SACTサムライマガジン
不動産司法書士

司法書士と不動産の関係について

2019年6月27日
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不動産は、価値が目減りしにくく高額資産の代表ともいえるものです。
日本の不動産の所有者や担保権といった権利に関する情報は、法務局で「登記」されることによって管理されています。

登記は、権利を持った人から自主的に申請する必要があります。
対象の不動産に対して権利を持っている人は、登記することによって自身の権利を第三者に対抗することができ、この登記申請手続を担うのが司法書士です。
登記は、高額財産である不動産の所有者ほか権利関係を公示する重要なもので、登記の専門家である司法書士は、不動産と密接に関連しています。

成年後見、簡易裁判所の代理権と業務分野は広がっていますが、やはり司法書士の基幹業務は「登記」です。
最近では、司法書士に依頼せず自身で登記申請する人も増えましたが、不動産の売買、贈与、相続など不動産の名義を書き換える場では、司法書士は欠かせない存在です。

■不動産登記を行うときの3つの確認ポイント

不動産登記を行うとき、司法書士には必ず確認しなくてはいけない次の重要な3つのポイントがあります。
①人
②物
③意思
この3つを確認しないと、司法書士は登記手続を行いません。

①の人というのは登記手続の当事者のことで、主に不動産の権利を失う人=登記義務者=所有者を指します。
登記義務者である所有者が真実の不動産所有者でないと、本来登記は無効なのですが、一旦第三者に名義が変わってしまうと、名義の回復は容易ではありません。
近年、真実の所有者に成りすまして他人の不動産を売買する悪質な事件が増えていますので、本人確認は司法書士にとって最も緊張する場面です。
目の前にいる人物が対象不動産の所有者であると確認できなければ、司法書士は登記手続を絶対に行いません。

②の物とは、登記の対象となる不動産です。
不動産は、法務局で管理されている土地の地番や建物の家屋番号で特定します。
誤って別の不動産に対して登記してしまうことを防ぐため、複数不動産を所持している当事者には、特に対象の不動産が間違っていないかを確認します。

③意思の確認とは、権利を得る人に対して「この不動産の所有者になる意思があるか」ももちろんですが、「本当に売却する意思があるか」「抵当権の担保にする意思があるか」等「不動産の権利を無くす、不動産に負担を負う」意思があるかを確認する方が重要です。
「意思がないのに登記をした」では、本人確認同様後々大変な問題になってしまいます。
 

■不動産売買における、司法書士の重要な役割

不動産売買の場面では、司法書士は欠かせない存在で重要な役割を果たします。
売買の登記手続を担当する司法書士は、不動産の代金支払い日、いわゆる決済の日は次の3つの確認を行います。

①売買代金支払い当日、不動産の登記事項証明書かインターネットで登記簿を
閲覧して、名義が変わっている、差押の登記が入っている等登記簿に問題が起こっていないか
②売買対象の不動産は間違っていないか、売主や買主はなりすましでないかという本人確認と「この不動産を売ることに間違いありません」「この不動産を買うことに間違いありません」という意思確認
③登記識別情報、印鑑証明書当登記申請に必要な書類が全て揃っているか
  
登記簿に問題が起こっていないこと、本人確認と意思確認、登記に必要な書類が全て揃っていることを確認しないと、司法書士は買主に「代金を売主様にお支払いください」とは絶対に言いません。
司法書士が「代金をお支払いください」と言うのは、「確実に買主様名義に登記ができますので、安心して代金をお支払いください」という証です。

不動産の売買は、法務局での登記が完了して初めて取引が無事に完了したといえます。
代金を支払って領収書をもらっても、自分名義に登記がされなければ、所有者であることを第三者に対抗できないのです。

司法書士というと、単に書類をチェックして誤字脱字のないように正確に書類を作る仕事、手続だけ行う仕事だと思われがちですが、実はそうではありません。
司法書士が、売買取引の安全を守っているのです。
不動産取引や名義の書き換えは、「無事に終わるのが当たり前」です。
その「当たり前」を実現するために、司法書士は当日の取引が無事に終わるように細心の注意を払って業務を行っているのです。

■他業種との連携も

司法書士と関わりあいが深い資格に、土地家屋調査士と税理士があります。
土地家屋調査士は同じ登記でも権利に関する登記を担当する司法書士とは違い、不動産の「表示」に関する登記の専門家です。
表示登記は、土地や建物の実体を表す大切な登記です。
不動産の登記を安全に行うにあたって、司法書士と土地家屋調査士の連携は欠かせません。

また不動産の権利関係は、税務に密接に関わっています。
売買でも相続でも、不動産の名義を変更すること自体は当事者の本人確認と意思確認、そして登記の必要書類が揃えば可能です。
しかし不動産の名義を変えた後に様々な税金が課せられること、売却によって利益を得れば、翌年の住民税や健康保険料等の額が上がること等まで考えが及んでいない当事者は、実に多く存在します。
依頼に応じて安易に登記をすると、後々税務署からの通知に驚いた当事者から思わぬクレームがくることがあります。

税務は改正も多く該当する要件も複雑なので、税理士並みの知識を持つ必要はありませんが、最低限不動産に関する税務の基礎知識は持っておいて、「税金のことは専門外でわからない」といわずに税理士とも連携を取って手続を進めるべきでしょう。

■不動産に関わる専門家として

インターネットが普及した現在、誰でも簡単に専門知識を得ることができます。
法務局の相談窓口が充実したこと、以前は法務局に出向く必要があった登記の申請や登記完了書類の交付が郵送で可能になったこと等により、登記を司法書士に依頼せずに、自分で行う人が増えています。
登記申請書類のみを作成する民間業者も現れました。

そんななかで司法書士が不動産に関する専門家として必要とされるには、専門家ならではの知識、視点で顧客の依頼を実現することが大切です。

不動産の開発、マンション建設にあたっては、建築物が越境した場合どうしたらいいですか?といった弁護士に求めるような意見が求められることがあります。
建築基準法や道路に関する知識、不動産に関する税務、不動産に関する一般的に予想されるトラブル解決のための法律知識は持っておく必要があるでしょう。

司法書士は、不動産という最も高額な資産に関する権利を守る、重要な役割を担っているにも関わらず、司法書士を単なる手続代行屋としか見ない顧客も少なからず存在します。

大規模開発やマンションは取扱金額も大きく、それぞれの業種の人が自分の立場で主張をするなか、登記さえできればいいと「手続」を担う司法書士は周囲から大きなプレッシャーを受けることがあります。
取引金額や周囲のプレッシャーに押し切られて無理に登記手続をしてしまうと、プロジェクトが頓挫してしまうことはもちろん、途方もない損害賠償額が司法書士に請求されることになってしまいます。
プレッシャーに負けずに周囲の立場や意見を受け入れつつも司法書士として毅然とした姿勢で業務に臨むことも大切です。

■社会から必要とされる司法書士に

最近は「自己責任」で「本人がやりたいと言ったから」「本人が希望したから」といって、専門家ですら責任を負いたがらない風潮です。

本人の希望を実現することは、業務の優先事項で大切です。
また専門家がリスクや可能性を説明しても、決定するのはあくまでも依頼者たる本人であり、専門家の思い通りに誘導することはあってはなりません。

しかしどんな案件にも「本人の意思だから」で手続を進めてしまうのでは、専門家の存在する意味がありません。
専門家として考えられるリスク、予想される事柄を本人にわかりやすく説明し、本人が最も良い選択肢を選べるようにするのが専門家の役割、専門家に依頼する意義、役割です。

不動産の権利関係、取引の安全を守るものとして登記手続をミスなく行う、不動産の取引が無事に終わるように業務を行うことは、司法書士としては当然のことです。
依頼人、相談者は「正確に手続を行ってくれる」ことは当然の前提として、「専門家の視点からの意見」を求めています。
安易に当事者の言いなりにならず、プロとしての冷静な目で案件を判断、アドバイスできるか。
単なる手続屋で終わらないように、「司法書士に依頼して良かった、相談して良かった」と思ってもらえるように業務に取り組むことが、これから何より大切になっていくでしょう。

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