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司法書士研修

司法書士試験合格後の研修・就活時期について

2017年6月27日
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公開日:2017/06/27 | 最終更新日:2017/06/27

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司法書士試験合格後に受ける研修の種類や資格を維持する為に必要な事について、就職活動の時期について、確認してみましょう。

新人研修

新人研修は、中央新人研修とブロック新人研修の2つがあります。
中央新人研修は、全国を東西2つの地区会場(原則、現住所により)に分けて行われる研修です。
最近では、前期(3日)と後期(4日)に分かれ、後期は8会場で開催されています。前期は、12月下旬で、東・西地区会場で開催日程は異なります。後期は1月下旬で、会場は北海道、東北、東京、中部、近畿、中国、四国、九州の8つになります。

ブロック新人研修は、8つのブロック(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州)に分かれて行われる、より実務に即した研修になります。場所は選択可能で開業予定地での受講が勧められ、日程はブロックごとに異なります。
新人研修については、受講をしていない場合、司法書士登録をする際に次年度以降の研修受講を求められ、未受講の追跡が研修を受けるまで行われます。よって、早めに受講しておいたほうがよいでしょう。

受講料は、新人研修が43,200円、ブロック新人研修が32,400円で、ホテルの宿泊代や書籍代、懇親会費もかかり、20万円ぐらいは見込んでおいたほうがよいでしょう。金額の負担が大きいので、司法書士会連合会では、中央新人研修受講者を対象に、研修費用貸付制度「司法書士研修費用専用ローン」の案内もされます。

特別研修

簡易代理認定司法書士になるには、日本司法書士連合会による特別研修を修了する必要があります。この特別研修は、新人研修直後に実施されますが、新人研修とは異なります。特別研修は合計で100時間受講する必要があります。内容としては、民法・商法・民事訴訟法等を前提に、民事訴訟実務の基礎を学習します。訴訟物や弁論主義といった基礎的な概念と要件事実の意味あるいは攻撃防御の基本構造等を学習します。
また、講義の他にグループデイスカッション、模擬裁判があります。この特別研修を受講することで裁判実務の素養を短期間で身につけることができます。実施時期は、1月下旬から3月初旬で、課題も多く、密度の濃い内容となっています。

グループ研修では、事務所や住所が近い司法書士5~6人のグループが作られ,そのグループに簡裁訴訟代理人であるチューターが1人付きます。グループは,週3~4日(平日は夕方,土日を含む。)くらいのペースで,チューターの指導の下,配布されたテキストにより,質疑応答や討論などを行います。

そして、宿題や課題も出されます。すでに開業している研修生にとっては負担も重くスケジュール的に極めてハードな研修となっています。ただし、研修の中身は濃く内容も充実しており,力がつく研修といえます。
原則として、すべての研修に出席しなければならず,遅刻や早退や欠席は一切許されないという厳しいものになっています。特別研修の費用は145,000円となっており、新人研修と合わせると、35万円ぐらいの見込みとなります。

認定考査

特別研修を終えると,最後に,研修等によって簡裁訴訟代理人たる実力を備えたかを試すための認定考査があります。この認定考査は、毎年異なる問題が出題されます。試験問題は事例形式で解答は論述形式となっています。認定考査に合格しないと簡裁訴訟代理人にはなれません。また、必ずしも高度な知識は求められませんが、正確な知識や論点把握の能力を備えていないと、考査の設問に的確に答えることは難しいでしょう。
ただし、認定考査の合格率は、ほぼ60%前後となっています。合格基準点は、70点満点中40点で合格でした。この考査は、絶対評価の試験といわれています。よって、他の受験生の出来不出来に関係なく、合格できるようになっています。

認定考査の合格対策として、指定書籍を抑えて学習する必要があります。指定書籍の中で重要なのは、「司法書士簡裁訴訟代理等関係業務の手引き/日司連/日本加除出版」と「要件事実の考え方と実務/加藤新太郎/民事法研究会」の2冊になります。
また、資格学校で、司法書士講座を開講しているところであれば、認定考査の対策講座も実施しているので、受講を検討してもよいでしょう。

簡裁訴訟代理人資格の効果

法務大臣の認定を受けた司法書士は,簡易裁判所において取り扱うことができる民事事件(訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件)等について,代理業務を行うことができます(簡裁訴訟代理等関係業務)。 

簡裁訴訟代理等関係業務とは,簡易裁判所における(1)民事訴訟手続,(2)訴え提起前の和解(即決和解)手続,(3)支払督促手続,(4)証拠保全手続,(5)民事保全手続,(6)民事調停手続,(7)少額訴訟債権執行手続及び(8)裁判外の和解の各手続について代理する業務,(9)仲裁手続及び(10)筆界特定手続について代理をする業務等をいいます。 

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji116.html

また、簡裁訴訟代理人の資格は,取得後に司法書士業務でどれだけ有効に活用できるかが大切です。特別研修の中の、グループ研修でともに学んだ仲間やチューターの先生等は貴重な人脈となります。実務でわからない部分は、この人脈を生かすことで、聞くこともできます。
よって、特別研修に参加して、認定考査を受けて、合格し、簡裁訴訟代理人の資格をとることで、司法書士として実務を行う上で、プラスになるといえます。

単位会研修と配属研修

単位会研修と配属研修は、実施時期、期間、カリキュラムが各司法書士会によって、異なります。よって、就職や開業を考えている地域の司法書士会に問い合わせたほうがよいでしょう。
この研修は、実際に司法書士事務所で1~3か月程度働き、現場の雰囲気にふれ、実務を学ぶための研修です。なお、研修のため、給料は支給されません。

配属研修は単位会の研修と切り離されているものと、単位会の研修に組み込まれているものがあります。後者の場合、配属研修を受講しないと単位会の研修を修了したことにならないので、司法書士登録をする際の弊害になる可能性があり、注意が必要です

就職活動のタイミング

司法書士受験生の就職活動と仕事開始のタイミングについて、確認してみましょう。
筆記試験の合格発表前(7月~9月)ぐらいに行う人は、合格の基準点を上回り、合格だろうという感触を持っている人です。この場合、筆記試験の合格発表前から就職活動を始めて、内定をもらうことが多く、優秀な人といえます。

また、筆記試験の合格発表後から研修開始前(10月、11月)ぐらいに行うのは、都市部の人が多いです。働き始める時期は、内定後、すぐという場合と、研修がひと通り終わってからという場合に分かれます。

そして、研修終了後~認定考査まで(3月~5月)ぐらいに行い、就職が決まった場合、すぐに働き始めるか、認定考査終了して、配属研修終了後に働き始める人が多いです。
いずれにしても、なるべく就職に関する情報は早めに集めるべきでしょう。人によって、事情が異なり、どの時期がベストということはありません。ただし、人気の事務所は良い人材を早めに採用して、求人を早めに締め切る傾向にあります。よって、特に大手の人気事務所を狙う場合は、早めに就職活動を行うべきでしょう。

まとめ

司法書士試験合格後も、様々な研修が用意されています。特に特別研修は大変ですが、人脈も築ける上に、認定考査も合格すれば、認定司法書士になれて、仕事の幅も広がるので、ぜひ、簡裁訴訟代理人資格をとるようにしましょう。

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