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ADR司法書士

司法書士の新しい業務、ADR(裁判外紛争解決手続)について

2018年5月14日
magor-tax

公開日:2017/09/28 | 最終更新日:2018/05/14

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司法書士の新しい業務として、ADR(裁判外紛争解決手続)という業務があります。この業務の内容と司法書士との関わりについて、確認してみましょう。

ADRとは

ADRについて、日本弁護士連合会では、以下のように説明しています。

家の貸し借り、土地の境界、商品の欠陥など、身の回りの問題をめぐってトラブルが起きたとしても、お互いの話し合いによりトラブルを解決することが多いでしょう。しかし、トラブルの中にはこじれて深刻な問題となるものもあります。このようなこじれた紛争を解決する代表的な機関には裁判所があります。裁判所は法律にしたがって判断を出しますが、法律の厳格な適用は、当事者の誰もが望まない手続・結果を招くことがあります。ここで出てくるのがADR(Alternative Dispute Resolution――裁判外紛争処理手続)です。ADRは、法律で細かく規定された訴訟手続とは別の視点から紛争に向き合うことで、当事者に納得のいく柔軟な紛争解決を目指します。
弁護士会の紛争解決センターは、形式的にどちらか片方に軍配を上げるものではなく柔軟な解決を目指していますので、まずは話し合いによる解決を探ります。そして、双方が満足できる条件を広い視野と高い見地から探し出すうちに、話し合いがまとまって和解により紛争が解決する事件がかなりの数を占めます。しかし、あなたと相手方との間の話合いがどうしてもまとまらなかったときには仲裁の出番となります。あなたと相手方が仲裁を選ぶと、仲裁人が紛争の解決基準(仲裁判断)を作ることになります。この仲裁判断には、確定した判決と同じ効力が認められており、不満があっても後から裁判で争うことは原則としてできません。また、手続を踏めば(裁判所で執行決定をもらいます)、裁判所でゼロから審理をやり直すことなしに強制執行もできます。
 
話し合いや仲裁がうまくいくかは、誰が間に入るかによって大きく変わってきます。そこで、弁護士会の紛争解決センターでは、経験10年以上の経験豊かな弁護士や元裁判官、学識経験者などを選び、じっくりと話を聴いてできるかぎり納得のいく解決を提案することを重視します。また、仲裁法が定める狭い意味の仲裁にこだわらないことから、当事者が納得すれば解決できる一部の家事事件も取り扱っています。
引用元:https://www.nichibenren.or.jp/contact/consultation/conflict.html

ADRで取り扱う事件

ADRで取り扱う事件で紛争解決センターを利用するべき事件には、以下のものが挙げられます。

損害賠償事件、個別労働事件、不動産関係事件、相続・離婚事件
日常生活で身近な少額の事件
秘密保持が必要な事件(例えば、個人のプライバシーに関係する事件、知的財産権、ノウハウに関する紛争など企業秘密に関係する事件)
技術的・専門分野に関係する事件(例えば、PL事件や建築紛争)
訴訟には向かないが、話し合いにより妥当な解決を図りたい事件(例えば、請求権がないか請求権を構成しにくい事件、立証が極めて困難な事件など)
今は感情的に対立しているが、将来は円満な関係を取り戻したい事件(例えば、家族・親族・近隣間の事件)
引用元:https://www.nichibenren.or.jp/contact/consultation/conflict.html

ADRにおける調停と仲裁

ADRは、裁判とは違う紛争解決手続きです。ADRと一口に言っても、様々な手続きがありますが、主なADRとして、調停と仲裁があります。

仲裁
仲裁は、仲裁法により定められたルールに基づき、1名から3名の仲裁人が最終的に判断をくだし、紛争を解決するもので、裁判のように控訴はできません。
仲裁人の選定に当事者が関与することができるのが、裁判との大きな違いです。

調停
裁判や仲裁のように、第三者の判断で紛争を解決するのではなく、当事者の話し合いと合意により、紛争を解決するのが調停です。当事者主体の紛争解決手続きといってもいいでしょう。
調停と言っても、これまでは、調停と言えば裁判所でしたが、平成19年4月1日に「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(ADR促進法)が施行され、民間の紛争解決機関に法務大臣による「認証」制度が導入されました。
司法書士会にも調停センターや紛争解決センターが設置され、東京司法書士会では、平成20年12月10日法務大臣の認証を得て、調停センターを設置しています。
引用元:https://www.tokyokai.jp/consult/center.html

ADRに最適な司法書士の役割

ADRの業務は司法書士が最適であるといえます。
ADRにおける調停業務として必要な事は、法律を熟知していて、論理的思考ができ、他人の話や意見を聞くことができ、合意事項を文書にできることです。
司法書士は遺産分割協議書の作成や簡易裁判所代理権など、中立な立場で紛争を解決する業務を行っているので、ADRにおける調停業務の要素を満たしているといえます。

東京司法書士会調停センターでの調停事例

東京司法書士会調停センターでは調停にあたり、調停管理者と調停人が調停をサポートします。それぞれの役割は以下のようになります。

調停管理者
調停手続の流れ、費用の説明、日程調整 や必要書類のご案内などの事務連絡、 相手方に対し調停参加を勧めるなど、調停 手続を円滑にするためのサポートをします。

調停人
紛争の解決に向け、話し合いを円滑に するお手伝いや合意内容を文書にまと めます。話し合いのテーブルには二人 の調停人が付きあなたの紛争を解決  するサポートをします。

また、東京司法書士会調停センターで行った調停の事例としては、以下のような事例があります。

事案の申込人はAさん(72歳)

相手方はAさんの弟Bさん(67歳)との遺産相続問題です。
Aさん(72歳)は、亡き父親の遺産をめぐる遺産分割協議について、弟のBさん(67歳)と の間でトラブルとなっている。Aさんは東京在住、Bさんは田舎で父親の家業である農業 を継いでいた。Aさんは、当初父親の遺産は住居の宅地と田畑と預金60万円といわれた ので、不動産をBさんにあげる代わりにいくらかのお金をもらえれば、遺産分割協議書 に判を押すつもりでいた。しかし、その後、別の不動産と預金があることが判明した。

申込人Aさんの言い分

「遺産を隠していたことが許せない。新たに分かった不動産と預金について、 相続分を要求する。」

相手方Bさんの言い分

「遺産を隠したつもりはない。預金は、父親の葬儀代でなくなってしまった。 不動産は、古くからの知り合いに安く貸してあり、現金化は難しい。田舎での 義理やつきあいについて理解してほしい。」

調停の実施

調停人を挟んで話し合いが設けられ、二人の間の長年の事情が判明した。 「AさんとBさんとは、血のつながりはなく、Bさんは父の後妻との間の養子であった。 Aさんは、もともと父との折り合いが悪く、実家と疎遠になっていた。Bさんは、Aさんと 話したことはほとんどなく、父の死後すぐに、父親の介護をしてくれていた妻を亡くし たこともあって、混乱していた。」  話し合いの中で、次のように二人は変化してきた。  Aさん:「父親を介護してくれたBさんの奥さんには、申し訳なく思う。」  Bさん:「家内が急死し、遺産相続の件を放置していたのは、悪かった。」
⇒ 2回の話し合いの結果、遺産分割の合意成立

引用元:
https://www.tokyokai.jp/pdf/center_1404.pdf

まとめ

最近では、家族の離婚問題をはじめ、遺産分割や損害賠償事件が増えてきています。これらの事件を解決するには、裁判所で行うのが原則ですが、時間と手間が、かかります。そこで、お互いの話し合いで解決しようというのが、ADRです。ADRでは、裁判ではなく調停センターで紛争を解決します。弁護士が紛争解決の場合、登場することが多いですが、中立的な立場に立てる司法書士は、よりADRでは最適であり、これからも需要は見込まれるでしょう。

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