司法書士試験の科目の内容と学習方法について
公開日:2017/06/18 | 最終更新日:2017/06/18
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司法書士試験の科目の内容と学習方法について、確認してみましょう。
司法書士試験科目
司法書士の試験は、年1回7月の上旬に行われ、午前の部と午後の部で別々の筆記試験を行います。
午前の部(9時30分から11時30分の2時間)はマークシートによる多肢択一式により行います。科目は、憲法、民法、商法(会社法・その他の商法分野に関する法令)、刑法で出題数は35問で、内訳は、憲法3問、民法20問、商法9問(会社法・その他の商法分野に関する法令)、刑法3問となっており、配点は105点満点です。
午後の部(13時から15時の2時間)は、マークシート方式による多肢択一式および記述式(書式)により行います。科目は、民事訴訟法、民事保全法、民事執行法、司法書士法、供託法、不動産登記法、商業登記法で、出題数は、多肢択一式が35問で、内訳は、民事訴訟法5問、民事保全法1問、民事執行法1問、司法書士法1問、供託法3問、不動産登記法16問、商業登記法8問となっており、配点は105点満点です。
記述式(書式)は2問で、内訳は、記述式(書式)は不動産登記法1問、商業登記法1問となっており、配点は70点満点です。
また、口述試験が、筆記試験合格者に対して、10月中旬に行われます。不動産登記法、商業登記法、司法書士法の他、司法書士業務を行うのに必要な知識が問われます。2人の面接官が1人の受験生に口頭で回答を求め、1人約15分間行います。
司法書士試験の合格率の内訳
司法書士試験は最終合格率が3%前後という難関試験になっています。司法書士試験は何段階かに分けて、合格者を選別していく試験です。まずは、午前と午後に行われる択一式試験で基準点を超える必要があります。この基準点を超える人たちが受験者の10%といわれています。そして、択一式試験で基準点を超えた人の約50%が記述式の基準点を超えていきます。
これは、択一式試験も記述式試験も問われてくる知識が同じためです。さらに、基準点を超えた人の中で、約60%が合格点を超えるようになっています。よって、当面の目標は択一式試験と記述式試験の基準点を超えることにあるといえます。
司法書士試験に合格するための学習方法
司法書士試験に合格するための学習方法について、確認してみましょう。
まずは、主要4科目についてです。主要4科目とは司法書士試験に出題される全11科目のうち、民法、会社法・商法、不動産登記法、商業登記法の4科目のことをいいます。
この4科目の配点は全体の8割近くを占めています。よって、合格するためには主要4科目の基礎をいかにしっかりと学習するかがポイントとなります。 特に民法は全11科目の中で最も重要な科目あるといえます。民法は配点が一番高い科目であり、不動産登記法、会社法・商法及び商業登記法を理解するための前提となるためです。したがって、司法書士試験に合格するためには民法を得意科目とすることが必須条件となります。
次にマイナー科目です。
マイナー科目とは司法書士試験の全11科目のうち、憲法・刑法・民事訴訟法・民事執行法・民事保全法・供託法・司法書士法の7科目のことをいいます。
午前の部では憲法と刑法がそれぞれ3問ずつ、計6問出題されます。また、午後の部では民事訴訟法5問、民事執行法・民事保全法および司法書士法が1問ずつ、供託法が3問、計11問が出題されます。これらの科目は、配点が少ない科目ですが、点数がある程度、取れないと合格点を取ることは難しいといえます。
したがって、主要4科目の学習を重点的に行いつつ、マイナー科目もバランスよく学習するべきであるといえます。
また、司法試験における法令の問題は、毎年何かしらの改正があり、即、出題されることがあります。この法改正分野は、合格後に司法書士として、実務で活躍するためにも必要であるといえます。
他資格との関連性
司法書士試験は、他の資格の合格者が受験してくるケースが多いです。これは試験科目の類似性が影響しています。
まずは、宅建士の合格者が司法書士試験に参入してくるケースがあります。
宅建士の試験科目は以下のようになっています。
・土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。
・土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること。
・土地及び建物についての法令上の制限に関すること。
・宅地及び建物についての税に関する法令に関すること。
・宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。
・宅地及び建物の価格の評定に関すること
・宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること。
引用元:http://www.retio.or.jp/exam/exam_detail.html
上記の科目を簡潔にいうと、以下のようになります。
(1)土地、建物(2)権利関係 (3)法令上の制限 (4)税法 (5)需給・実務
(6)価格評定 、(7)宅建業法となります。
権利関係で学習する民法や不動産登記法は司法書士試験においても、主要4科目の中の1部に該当します。
特に民法は初めて学習する人にとっては、かなり苦労する科目です。しかし、宅建試験で権利関係を学習した人にとっては、一度、確認した事例が司法書士の学習でも出てきます。よって、有利に学習をすすめることができます。
また、宅建の知識は、司法書士とのダブルライセンスで活躍する上で、非常に役立ちます。具体的には、司法書士の業務の中でメインとなる不動産登記業務は、正確な登記申請をするために、登記発生の原因である不動産取引に強いことが要求されます。よって、不動産取引を学習する宅建の知識は司法書士開業の上でも必要な知識となるといえます。
また、宅建士と並んで、行政書士試験の合格者も司法書士試験に参入してくるケースがあります。
行政書士の試験科目は以下のようになっています。
(科目) 行政書士の業務に関し必要な法令等(出題数46題)
(内容) 憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。)、民法、商法及び基礎法学の中からそれぞれ出題し、法令については、平成28年4月1日現在施行されている法令に関して出題します。
(科目)行政書士の業務に関連する一般知識等(出題数14題)
(内容)政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解
引用元:http://gyosei-shiken.or.jp/shiken/index.html
特に民法は、司法書士試験の主要4科目の中の1部に該当しているため、宅建士と類似しているといえます。行政書士試験合格者は、宅建士と同様に民法の学習を有利にすすめられるため、学習負担が軽減され、他に科目に学習時間を割くことができます。
また、憲法は、マイナー科目ではありますが、司法書士試験の科目となっています。
そして、他の資格に合格しているということは合格体験を積んでいるということになります。よって、資格試験の合格に向けての精神面の調整や、本試験においても、試験の感覚をつかんでいるので、自信をもって臨めるといえます。
さらに、司法書士として、実務を行う上で、宅建士や行政書士とダブルライセンスでいることは仕事の幅も広がり、相乗効果を得られるといえます。
まとめ
司法書士試験は難関試験であり、取り組みにくいといえます。しかし、最大のポイントで
ある民法をしっかりと学習できれば、有利になってくるといえます。民法の基礎固めとして、宅建士や行政書士を学習してから、司法書士の学習を行うのもよいでしょう。段階を踏んでいくことで難関試験である司法書士試験も突破できるといえます。
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