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弁理士特許事務所開業

特許事務所の開業について

2019年7月16日
ben

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近年、弁理士の合格者数が減少に転じ、特許事務所等の求人数も多くなっています。
これは、依頼件数に対して弁理士数が足りていないことに他なりません。また、特許技術者を志望する人も減っているようです。

そうすると、特許事務所の開業にも有利に働きそうですが、弁理士数に対して依頼件数が多くなっているからといって、開業後、順調に仕事を依頼されるかどうかは分からないということです。
それでは、弁理士が、特許事務所を開業するに際し、そのような点に注意すべきでしょうか。今回は、特許事務所の開業について、他士業とも比較しながら見ていきたいと思います。

1.開業にかかる費用等について

(1)備品等
特許事務所を開業する場合、初期費用はそれほどかかりません。最低限必要なのは、パソコン、コピー機能付きのプリンター、机及びイスといったところでしょうか。ファックスを使う場合もありますので、プリンターにファックス機能も付いていれば便利です。
税理士等が専門の会計ソフトを導入するのと異なり、弁理士は、基本的には無料の電子出願ソフトを導入しさえすれば、業務を行うことができます。但し、特許庁で手続を行う場合に付与される識別番号を持っていない場合は、まず識別番号付与請求書を提出する必要があります。この請求書には、通常、職印を押印しますので、職印を持っていない場合は作成することになります。今は、1万円以内で作成することも可能です。また、電子出願ソフトを利用するにあたり、電子証明書を取得する必要があります。弁理士の場合は、日本弁理士会経由で、特別価格で電子証明書を購入することが可能です。

パソコンにインストールするソフトは、どのような業務を行うかによって異なります。図面ソフトであれば、1万円前後の安価なものから数十万円以上するCADソフトまで様々なソフトがあります。また、商標見本を作成する場合は、画像編集ソフトがあれば便利でしょう。最近は、無料のソフトも数多く提供されていますので、機能と開業時の予算に応じて選択することができます。

また、来客用の応接セットも必要になる場合が多いでしょう。4人掛けの机とイス4脚が一般的ですが、場合によっては、応接スペースと執務スペースを区切るパーティションも含まれることがあります。
それでも、他の業種や士業よりは、初期費用は安く済みます。
 
(2)事務所の賃貸料等
事務所の開業場所は、最も悩む点かもしれません。最近は、一般的な賃貸物件だけでなく、レンタルオフィスやシェアオフィス、あるいは、バーチャルオフィス等を選択することも可能になっています。ただし、相談者が来所してくることを考慮しなければなりません。こちらから相談者のところに出向けばよいと考えるかもしれませんが、一般的には、相談者は来所を希望することが多いです。相談者からすれば、依頼した場合の出願手続等に関する費用も決して安くありませんから、信用できる特許事務所かどうか確認しておきたいと考えるのは当然のことでしょう。いまだ賃貸物件等で業務を行っている事務所が多い中、レンタルオフィス等の共用スペースで面談を行った場合、相談者としては、「この事務所は不安だな」と考えて他所に依頼することが少なくありませんので、注意すべきです。

また、相談者・依頼人が来所しやすい場所に開業した方が有利と言えます。ただし、当然のことながら、賃料の相場も上がりますので、資金との兼ね合いになります。最初は、古い賃貸物件で開業することも考えてみましょう。ただし、年配者も相談に来ることがありますので、エレベーターは設置されていた方がよいと思われます。

2.特許事務所の開業が成功するための重大な要素

(1)開業資金の確保
では、このような状況において、開業資金を確保するためにどのようなことができるでしょうか。下で述べる開業場所や家族構成によっても変わってきますが、可能であれば、開業を見越して資金を蓄えておくのがベストでしょう。しかしながら、弁理士試験の受験時代に予備校費用にお金がかかったり、給与が少ない場合もありますし、家族構成により、資金を思うように蓄えることができない場合もあると思います。特に弁理士は、合格者の平均年齢が例年30代後半ですので、結婚して子供がいる場合、独立開業する時期には多額の教育費が必要になっていることも少なくありません。

そのような場合に、日本政策金融公庫等で開業資金を調達しておくことが考えられます。開業時にある程度の自己資金があれば、その10倍程度の金額の融資を受けることができます。日本政策金融公庫の審査は、一般的には銀行等の金融機関よりも通りやすくなっています。
ただし、開業して経営が苦しくなってから融資を受けるのは、開業時よりも難しくなりますので、注意が必要です。

(2)営業活動(顧客獲得)
理系出身者が多い弁理士には、営業活動に自信がない人が多いようですが、中には大企業に飛び込み営業する人もいます。企業によっては、1人事務所であっても仕事を出す大企業もあるようですが、そのような大企業は、かなり低い金額で受任することを求めるようですので、非常に忙しいのに利益がほとんどないという状況も起こりえるため、実際は、そう甘くないでしょう。そして、開業したからといって、開業前から出願に関わっていた企業から仕事をもらえることもほとんどありません。

したがって、開業直後の事務所の場合は、やはり個人や中小企業から依頼を受けるのが一般的です。これらの相談者は、ほとんどがインターネットで事務所の情報を調べて相談する事務所を決めています。ですので、事務所のホームページの出来が非常に重要です。相談しやすそうな事務所(弁理士)かどうか、かつ、それなりの実績や知識があるかがチェックポイントですので、このような情報を掲載しておくべきです。

なお、相談を受けた場合でも、実際に仕事につながるのは半分以下であると考えた方が無難です。個人や中小企業は、出願費用を賄えるほどの財力がない場合も多いからです。また、相談を受けてみると、特許出願できるような内容でないこともあります。その意味でも、事務所経営が軌道に乗るまでは少なくとも数年かかるのが一般的でしょう。
相談者にしてみれば、出願しないと事業を行うことができないということはないので、他の士業より仕事を取るのは難しいと言えるかもしれません。

(3)事務所の拡大
無事経営が軌道に乗ると、通常、事務所規模は拡大していきます。この拡大の流れには、いくつかのパターンがあります。
一つは、自身の努力により、少しずつ所員を増やしていくパターンです。弁理士も自分で面接を行って採用することになりますので、考えることが多く負担は小さくないかもしれませんが、最終的には信頼できる所員が長く在籍する傾向があります。

二つ目は、他の事務所と合併するパターンです。例えば、ほぼ同規模の事務所合併して、弁理士数名が在籍する所員10人以下の事務所ができるような場合です。事務の効率化が図られ、所員にもある程度目が届きますので、弁理士個々の負担は小さくて済むでしょう。ただし、所員としては安定感が生まれたような感覚があるかもしれませんが、弁理士同士が仲違いして再分裂、という話もよく聞きます。

もう一つは、規模の大きな事務所に吸収合併され、場合によっては、自身もパートナー等の幹部所員になるパターンです。ただし、この場合は、開業とは性質が異なってきます。
特許事務所は、特許出願等の単発の仕事が多いため、規模の拡大を考える場合は、継続して仕事が入ってくるかどうかの見極めが大切です。

3.まとめ

最近は、弁理士の合格者数が減少する中で求人が増加傾向にあり、弁理士としても独立開業するモチベーションが高くなっています。しかしながら、上記の通り、軌道に乗せるのは簡単ではありません。
開業する場合は、特許事務所等で実務経験を積んだ上で、何を強みにして他所と差別化するか(例えば、経験、人柄、フットワークの軽さ、料金等)をある程度明確にしておくことが重要です。

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