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司法書士年齢転職

司法書士の転職年齢について

2023年4月14日
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公開日:2018/11/20 | 最終更新日:2023/04/14

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最近では大手司法書士法人に勤めるビジネスパーソンタイプの司法書士も増えてきましたが、司法書士は、基本的に独立開業型の資格です。
司法書士が転職を考えた時「別の事務所に移る」ほか「独立する」という選択肢もあります。
合格して数年は実務経験を積むためにどこかの司法書士事務所で修行して、いずれは独立開業を、と考えている人も少なくありません。

■合格後、どのくらいで独立する?

合格した後、独立までの勤務年数はまちまちです。
ひと通り仕事を覚えたら1年も経たずにすぐ独立開業する人もいますし、なかには10年以上勤務してから独立する人もいます。

基本的には「2年~5年」が1つの目安になっていることが多いと思われます。また最近では独立するまでに複数の事務所で経験を積むケースもあり、その都度転職をするという事になります。これは昨今の司法書士事務所業界で、それぞれの事務所ごとに得意とする分野を持つようになり、自身の強みとなる経験を求める場合や幅広く対応出来るようになりたいと考えた場合にはひとつの司法書士事務所だけでの経験では無く、他事務所での経験を求めて転職をするようです。

■司法書士業界は平均年齢が高い

司法書士は、試験合格者の平均年齢も30代後半と高く(令和4年度司法書士試験合格者の平均年齢は40.65歳歳)、また定年がないので、司法書士業界全体の平均年齢も高くなっています。それに伴って司法書士の転職年齢も高い傾向にあります。

■独立志向、自立志向が強い人が、司法書士になる

最近は、「独立する気はないけれど、何か資格を取っておきたい」という動機で司法書士を目指す人も増えましたが、「独立して自分の力で仕事をしていきたい」「自分の力で生きていきたい」という動機で司法書士を目指す人が大多数です。

そもそも司法書士試験に合格した時点である程度の年齢に達しているのと、独立開業型の資格なので、事務所に勤めても長く勤めるつもりはなく「「1~3年勤めたら独立しよう」と考えている人が多いので、転職や独立を考えるのも30代半ばあたりの年齢層が多いと思われます。

また受験勉強で得た知識が、そのまますぐ実務に役立ちますので、実務経験が浅くても独立することはそこまで難しくありません。

最近では独立を視野に入れないビジネスパーソンタイプの司法書士も増加傾向にはありますが、転職する際には、転職先(司法書士事務所や企業)の安定性や組織としての強みや組織である事のメリットがあるかどうかを見極める必要があります。

■実務経験や司法書士業界と関係のある人が司法書士になることも多い

司法書士業界は、司法書士と密接な関係がある金融業界や不動産業界からの転職組も多い業界でもあります。
金融業界や不動産業界から司法書士試験を目指したり、銀行や不動産会社を定年退職した後に司法書士資格を取ったりする人もいます。
40代や50代、60代でも独立する司法書士は、今まで関係の無い業界や職種から心機一転司法書士資格を取る方も増えつつありますが、本来そういう業界の出身者が多いです。
それまでの仕事で培った人脈を活かせる人なら、合格後すぐに独立しても大丈夫でしょう。
また司法書士事務所で事務員として勤務しながら司法書士資格を取得した人も少なくありません。
補助者経験がある資格者は、試験合格後の司法書士会が主宰する新人研修終了後早々に独立することも珍しくありません。

■勤務しながら、実務を覚えて人脈も培う

全く不動産に関係のない他業種からの転職等司法書士関連業界に人脈が無い人は、実務経験を積みながら独立した時のために人脈を培っていくことになります。
ある程度長く勤務していると、仕事を覚えるだけでなく人脈も広がります。

■司法書士の事務所形態が独立を後押しすることも

また初めは独立する気はなくても、司法書士事務所に勤めているうちに「もしかしたら、自分でやっていけるんじゃないか?」と思って独立する人もいます。

現在は、司法書士が複数所属する「司法書士法人」や「合同事務所」など規模が大きい事務所も増えましたが、基本的に司法書士事務所は、一人の司法書士と、補助者と呼ばれる事務職員が一人~数人いる小規模の事務所が大多数です。
福利厚生等雇用条件が整っていない事務所もあり、長く勤めても待遇が一向に上がらないということも珍しくありません。

司法書士の受験予備校では「独立開業すると年収1,000万円以上可能」等謳っています。もちろん、現実的にはそう簡単にいかない側面もあるようですが、事務所に勤めて固定給を得るよりも、独立した方がずっと高い収入が得られるのではと思って資格はあるのですから、勤めているうちに「それなら独立しよう」と考える人もいます。

■司法書士は独立し易い資格

司法書士は、実務の内容が試験で問われる「実務家登用試験」ですので、受験勉強で養った知識が、実務ですぐに活用できます。
実務未経験で合格してすぐに司法書士事務所に就職しても、全くゼロからのスタートというわけではなく、すぐに業務をこなせるようになります。

■独立開業の初期費用があまりかからない

また独立開業の際の初期費用がかからないのも、独立のし易さにつながっています。
同じ不動産登記に関わる仕事でも、土地家屋調査士は開業にあたって測量機械(安価なものでも100万円以上します)や、作業移動用の車を用意しなければならないのに対し、司法書士は最低限パソコンと電話、プリンターさえあれば開業できますので、30代半ばでも独立が容易です。

■年を取ると、独立が難しくなる

独立開業には、「覚悟と決断」する力が必要です。
独立すると自分の思い通りに自由に仕事を進めることができます。
休日も自由に取ることができます。
しかし自由と引き換えになるのが「安定」です。
顧客を数社獲得していても、毎月コンスタントに売り上げがあるとは限りません。
先月より仕事が少ない、今月は良かったけれど来月はどうだろう、常に不安定なのが独立です。

年齢が高くなるほど「失敗してもやり直しできない」と必要以上にプレッシャーを感じたり、安定した環境から不安定な環境に飛び出すエネルギーがなくなったりしてきます。
司法書士も今や「サービス業」です。昔のように、何もしなくても仕事の依頼が来る時代ではありません。
インターネットで司法書士を検索して依頼することもできる時代になりました。
卑屈になる必要はありませんが、尊大な態度だと「頼まなくても他に司法書士はたくさんいる」ので仕事を獲得するのは難しくなってしまいます。

30代なら、20代ほど若すぎず落ち着きも出てきて顧客の信頼を得やすく、「まだまだ若輩者ですから」と謙虚にもなれるので、独立を決断するには良い年代だといえます。

■30代は、モチベーションを維持し易い

独立したら、毎月のお給料という安定は無くなりますが、頑張ったら頑張った分だけ成果となって表れます。
また勤務時代は、休日出勤や残業は苦でしたが、独立すると全て自分のためになることですので、休日出勤や残業が全く苦になりません。
全て自分のためだと思うと、仕事や残業が苦にならないばかりか独立の不安定さに身を置いていると「仕事があるありがたさ」が身にしみて、より頑張ることができます。
30代は、体力気力とも十分ですので、独立の不安定さや厳しさに押しつぶされることなく、モチベーションに変えて頑張れる、最適の年代です。

■予定通りに独立ができないことも

いつまでに独立をしたいと決めていても、予定通りにいかないことはあります。
きっかけが「やむを得ず」「成り行きで」という独立も珍しくありません。
「3年勤めてから独立するつもりだったのに、急に独立せざるをえなくなった」
「独立するつもりはなかったのに、成り行きで独立することになった」という司法書士も意外と多いのです。
「所長が引退することになって後を継ぐことになった」
「所長と仕事の方針が合わなくなって、事務所を飛び出す形で独立することになった」など、理由は様々です。

■終わりに

司法書士が転職を考えた時、自分の年齢も選択をする際の一つの要因にはなります。独立は、希望と同時に不安も大きいのでやはり30代のほうが決断し易く、実際に30代半ば位で独立する人が多いのが現状です。

これからの時代は、勤務司法書士よりは多少厳しくても独立した方が長く司法書士の仕事を続けていけることが現時点では予想されます。ただし、司法書士事務所業界自体が今後変わっていく可能性は高く、世代交代や組織化が進み、先に独立していった先輩方が司法書士事務所としてのあるべき姿を変え、生涯勤務で司法書士としてやりがいを持ってやっていける日もそう遠くないもしれません。既に司法書士事務所業界ではそのような動きも出ているようです。

いずれにしましても、現時点で司法書士資格は、残念ながら他業種や一般の会社で通用しにくい資格です。勤務司法書士を長く続けていくうちに、独立や転職のチャンスやタイミングを逃してしまうと、時代の変革についていけなくなる可能性があります。

自分が「司法書士としてどう仕事をしていきたいのか」を常に考えることが大切です。方向性を考えつつ、判断材料の一つとして、業界の動向などは同期や先輩司法書士に意見を聞く方法もありますし、司法書士業界に関与する第三者的立場の方に客観的な視点で意見を聞いてみるのも良いかもしれません。

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