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弁護士独立

弁護士の独立について

2017年3月9日
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公開日:2017/03/09 | 最終更新日:2017/03/09

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弁護士の業務形態を知る

一言に弁護士、といっても、法律事務所ごとに様々な雇われ方をしています。
若手弁護士、特に登録後10年目以内の弁護士はその多くが勤務弁護士、いわゆるイソ弁という形態で事務所に勤めています。
イソ弁というのは、基本的には固定の給料(扱いは給与かどうかは別として)を貰いながら、事務所の仕事を中心に行い、これ以外に個人事件、要は紹介などを通じて●●先生にお願いします!という事件を事務所の仕事とは別に行います。

この際、イソ弁であっても、事務所の機材や電話や消耗品、そして事務員の方にも仕事をお願いすることになることから、個人事件の収入の何割か(多くは2~3割、としているところが多いようです。もっとも、100%事務所に入れるという法律事務所もあったり、半分を・・・という事務所もあります。また、大手事務所はそもそも個人事件の受任を許していないようなところもあります。)を経費として事務所に納める、という形で勤務している弁護士です。

この形態の弁護士の場合、特に法人化しているような法律事務所であれば純粋な雇用契約を締結し、労働者として勤務している弁護士もいるようです。

次に、ノキ弁、という働き方があります。
これは、法律事務所に席(ノキ)だけおかせてもらい、実際には事務所の中で独立しているような状態です。
完全な独立と異なるところは、基本的にノキであっても、そのボスの先生のところに来る事件を振ってもらえたり、その中で指導してもらえるところです。もっとも、基本給のように、一定の収入が保障されているわけではありません。
OJTを賃金を保障されずに行う、といったような形でしょうか。

こういったイソ弁、ノキ弁をある程度の期間経験していくと次にくるのが、独立するのか、それとも他の人と共同で事務所を立ち上げるか、その事務所で経営者(パートナー)としてやっていくか、という選択肢を選ぶことになります。
もちろん、場合によってはイソ弁でずっと通す、という弁護士もいるでしょうが、弁護士業界ではまず少数派といえます。

独立のタイミング

まず、独立する、というのは、自分の城を持つ、つまり、上司のコントロールなくして事由に仕事ができる、ということになります。
弁護士は基本的に個人事業主なので、こうなれば、仕事をやりたいとき(やらなければならないとき)にすればよく、時間的に拘束されることがなくなる、というわけです。

もっとも、独立するということは客がいなければ、食べていけなくなることを意味します。地方であれば、現在でもまだまだ弁護士不足の地域が多くあり、そこで独立開業するだけで、弁護士会の仕事、国選弁護の仕事、ネット集客、街の相談所として仕事を得ることは可能でしょう(若手の独立した弁護士にどこまで継続的に頼みたい顧客がいるかは別問題です。)。
しかし、東京をはじめとする大都市圏ではそうはいきません。

新司法試験制度導入以降、法曹人口が増加しており、大都市圏では弁護士間の仕事の奪い合いが発生しています。国選弁護・当番弁護も名簿に登録しているというだけでは年間4件程、金額にすれば60万円前後しか手にすることができません。
そうすると、独立する際には、自分に顧客が付いてくる、特に顧問先が付いてくる、といった自信が必要になるでしょう。

タイミングとしては、最初はボスのお客さんに全力を尽くし、その上で新たに顧客を紹介してもらい、その顧客をボスとは異なる、独自の顧問先として開拓していくのが通常のルートであり、この方法で生計が立つ、と判断できるタイミングでの独立、というのがベストになると思われます。

独立の形態~共同経営やパートナー~

独立する際、近年よくある形態と言われているのはロースクールの同期同士での独立といったように、弁護士一人で法律事務所を立ち上げるのではなく、複数の弁護士で共同して法律事務所を立ち上げる、という形式です。
この形式が近年数多くあるのは、法律事務所立上げの際のリスクを分担できることが大きいのでしょう。

例えば家賃や事務員の方の給料といった経費を一人でやるよりは安く抑えることができます。また、仮にそのうちの一人の弁護士が十分な顧客を獲得できなかったとしても法律事務所内で事件・顧客を融通しあうことができるのです。
そうすると、独立して顧客がなく、失敗する・・・という可能性を減らすことができます。もっとも、この方法によるのであれば一気に収入を上げることを見込むことはなかなか難しく、事務所全体として売り上げを上げていくことをまずは図り、その結果として収入増、ということになるでしょう。

これに対し、事務所の外に出ずに、事務所内で経営者になる=パートナー弁護士になる、という方法もあります。この方法であれば、それまで当該弁護士が背負ってきた法律事務所の看板をそのまま背負いながら仕事を続けることができます。ボスの力を残しつつ、自身の顧客開拓をできる、というのが大きなメリットです。もっとも、この場合は固定の経費負担をする必要があります。

また、パートナーとして法律事務所に残るということは、今後、今のボスの弁護士に不幸があったり、弁護士を引退するような場合にその土壌を引き継げる、という非常に大きなメリットがあります。もちろん、規模が大きい法律事務所では、相続財産争いのように、その土壌をどのように引き継ぐか、ということについて、内部の弁護士同士の非常に大きな争いがおこることは容易に想像できます。小規模事務所、特にボスの弁護士が一人、パートナーも少ない事務所であれば、その可能性は低いです。

将来的にその法律事務所に長期の勤務を予定し、パートナーになることも視野に入れるのであれば、かなり現金な話にはなってしまいますが、ボスの土壌をどのように引き継ぐ、あるいは顧問先をどのように失わないように努力するか、ということが重要になってきます。

まとめ

独立、と一言に言っても、それまでの当該弁護士の勤務形態、そして独立形態、だけでも様々な場合分けができます。
もっとも、独立すると、ボスの後ろ盾が少なくとも弱まることは共通事項です。
それだけの責任が生じますので、その責任に見合った仕事をする自信をつける事は必要でしょう。

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