弁護士の知財案件の求人について
公開日:2017/05/08 | 最終更新日:2020/09/11
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1 知財案件における弁護士の役割
知財案件における弁護士の業務はまず、訴訟に問題を発展させないことです。企業が何かしらのビジネスを行う場合、知的財産権の問題は何かしら発生する可能性があります。分かりやすいもので言えば、特許権の侵害や、写真や文書といった著作権の侵害などです。
企業の顧問弁護士であれば、企業から相談を受けた場合に、これらの侵害にならないようなモデルや商品の管理、ホームページの管理などについて適切なアドバイスを行うのが中心業務です。
逆に、顧問先の知的財産権が侵害されているような場合には、可能な限り早く内容証明郵便を送付し、警告や当該侵害の防止(例えば、著作権侵害のコンテンツの削除)を求めていくことになります。その上で、適切な対処がなされないようであれば、訴訟提起、というステップに入ることになるでしょう。
また、いざ訴訟になった場合には適切に対処する必要があります。
知財案件の場合、訴訟まで行ってしまうと、その金額も多額になることが少なくありません(そもそも、知的財産はその価値の算定が難しく、高額に認定されがちな傾向にあります。)。また、非常に専門的な知識が要求される分野であることは、東京地方裁判所が、知財専門部を設けていることからも明らかです。
ここに、知財に特化した弁護士の需要があります。
特許出願の仕組みや、知的財産権全般に関しての、判例に関する知識、法律の知識、ガイドラインの知識やこれらのリサーチ能力が問われることになります。
こういった知識や実務経験は一般民事事件を扱う法律事務所では中々時間も割くことができず、身に着けることは難しいでしょう。
裏を返して言えば、依頼者側からすれば、どの弁護士に依頼するかによって、その効果・結果に非常に大きな差のつく分野、ということができるのです。
2 求人について
地方と東京などの首都圏で大きく事情は異なります。地方であれば、法律関係に関する何でも屋さん的な役割を担っている法律事務所が多いのに対し、東京などの首都圏は、法曹人口の増加に伴う弁護士の飽和状態が発生しています。
そのため、顧客の奪い合いが起きているのが現状です。分かりやすい例でいえば、刑事事件の際に、国選弁護は通常、(東京弁護士会所属であれば)年に4回程度割り振られるのが通常の配分です。割り振られた弁護士は、その当日に法テラスへ行き、事件の配点を受けることになるのですが、基本的には、割り振られている弁護士の数よりも多くの事件が日常的に(東京の場合)発生しています。そうすると、必然的に事件の余りが発生することになります。その余りについて、弁護士がむらがる、といった事象が実際に発生しているのです。それだけ、東京などの都心部での弁護士の生存競争も熾烈を極めているといえます。
そこで、そういった競争を勝ち抜くべく、ブランディング化され、特定の専門分野で高度の法的サービスを提供する、いわゆるブティック系の法律事務所が誕生しています。
知財系、特に特許に関しては、この傾向が非常に顕著に表れている一分野です。
「●●特許法律事務所」等と名乗っている法律事務所も存在する位です。知財を扱う弁護士を目指すのであれば、こういったブティック系法律事務所を狙うことになります。上記したように、法律事務所の分業化、特に知財分野のように、ブティック化が進んでいる分野においては、その分、求人も多くなっている傾向にあるといえます。
そもそも知的財産権は、様々な権利の中では後発の、まだ新しい分野であり、今後も様々な権利が発生することが考えられます。技術の進歩と共に変化していきますので、そういった意味でも、ブティック型法律事務所の需要はまだまだあると考えられますし、そういった法律事務所を求める企業も数多く存在するといえるでしょう。
逆に、地方でこういった法律事務所を探すのは困難といえます。特に知財系であれば、企業で知財を扱うような部門の大多数が東京や大阪などの大都市圏に集中している(基本的には会社の本部にあるので)ため、生計を立てるのが困難になりかねません。
また、ブティック系の法律事務所に入所すると、基本的には、その分野の案件ばかりを扱うことになります。すなわち、他の案件に中々触れる機会がなかったり、場合によっては、裁判所に出廷することすら、中々ない、といったこともあり得ます。
こういった点と自身がどのような弁護士になりたいのか、を踏まえて、求人に対する就職活動をしていくことになるでしょう。
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