SACTサムライマガジン
債務整理司法書士

司法書士の債務整理業務のこれから

2016年12月3日
debts

公開日:2016/12/03 | 最終更新日:2016/12/03

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債務整理ができる職業というのは、弁護士と司法書士に限られます。しかしこの職業の間には140万円の壁が存在し、140万円を超えるものは弁護士、そうでないものは司法書士と決まっていました。

しかし、弁護士業界と、司法書士業界では長いこと大きな確執があったことも確かであり、その確執は、それぞれの専門団体の140万円の壁への理解・解釈の違いから生じていたことになります。
解釈の相違というのは以下になります。
弁護士側は「借金額」が140万円を超える債務整理は司法書士の業務範囲ではないという考え方に対して、司法書士側は、債務整理をした結果、依頼者の利益が140万円を下回れば、業務範囲であるというものになります。つまり借金の金額はいくらであっても良いということです。

ただ、2016年6月27日に、その確執に関してはっきりとした答えが出てきたことになります。
結果的に司法書士側の考えは否定され、弁護士側の考えが正しいというものになりました。そのため借金の金額が140万円を超える場合には、司法書士は債務整理をすることができないということになったのです。

この判決によって、司法書士の債務整理の業務範囲は間違いなく狭まることが予想されています。というのも今までは利益が140万円以下になれば良いという解釈で、案件を受けていたのが、今後はできなくなるからです。
債務整理に関しては司法書士法改正によって弁護士の独占状態から、司法書士が一部受けられるような状態になったのですが、実質的な業務範囲の縮小によって、債務整理のメインは弁護士という考え方になるであろうと考えられています。

※小額であれば当然司法書士も債務整理をすることが可能です。ただその際にはしっかり借金の金額が140万円以下でなければいけず、利益が140万円以下であるかどうかは関係ないことになります。

司法書士のこれまでの拡大解釈が非常に大きなリスクをつくる可能性も・・・

債務整理に関して2016年6月に出た140万円に関する判決というのは、司法書士の業務範囲を狭めるだけではなく、ある1つのリスクを作ったことになります。
それは「報酬返還の請求」です。簡単に言ってしまうと賃金業者に対しての過払い金請求のようなものです。

依頼人の利益が140万円を超えなければ業務として受けられるという解釈は、判決によって否定をされました。同時に、この拡大解釈で仕事を受けてきた司法書士に対して、報酬返還を狙っている弁護士というのも存在してきているのです。
まだまだ知名度的には低いのですが、今後弁護士の活動が広がれば、司法書士に対して返還請求をする人というのは増えていく可能性があります。

利益が140万円に届かなければ良いというのは、逆を言ってしまうと140万円以下にしてしまえば、どのような案件も仕事として引き受けることができるということです。もっと言ってしまうと、本来依頼人に対しての利益が140万円以上あるはずなのに、司法書士や賃金業者等の都合で140万円以下にしてしまえば、司法書士として債務整理ができていたということになります。

2016年6月の判決と、報酬返還の弁護士の存在を多くの人が知ることで、返還請求に乗り出してくる人は一定数いると考えられます。
この場合司法書士としては債務整理で利益を出していくどころか、これまでの債務整理が大きく足を引っ張ってしまう可能性すらあるということです。

※当然どのような人でも請求できるというわけにはいかないでしょう。しかしこのあたりは弁護士がしっかりと説明してくることが予想できるので、情報として多くの人が入手できるようになるのは時間の問題とも言えます。

司法書士が債務整理を大きく宣伝していける時代は終わった?

このようなことから債務整理については、司法書士よりも弁護士に依頼をしていく時代になったと考えることもできなくはありません。
しかし小額であれば司法書士も十分に仕事として請負っていくことはできます。
司法書士であると、依頼する際の料金が低いこともあり、一概に債務整理は弁護士に!・・・とは言えないでしょう。

ただ、間違いなく司法書士が受け持つ債務整理の案件数は減っていくと考えられます。

・心無い専門家により司法書士の債務整理は厳しい見方をされている面もある

2016年6月の判決とは別に、司法書士の債務整理というのは厳しい見方をされている面があります。

それは一部の心無い専門家による、非道な報酬体系設定です。140万円以下の借金に限定して債務整理を請負っているとしても、司法書士に対しての報酬で異様に高額な金額を設定していたりする司法書士が一部存在していました。(現在でも存在している可能性はあるので注意が必要です)このようなことから、司法書士ではなく、弁護士を頼ったほうが良いとする人は少なくありません。

・弁護士のほうが何かと便利と考える人もいる

また140万円という制限があることに、苦言を訴える人もいます。
というのも、借金の金額というのは、自分自身で正確に把握することが難しく(金額が大きくなればなるほどこの傾向は強くなります)それゆえに、気づいたら140万円以上あったということも珍しくありません。
このような場合弁護士であれば問題なく、依頼できるのですが、司法書士の場合、別に弁護士を探すという余計な手間が出てきてしまうことになります。
急いでいる場合には、なおさらこの点はデメリットになってしまうこともあるでしょう。

債務整理をしたくて司法書士になることはあまりオススメできない

債務整理を仕事のメインにしようと思っている場合には、弁護士が間違いなく良いでしょう。弁護士であれば、大きな制限というのは存在せず、基本的にどのような案件でも引き受けていくことは可能となります。
しかし、債務整理をしようと思って、司法書士になるのはあまりオススメできない現状です。上記で紹介をしたように、実質業務範囲は縮小し、受けられる仕事というのは減っていくと考えられています。また、請求などのリスクもあるため、事務所によっては転職した後に、その影響を自分も受けてしまうということもありえない話ではありません。

司法書士であれば登記など別の仕事も十分にあります。それらの仕事に興味があり目指すということであれば全く問題はないのですが、債務整理をメインにしていくことはなかなか難しいと言えるでしょう。

司法書士業界としても、債務整理に力を入れていく人は少なくなっている

弁護士も司法書士も時代のニーズに合わせて、その業務範囲に変化を加えていかなければ生き残ることは難しくなってきました。
わかりやすい例としては過払い金請求です。今まで過払い金請求をメインにしていた法律事務所も、今後は違う業務で利益を得ていかなければいけないような状態です。(過払い金請求による案件はピークを過ぎており、今後どんどん減っていくと考えられているからです)

債務整理に関しての司法書士でも同様であり、今後は債務整理を専門にしていこうとする人は少なくなっていくことが予想されています。
司法書士としてどのような専門性が問われていくのか・・・これを真剣に考えないと、生き残っていくことはなかなか難しくなってしまうでしょう。

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