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弁理士試験科目

弁理士試験の試験科目について

2017年7月5日
samurai12

公開日:2017/07/05 | 最終更新日:2017/07/05

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弁理士になるには、まず国家試験である弁理士試験に合格しなければなりません。弁理士試験は、短答式試験、論文式試験および口述式試験に分かれ、論文式試験はさらに必修科目試験と選択科目試験に分かれます。
各試験の試験科目は異なっていますので、試験科目について十分知っていることが弁理士試験突破のカギになります。今回は、弁理士試験の試験科目等について見ていきましょう。

1.短答式試験

短答式試験はマークシート式試験で、合計60問を3時間半で解答します。

(1)試験科目
① 特許・実用新案に関する法令
特許法及び実用新案法に基づき、20問出題されます。最も問題数が多い試験科目で、この科目を重点的に勉強することが大切です。工業所有権四法(特許・実用新案、意匠、商標)の中では、特許法が最も条文数が多い法律です。そして、他の法律は、特許法を準用することが多いので、特許法を完全に理解していないと、どのような条文を準用しているのか、すぐには分からないからです。 

② 意匠に関する法令
意匠法に基づき、10問出題されます。意匠法の条文数は多くなく、判例もあまりありませんので、審査基準を含めてきちんと勉強していれば、それほど負担にはならない科目です。

③ 商標に関する法令
商標法に基づき、10問出題されます。商標法は条文数がそれなりに多く、また、信用が蓄積された商標を保護するものであり、生み出された新しいものを保護する特許や意匠とは考え方が異なることから、商標法独自の条文も多く、それなりに時間をかけて勉強しなければなりません。

④ 工業所有権に関する条約
工業所有権に関する条約としては、パリ条約、特許協力条約、マドリッド協定議定書、ハーグ協定のジュネーブ改正協定、TRIPS協定が挙げられます。これらの条約から10問出題されます。条約を苦手としている人が多いのは、国内法と記載ぶりが全く異なる上、条約間でも関連性があまりないからです。また、10問しか出題されないのに、条約が5種類もあり範囲が広い、というのもあるでしょう。

⑤ 著作権法及び不正競争防止法
著作権法と不正競争防止法に基づき、10問出題されます。著作権法と不正競争防止法は、論文試験と口述試験の試験科目には含まれていません。そのため、この試験科目を苦手にする人もいます。確かに、著作権法は、条文の記載量が多く、工業所有権四法とは中身がかなり異なるのですが、不正競争防止法は、条文数が少ない上に、商標的な考え方、意匠的な考え方をする規定もありますので、じっくりやれば、それなりに点数を取ることができるでしょう。

(2)その他
短答式試験の合格基準は、平成28年度試験から「総合得点の満点に対して65%の得点を基準として、……、科目別の合格基準を下回る科目が一つもないこと。なお、科目別合格基準は各科目の満点の40%を原則とする。」と変更されました。以前は、「著作権法は捨てる」とか「条文は適当に勉強して、他の科目でカバーする」という受験生がいましたが、科目別の合格基準が設けられましたので、まんべんなく得点する必要があり、受験生の負担は増したといえます。
なお、短答式試験を合格すれば、合格発表の日から2年間、短答式試験が免除されます。

2.論文式試験

論文式試験は、7月上旬に行われる必修科目と、7月下旬に行われる選択科目に分けられます。それぞれの試験科目は以下の通りです。

(1)必修科目
① 特許・実用新案に関する法令
問題数は2問であり、これを2時間で解きます。1問あたり1時間しかなく、時間いっぱいまで使って書く受験生が多いでしょう。また、内容としては、短答式試験のような細かな知識を問われることはありませんが、判例・通説をよく理解していないと解けない場合が多いので、弁理士試験の中では体力的な負担が最も大きい試験科目かもしれません。

② 意匠に関する法令
問題数は1問で、これを1時間半で解きます。意匠は判例等が少ないこともあり、最近は制度趣旨などを問われることも多くなっています。特許と異なり、解答時間が十分にありますので、じっくり取り組むことができるでしょう。

③ 商標に関する法令
意匠と同様に問題数は1問、解答時間は1時間半です。商標は判例絡みに問題も出されることが多く、少しひねっていることがあります。そのため、出題者の意図がわからず、なかなか解答できないことがあるようです。

(2)その他(必須科目について)
必須科目の合格基準は、「標準偏差による調整後の各科目の得点の平均(配点比率を勘案して計算)が、54点を基準として口述試験を適正に行う視点から工業所有権審議会が相当と認めた得点以上であること。ただし、47点未満の得点の科目が一つもないこと。」となっています。最初の部分が少しわかりにくいですが、要するに、採点官によって点数にバラつきがあるため、それを解消して、できるだけ公平な採点ができるようにしよう、ということです。
短答式試験と同様、必須科目を合格すれば、合格発表の日から2年間、必須科目が免除されます。

(3)選択科目
以下の科目の中から、受験者が願書提出時に受験科目を選択します。解答時間は、いずれも1時間半です。
① 理工Ⅰ(機械・応用力学)
材料力学、流体力学、熱力学、土質工学から1問を選んで解答します。
② 理工Ⅱ(数学・物理)
基礎物理学、電磁気学、回路理論から1問を選んで解答します。
③ 理工Ⅲ(化学)
物理化学、有機化学、無機化学から1問を選んで解答します。
④ 理工Ⅳ(生物)
生物学一般、生物化学から1問を選んで解答します。
⑤ 理工Ⅴ(情報)
情報理論、計算機工学から1問を選んで解答します。
⑥ 法律(弁理士の業務に関する法律)
民法に関する問題です。

(2)その他(選択科目について)
選択科目の合格基準は、「科目の得点(素点)が満点の60%以上であること。」となっています。必須科目のような、採点官による点数のバラつきは考慮されていません。

なお、選択科目の免除範囲は広くなっており、平成28年度の弁理士試験では、必須科目の受験者数が1,103人なのに対し、選択科目の受験者数は255人しかいません。選択科目は1度合格すると、永続的に免除になるのに加え、大学院を修了した人や特定の資格を持っている人も免除対象者になるため、選択科目を受験する人は非常に少なくなっています。

3.口述式試験

論文式試験に合格すると、最終試験である口述式試験に進みます。口述式試験は面接形式になっており、主査・副査の2人の面接官がいるホテルの一室で一人ずつ入室する形で行われます。

(1)試験科目
論文式試験(必須科目)と同様、下記3科目です。
① 特許・実用新案に関する法令
② 意匠に関する法令
③ 商標に関する法令
試験時間は公表されていませんが、順序は決まっていて、特許・実用新案の試験室→意匠の試験室→商標の試験室の順に回っていきます。

(2)その他(選択科目について)
口述式試験の合格基準は、「採点基準をA、B、Cのゾーン方式とし、合格基準はC評価が2つ以上ないこと。」となっています。10年以上前は、口述式試験はほとんど全員が合格していましたが、その後、試験自体が厳しくなり、合格率が70%を下回ったことがありました。現在は、約95%が合格するようになっています。

4.まとめ

弁理士試験は科目数が多くなっています。仕事をしながら受験勉強をしている人が多いため、こなすのはかなり大変です。ただし、20年近く前までは、論文式試験の選択科目は3科目あり、免除もありませんでした。論文式試験の必須科目は今の試験の方が難化しているので、一概には言えませんが、試験勉強自体は、昔の方が大変だったかもしれません。

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