弁理士として活動を広げるのに必要な英語力

公開日:2016/11/14 | 最終更新日:2020/05/13
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弁理士はわかりやすく言うと、商標や特許の手続をする職業となります。産業財産権に関する手続きを全て請負うことができるため、弁護士や司法書士とは全く役割が違います。
そんな弁理士ですが、近年「英語」という視点でとても大きな注目を浴びています。弁理士として活動をしていく際、日本国内のみの活動に焦点を置けば、英語の重要度は低くなります。しかし、弁理士の仕事も国際化が顕著に見られるようになり、日本だけではなく海外の仕事を受けることも多くなってきました。
それゆえに、事務所によっては英語が必須になっていたり、日常的に英語を利用する必要性があるというケースも実は少なくありません。(特許等の性質上、世界に目を向ける必要性は近年より高まってきています。言い方を変えると、国内だけに目を向けた活動は難しくなってきているということです)
英語を苦手にしている弁理士は意外に多い
日本人は英語を苦手としている人が未だ多く、弁理士も同様に英語を苦手としている方は意外に多いようです。弁理士の場合、専門性が高いだけでなく、書類等の読み書きなど、まずは国内の仕事を重視して、日本語をしっかりと表現・理解ができる能力を身に付けていく事から業務を覚えていく傾向があるようです。それに加え専門知識も覚えていく必要がある事から、英語が後回しになってしまうのかもしれません。ある程度仕事が出来るようになった後に国際的な仕事に関連して、英語を応用して活用していくことも多く、英語が得意でも、応用を利かせていくことができないと、仕事として成立しない部分も当然あります。全体としては、コミュニケーションよりも読み書きの能力がまずは重要視されます。
※特定の作業のみ(読み書きのみ)に英語が必要という場合、特定の英語を理解できれば、流れで作業ができてしまうこともありますが、国際的な仕事に対して、本格的に取り組んでいくような場合これでは不十分になります。
一定以上の英語力は必須と思っておいても間違いない
日本国内のみに焦点を絞った仕事であれば、英語の重要性は低くなると紹介しましたが、それでも一定以上の英語力は現状必要です。
日本の社会においても国際化が進んできていることから、日本国内でも弁理士として外国人と接点を持つことは多くなります。弁理士の場合、そのような外国人とやりとり打ち合わせをする機会も多くなるでしょう。
・翻訳家を利用するという方法
英語が苦手な人が英語を翻訳する際に、翻訳家を利用すれば良いという考えがあるかもしれませんが、翻訳家も万能ではありません。正確に翻訳してくれるかどうかは、翻訳家の質に関わってきます。また何より弁理士で扱う文章は、特別な英語が利用されていることが多く、単語のニュアンスを正確に理解するためには、それこそ弁理士などについてしっかり知っている必要があります。
このようなことから、翻訳を翻訳家に全て任せるのはなかなかに現実的ではないのです。弁理士事務所と提携している等、特別な条件を満たしていないと安心して任せていくことはできません。
※そもそもある程度英語を理解していないと、「任せて良い翻訳なのかどうか」を判断することができなくなります。翻訳家に任せていくケースというのは、自分が英語ができて、なおかつ任せても問題ないと判断できるケースのみです。それゆえに翻訳家を利用する場合は、英語が出来ないから翻訳家に任せていくというのではなく、「この内容なら大丈夫」だから仕事を任せていくというスタンスになっていくでしょう。
英語の重要性が低い弁理士の仕事はあるのか?
一定以上の英語能力を持っておくことは弁理士として必須になってきていますが、どうしても自信がないという人、あるいは、英語を活かさなくてもできる仕事を探している人にとっては「商標」を扱っている弁理士事務所が向いています。実は上記までで紹介したことというのは「特許」を主に扱っている弁理士事務所の特徴、弁理士の特徴です。商標を扱っている弁理士は少し特徴が変わってきます。
商標は、特許に比べて簡単に手続をすることができます。扱う書類が簡単になるのです。その分文章等の理解も容易になるため、英語力があまりなくても、手続をすること自体は可能です。
ただ、現実的に、やはり英語が極端にできない人というのは仕事をしていくことは難しいです。
というのも、商標の場合そもそも手続が比較的容易ということから弁理士に依頼をしないというケースも多いのです。
商標の手続をしていく上で「英語ができる」という点が大きなアドバンテージになることも少なくなく、外国人をターゲットにできる弁理士事務所はそうでない事務所に比べて頼りがいのある事務所になりがちです。
弁理士になる際、英語能力を問われるのか
弁理士に英語は必須であり、読み書きに加え日常的なコミュニケーションをとれるくらいの能力があると、弁理士として仕事の選択の幅が大きくなります。
しかし、いきなり英語を習得することはなかなか難しいです。弁理士事務所によっては、事務所に就職する際の英語能力はあまり重要視せず、英語は仕事をしながらしっかり学んでいけば良いというスタンスを持っているところもあります。
特許を扱っている弁理士事務所の場合は語学力よりも専門的な技術知識や経験を重視したいという方がむしろ多いかもしれません。逆に事務所に就職する際の条件として、高い英語能力を求めてくることもあります。これは国際的な業務をメインに扱う弁理士事務所に多い傾向です。
英語は必須ですが、事務所に就職する際には英語能力は問われないということもあるということです。
英語能力に関して求めてくる条件は弁理士として転職、就職をする際に大きな基準のひとつになり得ます。そのためあまりこの点を軽視しないほうが良いでしょう。
※英語が就職条件となっていない事務所でも、あまりにも英語が使えない、上達しない場合仕事を続けていくことが難しくなってしまう可能性はあります。そのためできればある程度の英語能力を養ってから、就職を考えていくことをオススメします。
仕事をしながら英語を身につけていくことは簡単なことではありません。
弁理士を目指すに当たっての英語への不安
上記までで記した内容であると、英語に対してより大きな不安を覚えてしまうかもしれません。当然一定以上の努力、能力は必要です。
ただ、弁理士の場合、特定の専門英語・単語を使えるようになると、それだけで仕事上のコミュニケーションを取っていけるようになる可能性も十分にあります。
また仕事の全てを行なうことはできないにしても、サポート役として活躍できる可能性も出てきます。
日本人特有の全てをきっちりやろうと思ってしまうと、プレッシャーが大きすぎてつぶれてしまう可能性はありますが、小さな目標を持って、まずはそれだけこなすようにすれば、少しずつ英語を利用した仕事ができるようになるはずです。
しっかりと着実にかつ抱え込み過ぎないようにして英語を学習していくことこそが、英語のできる弁理士への最短の近道です。
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