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法人税税理士

税理士に求められる役割(法人税編)

2020年6月19日
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公開日:2017/08/08 | 最終更新日:2020/06/19

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会社に関する税金のメインである法人税と法人税の申告業務における税理士の役割について、確認してみましょう。

法人税とは

法人税は、法人税上の所得に法人税率を算出します。法人税法上の所得は、法人法上の収益である益金から法人税法上の費用である損金を差し引きしたものですが、この金額は会計上の利益を基に計算します。会計上の利益は損益計算書にて、会計上の収益から費用を差し引きして求めます。そして、会計上の利益を基に、別表四にて、法人税上の所得を確定します。

法人税率は現在、23.2%となっています。また、中小法人(資本金1億円以下の法人)は現状では、課税所得金額800万円までが15%(適用除外事業者は19%)、800万円超の金額に関して、23.2%となっています。
また、法人では、法人税の他に、地方法人税、法人事業税、法人住民税(都道府県民税と市区町村民税)がかかります。

そして、法人税の他に、地方法人税、法人事業税、法人住民税を合わせた法人の実質的な負担税率を実効税率といいます。この実効税率は、現在29.74%となっています。
日本の法人の実効税率は諸外国と比較しても、高いといわれていきましたが、国際競争力を高めるためにも、実効税率を20%台に引き下げることを目的としています。

書面添付制度

税務調査に対する税理士の権限を明確にするものとして、書面添付制度というものがあります。この書面添付制度の概要は以下のようになります。
書面添付制度とは、税理士法(以下「法」という)第33条の2に規定する書面添付制度と法第35条に規定する意見聴取制度を総称したものです。
平成13年の税理士法改正において事前通知前の意見聴取制度が創設されその存在意義が飛躍的に拡充されました。

事前通知前の意見聴取制度では、法第30条に規定する税務代理権限証書と法第33条の2に規定する書面を添付した申告書を提出しているという二つの条件を満たしている場合、調査の通知前に、税務代理権限証書を提出している税理士に、添付書面に記載された事項に関する意見を述べる機会を与えなければならないこととされました。また、平成21年には「意見聴取を行った結果、調査の必要性がないと認められた場合に、税理士等に対し現時点では調査に移行しない旨を原則として書面により通知する」などの国税庁事務運営指針の一部改正がなされました。

書面添付は、税理士だけに認められた権利で、関与形態の違いにより次の二つに区分されます。

1. 税理士又は税理士法人自らが申告書を作成した場合(法第33条の1①)その申告書の作成に関して、計算・整理し、又は相談に応じた事項を記載した書面を、当該申告書に添付することができます。

2. 税理士又は税理士法人が、他人の作成した申告書につき相談を受けて審査した場合(法第33条2②)当該申告書が法令の規定に従って作成されていると認めたときは、その審査した事項及び法令の規定に従って作成されている旨を記載した書面を、当該申告書に添付することができます。
法第35条に規定する意見聴取制度は次の三つに区分されています。

1. 事前通知前の意見聴取
2. 更正処分前の意見聴取
3. 不服申立てに係る調査の意見聴取

書面添付制度の活用によって実地調査の省略や効率化が図られることになれば、関与先納税者の負担軽減になるとともに、関与先に対して税理士の存在意義をより明確に表すことになります。
したがって、書面添付制度の活用は、税理士の社会的評価の向上に大きな意味を持ち、信頼される税理士制度確立のための大きな手段となります。

なお、書面を添付するかどうか、またその書面にどのように記載するかは税理士自身が判断することになりますが、納税者との信頼関係を考慮すれば納税者の理解を求めておくことも大切です。
引用元:http://www.nichizeiren.or.jp/taxaccount/document/

法人税の節税対策

税理士に求められる法人税業務の役割はいかに関与先に対して、節税対策を提案できるかということです。
ここでは、いくかの法人税の節税対策について、確認してみましょう。

まずは、商品の売上の計上基準の変更があります。売上の計上基準を出荷基準から検収基準に変更して、売上計上を遅らせることで法人税の節税につながります。ただし、1度変更しした基準は継続適用していく必要があるので、根拠と変更した旨の届け出を行わなければなりません。
また、期末の在庫処分があります。具体的には、在庫の見切り処分、商品評価損の計上、陳腐化した商品の廃棄になります。

在庫の見切り処分は、在庫分を費用にすることで、法人税の節税につながり、現金も入ってくるので、キャッシュの改善にもつながります。
商品の評価損は商品の在庫の評価を下げることで計上できます。これを可能にするには、商品の評価には、原価法を低価法という2つの評価方法がありますが、低価法を採用する必要があります。この評価方法は税務署に対して、あらかじめ、届け出をしておく必要があります。

陳腐化した商品の廃棄とは、商品の中でも、滞留在庫や災害などで損傷を受けたものに関しては、廃棄処分を行い、費用として計上することで、法人税の節税につなげようというものです。この場合は、廃棄証明書という書類を保管しておく必要があります。
いずれの場合も、期末在庫に関して、合理的に費用計上を行い、法人税の節税につなげる対策です。

そして、人件費です。人件費は役員に対する給与である役員報酬、従業員に対する給料、賞与手当の3つに分かれます。
役員報酬は、事業年度開始から3ヵ月以内に決定した定額同額給与により支給された金額が法人税法上の費用となる損金として、認められます。会社の利益が急に上がったからといって、月の途中で増額するようなことは認められないので、注意が必要です。また、役員に対して賞与を支給する場合も、法人税法上の費用となる損金として、認められるためには、事前に事前確定届出給与を行った上で支給を行う必要があります。

給料は、通常の従業員に対する給与になりますが、法人税を納付している黒字の企業に限定されますが、平成25年から適用されている所得拡大促進税制というものがあります。
この制度は、一定の条件を満たした企業であれば、給与支増加額の10%を法人税から税額控除できるという制度です。

賞与手当は、通常の従業員に対する賞与ですが、役員の場合は、事前確定届出給与の届け出が必要となりますが、従業員に対しては臨時の賞与特別に支給しても、届け出なく法人税法上の費用となる損金として、認められます。
そして、欠損金が生じた事業年度において、青色申告書である確定申告書を提出して、その後に連続して確定申告書を提出している法人においては、欠損金の繰越控除が認められています。

例えば、繰越欠損金の額が250万円で、その事業年度の繰越欠損金控除前の所得金額が200万円の場合、250万円のうち200万円が損金の額に算入され、その事業年度の所得金額は結果的に0となり、法人が0になるということです。よって、企業としては認められる費用は少しでも、多く計上するようにしていくことがポイントとなります。

まとめ

会社は利益を出すことを目的とした存在ですが、利益に対して課せられる法人税を節税することで、キャッシュを残して、資金繰りを良くすることで経営活動を行う必要もあります。当然、不正に手を染めることは税理士として防がなければなりません。ただし、会社に寄り添い、法人税の節税アドバイスを行うことが税理士として求められます。よって、税理士は最新の税制改正を確認し、常に研究心をもつようにするべきであるといえます。

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