行政書士と司法書士の違いについて
公開日:2017/05/03 | 最終更新日:2020/05/13
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行政書士と司法書士は名称が似ているため、士業の中でよく比較されやすい資格です。
それぞれの資格の違いについて、仕事内容、年収、試験制度の面から確認してみましょう。
仕事内容
行政書士と司法書士の仕事内容について、確認してみましょう。
行政書士は行政機関に書類を提出するのが主な仕事となります。
行政機関に提出する書類は、許認可申請の書類になります。建設業や飲食業を開始するにあたって、役所に許可を下ろしてもらう手続きになります。
書類作成は行政機関以外に、権利義務に関する書類や事実証明に関する書類の作成を行います。
権利義務に関する書類とは、権利や義務の発生および消滅に関する書類であり、具体的には遺産分割協議書や示談書などになります。
事実証明に関する書類とは、社会的に証明すること必要な書類のことであり、具体的には議事録などになります。
行政書士は様々な書類を作成できますが、他の法令で制限されているものに関しては、書類作成できないです。他の法令で制限されているものとは具体的に司法書士や弁護士のみが作成できないものになります。
【行政書士業務の具体例】
・自動車運送許可事業許可申請
・建設業許可に関する経営・専任技術者などの変更届
・一般廃棄物収集運搬業及び処理業許可申請
・飲食店営業許可申請
・宅建業免許の更新
・自動車登録申請(ナンバー変更・名義変更等)
・在留資格認定証明書交付申請(申請取次行政書士に限る)
司法書士が行う主な仕事は登記業務になります。登記は不動産登記と商業登記に分かれます。不動産登記とは、土地や建物の権利関係を登記簿に記載させる業務になります。具体的には、建物購入時の所有権保存登記、銀行から融資を受けるための抵当権設定登記になります。
商業登記とは、会社に関係する登記であり、具体的には法人設立の登記や役員変更の登記になります。
登記以外には、高齢者対策としての成年後見業務や借入金返済に苦しむ人たちの救済として債務整理業務も行います。
【司法書士業務の具体例】
・所有権保存登記(建物を新築したり、新築マンションを購入した場合に発生)
・所有者移転登記(不動産を売買・贈与したり、不動産を相続した場合に発生)
・増資の登記(会社の事業拡大のために資本を増加したい場合に発生)
・成年後見の申立書作成
・任意整理、過払金の返還請求(140万円以下のみ)
また、最近では司法書士の業務は拡大する傾向にあり、簡易裁判所の代理や裁判事務も行います。認定司法書士という資格をとると、訴訟額が140万円以下で簡易裁判所の事件については弁護士と同じ活動を行うこともできます。
2つの資格で行う業務は異なりますが、ダブルで資格を取得すると業務がスムーズに行えるメリットがあります。
例えば、会社設立の業務です。定款を作成するのは行政書士の業務ですが、設立登記は司法書士業務になります。ダブルで資格を取得するとこの会社設立の業務に関しては、全てを行うことができます。設立する会社の許認可が必要であれば、行政書士の業務として行えます。
また、最近注目されている相続業務です。相続人の確定や遺産分割協議書の作成は行政書士の業務です。ただし、相続財産を引き継ぐにあたり、不動産の名義変更などの登記業務も発生します。この業務は司法書士業務となります。ダブルで取得するのが難しいのであれば、行政書士と司法書士が提携して活動するのも、相乗効果があり、仕事の幅が広がるでしょう。
年収
行政書士も司法書士も独立するための資格であり、年収は独立開業した場合の年収になります。両者ともに平均年収は500万円から600万円という数字になっています。最高では1,000万円を超える人もいますが、最低では300万円以下の人もいて、格差の激しい業界であるといえます。
試験制度
行政書士と司法書士の試験制度について、確認してみましょう。
行政書士試験の受験資格がありません。例年、11月上旬に行われます。
具体的な試験科目の内容は以下のようになっています。
(科目) 行政書士の業務に関し必要な法令等(出題数46題)
(内容) 憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。)、民法、商法及び基礎法学の中からそれぞれ出題し、法令については、平成28年4月1日現在施行されている法令に関して出題します。
(科目)行政書士の業務に関連する一般知識等(出題数14題)
(内容)政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解
(試験方法) 試験は、筆記試験によって行われ、出題の形式は、「行政書士の業務に関し必要な法令等」は択一式及び記述式、「行政書士の業務に関連する一般知識等」は択一式とします。
※ 記述式は、40字程度で記述するものを出題します。
(合格基準)次の要件をいずれも満たした者を合格とします。
1. 行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、満点の50パーセント以上である者
2. 行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、満点の40パーセント以上である者
3. 試験全体の得点が、満点の60パーセント以上である者
(注)合格基準については、問題の難易度を評価し、補正的措置を加えることがあります。
引用元:https://gyosei-shiken.or.jp/doc/guide/guide.html
合格率が年によって、ばらつきがありますが、10%前後という数字になっています。
司法書士試験の受験資格がありません。例年、7月上旬に行われます。
試験は午前の部と午後の部に分かれます。
午前の部は、択一式試験で、憲法3問、民法20問、刑法3問、会社法9問の合計35問で
す。
午後の部は択一式と記述式に分かれます。択一式は不動産登記法16問、商業登記法8問、
民事訴訟法5問、民事執行法1問、民事保全法1問、供託法3問、司法書士法1問の合計
35問です。記述式は不動産登記法1問、商業登記法1問の2問です。
合格基準は年によって、ばらつきがありますが、70%から80%となっています。合格率は3%
前後であり、行政書士より難関となっています。
行政書士と司法書士の求人例
2つの資格ともに独立するための資格ですが、業務を確認する意味で、求人例を挙げておきます。
(税理士法人)
《募集職種》
行政書士スタッフ
《雇用形態》
正社員
《仕事内容》
1、法人設立、増資、減資、合併などの書類作成とコンサルティング
2、金融商品取引業者の登録、及び内部規定書類の作成とコンサルティング
3、宅建業、貸金業、建設業などの許可申請書類の作成
《必要資格》
行政書士有資格者、または同等の知識をお持ちの方
《職務経験》
社会人経験1年以上
《求める人物像》
行政書士事務所での実務経験者、歓迎いたします。
《年齢》
不問
《給与》
年俸300万円以上
※上記に固定残業代(月30時間分=3万2276円)を含む
※時間超過分の残業手当は別途支給いたします
(司法書士事務所)
《仕事内容》
弊事務所は、資格事務所がいかにお客様の役に立てるかをテーマに、
相続、成年後見業務、遺言、
不動産登記業務、法人登記業務、
債務整理、過払い金請求、許認可、融資支援
不動産売買仲介、不動産賃貸仲介
等幅広い業務を扱っております。
《給料》
幹部職は月給30万円以上保証!
未経験者でも最低保証あり‼
社保完備!
その他は応相談
《応募資格》
・長期で勤務可能な方歓迎
・素直で明るい方歓迎
・学歴、資格、年齢不問
・PCスキル(ワード、エクセル、パワーポイント、インターネット)歓迎
・宅地建物取引士保有者歓迎
・行政書士保有者歓迎
・税理士資格保有者歓迎
・司法書士資格保有者歓迎
《待遇》
・事務能力、営業能力、コミュニケーション能力のある方歓迎遇致します。
・行政書士の方は、行政書士会へ登録済みの方は資格手当があります。
・司法書士の方は、司法書士会へ登録済みの方は資格手当があります。
・宅地建物取引士の方は、登録済みの方は資格手当があります
税理士法人や司法書士事務所ですが、行政書士や司法書士を採用募集しており、他の士業との連携を図ろうとしている姿勢が見られます。
まとめ
行政書士と司法書士は比較しやすい資格ですが、相互に関連させると効果のある資格であるといえます。ダブルで取得するのが一番、差別化にもなりますが、宅建士などの資格者とも合わせて、連携することで仕事がしやすくなるといえます。
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