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司法書士簡易裁判所

司法書士が行う簡易裁判所での業務について

2017年7月5日
interview

公開日:2017/07/05 | 最終更新日:2017/07/05

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司法書士が行う簡易裁判所での業務について、簡裁訴訟代理等関係業務を中心に、弁護士業務と比較しながら、確認してみましょう。

簡易裁判所とは

簡易裁判所は裁判所の中で、最下級に位置する下級裁判所です。日常生活の中で起きる被害や損害がわずかな場合の、民事事件や刑事事件を時間をかけずに処理するための裁判所です。
また、簡易裁判所は比較的敷居も低く、60万円以下の小額訴訟だと、1度の審理で即日判決が出る制度もあり、アパートの敷金を巡るトラブルなどでよく利用されています。

『貸したお金が返済されない』『売買代金が支払われない』『家賃を滞納されて困っている』『敷金を返してくれない』『賃貸契約を解除して部屋を明け渡してほしい』『給料が支払われない』などというトラブルのときは、140万円以下であれば簡易裁判所で訴訟を起こすことが出来ます。

提出する書類の書き方の雛形が裁判所にありますし、記入方法、提出方法などは聞くと丁寧に教えてくれますが、自分で手続きをする自信がない人は、司法書士に依頼するという手段もあります。弁護士だと費用も気になるし、ちょっと気後れがするという人は、弁護士よりも費用がかからず、書類などを全て任せられる司法書士がいいでしょう。
ただし、140万円を超える案件は、司法書士では扱えませんし、簡易裁判所ではなく、地方裁判所になります。

引用元:http://www.courtjp.com/kind/summary.html

簡易裁判所における民事事件
簡易裁判所の民事手続には,民事訴訟、民事調停、支配督促といったものがあり,利用者の方が紛争の内容等に応じた便宜な手続を選択することができます。

 また,簡易裁判所では,日常生活における紛争を取り扱う身近な裁判所として,利用しやすく分かりやすい手続を実践するために,様々な工夫を行っています。例えば,裁判所の利用経験がなく,また,法律に詳しくなくても,気軽に裁判所を利用できるように,窓口では,手続を分かりやすく説明したリーフレット,書き込むだけで簡単に裁判所に提出する書類が作成できる定型訴状や定型調停申立書を備え付け,手続に関する相談や説明も行っています。

http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_minzi/minzi_04_01/

司法書士の簡裁訴訟代理等関係業務の認定
 法務大臣の認定を受けた司法書士は,簡易裁判所において取り扱うことができる民事事件(訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件)等について,代理業務を行うことができます(簡裁訴訟代理等関係業務)。 

簡裁訴訟代理等関係業務とは,簡易裁判所における(1)民事訴訟手続,(2)訴え提起前の和解(即決和解)手続,(3)支払督促手続,(4)証拠保全手続,(5)民事保全手続,(6)民事調停手続,(7)少額訴訟債権執行手続及び(8)裁判外の和解の各手続について代理する業務,(9)仲裁手続及び(10)筆界特定手続について代理をする業務等をいいます。 簡裁訴訟代理等関係業務は,業務を行うのに必要な能力を有すると法務大臣が認定した司法書士に限り,行うことができるとされています。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji116.html

民事訴訟手続

司法書士が簡易裁判所において、関わる業務として、民事訴訟手続があります。
民事訴訟手続の内容は以下のようになります。
民事訴訟手続は,個人の間の法的な紛争,主として財産権に関する紛争を,裁判官が当事者双方の言い分を聞いたり,証拠を調べたりした後に,判決をすることによって紛争の解決を図る手続です。例えば,貸金の返還,不動産の明渡し,交通事故等に基づく損害に対する賠償を求める訴えなどがあります。

 簡易裁判所の訴訟手続においては,一般の方々の意見を反映した適切で合理的な解決を図ることができるように,良識ある一般市民から選任され、司法委員を審理に立ち会わせ,その意見を聞いて判決を言い渡すことができますし,和解に協力させることもできます。

http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_minzi/minzi_04_02_05/index.html

弁護士と司法書士の違い

弁護士は法律業務をすべて取り扱うことができますが、司法書士は、法律で定められた分野のみを扱うことができます。
司法書士が原則として、供託や登記を扱う資格です。ただし、法務省の認定を受けると、認定司法書士として、一定の範囲で紛争解決業務を扱うことができます。

弁護士とは,司法試験に合格し,最高裁判所の司法研修所を卒業して、弁護士会に登録した者になります。また、弁護士は、裁判官や検察官と合わせて、法曹と呼ばれ、法曹資格が与えられます。弁護士は、広範で高度な法律知識やスキルが担保されています。また,弁護士会には強い独立性が確保されており,行政の介入が排除された状態で、権利の救済活動ができます。

一方で、司法書士とは,法務省が実施する司法書士試験に合格し,司法書士会に登録した者です。司法書士は、法務省で一定の研修や考査を受けた場合、認定司法書士として簡易訴訟代理等関係業務を行ことができます。その認定を受けた司法書士を認定司法書士といい、認定を受けていない司法書士は140万円以下の事案でも交渉・和解・訴訟代理はできないです。

司法書士制度は、弁護士のような十分な能力とスキルを担保する資格制度や教育制度ではありません。また、司法書士会は法務省の監督下にあり,行政の介入が排除されていません。 そして、認定司法書士でも、少額・簡易・定型的な事件の代理に限定する制度上の制限があります。
具体的には、以下に挙げる事件の相談・交渉・和解・代理を行うことができません。

・140万円を超える民事事件(地方裁判所)
・控訴審(高等裁判所・地方裁判所),上告審(最高裁判所・高等裁判所)
・家事事件(家庭裁判所)
・行政事件
・刑事事件
・強制執行(地方裁判所)
・破産・民事再生等の申立て(地方裁判所)

司法書士は、簡易・定型な事件を超える事件を扱うだけの能力が担保されていないので、業務範囲が限定されています。よって,司法書士が扱える案件は,事実問題や法律問題を相手方が争っていない状態で,地方裁判所への移送や控訴の可能性がない事案など簡易・定型的な事案に限定されます。

弁護士と司法書士の連携の必要性

前述したように、弁護士と司法書士はバックグラウンドが異なり、行うことができる業務の範囲も異なります。
弁護士は法律全般に対して対応し、全ての訴訟業務に関わることができ、依頼人の代理人としての立場に立てます。一方で、司法書士は認定司法書士に限って、少額・簡易・定型的な事件の代理人となることができます。

また、活動できる範囲も弁護士はすべての裁判所で活動できますが、認定司法書士は簡易裁判所に活動の場が限定されます。
よって、司法書士だけでは、全ての訴訟を扱うことはできないため、司法書士と弁護士が提携するのがベストでしょう。
たとえ、当初、簡易裁判所で扱う140万円以下の案件でも、訴訟金額が上がる可能性もあり、地方裁判所への移送もありえます。
したがって、司法書士から弁護士への橋渡しが必要であり、司法書士と弁護士が提携していれば、依頼人も安心して、訴訟の代理人をお願いできるでしょう。

まとめ

日本も最近は、アメリカなどと同じく、訴訟社会になってきています。しかし、弁護士がすべの訴訟事件を扱うには限界があります。そこで、弁護士をサポートする意味合いで、司法書士に認定司法書士という制度を設けて、簡裁訴訟代理等関係業務をできるようにしました。ただし、認定司法書士も業務の範囲は限定されているので、注意が必要です。
よって、業務の範囲を明確にして、司法書士と弁護士が提携することで、訴訟案件にスムーズに対応し、依頼人からの信頼を得ていくようにするべきでしょう。

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