ける、ではなく、依頼者を選ぶ、という作業がこの方法を採用した場合には必要といえます。
法律相談
法律相談にもいろいろあります。弁護士会の相談には名簿に登録をすれば原則として1か月に1回以上の機会はあるはずですし、それ以外にも法テラスも登録すれば法律相談をすることができます。また、各区役所などの相談を積極的に行う、という方法もあります。
この方法の最大の利点は、弁護士側が何らのリスクを負わずに(もちろん、相談に出向いた結果、相談が一件もなく、時間をロスした・・・ということはありえます。もっとも、日当が支給される場合もあるので、そこまで大きな問題ではないでしょう。)、依頼者が向こうからやってきてくれる、という点です。
もちろん、この場合も依頼者は基本的には一見さん、ということになりますから、メディア集客と同じようなリスクは存在する、ということになります。やはり、この場合であっても、依頼者、あるいは事件を選ぶという姿勢が重要です。
また、メディア集客と違い、1日に対応できる依頼者の数も限られるので、メディア集客程、数をこなすことは困難といえるでしょう。
まとめ
以上、代表的な弁護士の営業形態を述べてきましたが、多くの事務所はこれらを併用しています。その割合や事件・依頼者の取捨の基準をしっかりと持ち、その上で十分な収入を確保できるかを検討することが重要といえます。
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