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マーケティング弁護士

弁護士業界のマーケティングについて

2016年12月19日
marketing

公開日:2016/12/19 | 最終更新日:2016/12/19

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そもそもマーケティングが行なわれている業界なのか

弁護士、と一言にいっても、様々な仕事の仕方があります。町の何でも屋さん的な仕事をしている弁護士もいれば、●●専門、とブランディングしている弁護士、企業を相手にしかしない弁護士等、その仕事の形態は様々です。

一昔前であれば、弁護士の数がそもそも少なく、このような特徴は4大法律事務所や外資系の事務所を除いてほぼありませんでした。
しかし、新司法試験が開始されて以来、弁護士の就職難、あるいは弁護士の年収が下がってきている現代においては、だいぶマーケティングもできる業界に変わりつつあります。

地方と東京のマーケティング

地方と東京ではそもそも弁護士の仕事のやり方が違います。このことをしっかりと認識する必要があります。地方の弁護士は東京の事情をよく知らないのに対し、東京の弁護士もまた、地方の事情をよく知らないことが少なからずあるのです。

(1)地方の場合
地方はまだまだ弁護士の数が不足している地域が少なくありません。また、裁判所の本庁が置かれているような場所であっても弁護士の数が数十人単位であったり、多くても数百人単位の場所が数多くあります。
そのような場所では、中々マーケティング、というのは難しいのかもしれません。基本的には、弁護士もマチ弁、すなわち、BtoCの実務を扱っている弁護士の数が多く、企業法務を中心に据えている弁護士はほぼいない(そもそも会社の法務部のほとんどが東京に集中してしまっているという事情があります。)、といえるでしょう。

マチ弁の中でも地場産業の企業を顧問先にしたり・・・ということはありますが、●●業界専門、といった弁護士はほぼ存在しません。
また、地方で今後、弁護士業務として発展が見込めるのは特に成年後見の分野です。平均寿命が延び、また、田舎の過疎化が進む日本の現代社会においては、老人が地方に取り残される構図がどんどん広がっていきます。

そうした中で、(司法書士との競合という問題はあるにせよ)弁護士業務の中で成年後見業務を積極的に取り扱う法律事務所は増加することが考えられます。同様の理由で、遺言執行業務、相続関係の業務も増加することになるでしょう。
地方における業務のブランディングはこの程度が限界といえます。

(2)東京の場合
東京の場合は、そもそも法律事務所が多種多様に存在しています。
まず、テレビCMをやっているような法律事務所は、地方の法律事務所の東京版といえます。こういった法律事務所は一時期の過払い金ブームに乗ってその勢力を拡大してきましたが、現在、過払い金のブームは去っており、地方の法律事務所のように何でも受ける法律事務所、という形態になっています。特徴としては、テレビCMをやっているだけあって、案件は豊富であることと、積極的に支店展開を行っていることでしょう。もっとも、業務そのものの特徴、というと地方の法律事務所のように、中々表現しにくいものがあります。

次に4大法律事務所のような法律事務所です。
これらの法律事務所は基本的にはBtoBしか扱いません。企業法務を根幹に据え、企業間のM&Aや知的財産トラブル、企業から依頼された訴訟、等が中心的な取扱い分野になります。こういった分野を取り扱える法律事務所の数は少なく、特にデュー・デリジェンスに関してはそれだけのマンパワーも投入することができる、という意味で非常に特徴がある事務所です。逆に言えば、訴訟を扱いたい弁護士は訴訟部に配属されない限り、これらの法律事務所では法廷に立つことはありません。こういった特徴も把握しておくとよいでしょう。

次にブティック系、と呼ばれる法律事務所があります。これが最も大きな東京の法律事務所の特徴でしょう。ブティック系、には様々なものが存在しますが、東京で特に中心視されるのは労働系のブティック事務所と倒産系のブティック事務所です。
ブティック系、つまりはその分野専門の法律事務所としてやっていくためには、それなりに大きな顧客を獲得する必要があります。質・量共にある程度の担保がなければ、その分野だけで食べていく、ということは困難です。
こういった法律事務所は既に確固たる地位を築いている法律事務所、ということになりますので、ここに新興の法律事務所が割って入るのは中々難しいといえます。

新興の法律事務所がこういったブティック系法律事務所を目指しているような場合はIT企業等の新しい産業の企業を顧問として獲得していくのが主たる方法になります。
最も、新興企業についても結局のところ、求められる能力は労働等の既存のブティック系法律事務所が持つ能力、ということになります。基本的に東京で企業法務を扱う上では労働法の知識・経験は必須、ということになります。
そうした事情を踏まえて、ブティック系を目指している新興の中小規模の法律事務所も少なくありません。もちろん、ここでも競争が発生することにはなります。

また、東京にも中小規模の法律事務所のマチ弁も存在します。こういった法律事務所は、東京の中心部(弁護士業界の場合、中心部とは、裁判所のある霞が関周辺、具体的には銀座や新橋、虎ノ門ということになります。)からは少し距離を置いた場所に事務所を構えていることが多いです。
人口が多いこともあり、事件の数はそれなりにありますし、特に多摩地区などでは地方同様、今後は成年後見や相続に関する仕事が増えていくことが見込まれるでしょう。

弁護士としてどういった能力を身に着けていくか、という視点

マチ弁的な法律事務所や、テレビCMをしているような法律事務所では、幅広くBtoCの事件の能力は身に着けることができます。最も、BtoBの能力をこういった事務所で身に着けることは中々難しいと言わざるを得ません。
逆も然りではありますが、マチ弁の弁護士が扱うようないわゆる一般民事事件はある程度ものの本に書いてあることが多く、何とか対応できる、といえます。

もちろん、それぞれの弁護士個人個人に目指す弁護士像、というものは存在するのですから、それを目指して、どういった法律事務所に勤務するのが最適なのか、これをしっかりと見極めて判断していく必要があります。
その前提として、このような業務のマーケティングというのは有用といえるのではないでしょうか。

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