東京で弁護士をやっていく為に必要なこと
公開日:2017/01/03 | 最終更新日:2017/01/03
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東京は日本最大の弁護士密集地帯
東京都には、1万5千人以上の弁護士が存在しています(弁護士会、という意味でも東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会と、三弁護士会が存在しています。このように複数の弁護士会が同じ地域に併存しているのは東京都だけです。)。
さらに、そのうちの8割は、港区・千代田区に集中しています。昨年修習を終え、新規弁護士として登録された弁護士(68期)の登録番号が52000~53000番台であり(つまりは、弁護士の累計数がこれくらい、ということになります。)、実際に現在登録している弁護士の数が3万6000人前後、という事情を踏まえても、いかに東京都、特に上記3つの区に弁護士が集中しているかが明らかになります。
ここが、地方との明らかな違いです。
地方には、いわゆるゼロワン地帯と呼ばれ、その地域に弁護士が一人いるかいないか、といった地域が今でもなお数多く存在しています。こういった地域まではいかなくとも、地方であれば、弁護士の数が少ないので、事件が弁護士の数に対して供給過多の状態にあります。
極端な話、事件・相談が弁護士のところに自然にやってくる、ともいえるのです(最近では、大規模事務所の支店出店により、若干情勢が変化してきていることも事実です。)。
もっとも、東京都においては仕事が向こうからやってくるわけではありません。弁護士の供給過多ともいえる状態なので、仕事の取り合いが勃発しているわけです。
このことを意識する必要があります。
どういった事務所に就職するか、で今後が決まっていく
仕事の取り合いに勝利し、顧客を獲得するには、何らかの特徴が必要です。
少なくとも漫然と一回限りのお客さんでしかない一般民事事件をこなしているだけでは顧客獲得には中々つながりません。
もちろん、人権派、と言われる弁護士のように、一般市民の味方でありたい!という強い意志をもって、企業相手ではなく、一回きりのお客さんで仕事をしていく、という方法もあります。現に、●●パブリック法律事務所、や法テラスのスタッフ弁護士等はそういった弁護士が就職する傾向にあるといえます。
では、そうではなく、特に企業の顧客を獲得するには何が大事なのか、というと専門性、ということになります。
ブティック型、といわれるように特定の業務に特化した法律事務所が東京には少なからず存在します。
総合デパートではなく、ブティックと評されるように、その分野のスペシャリストの集団、ということになります。
特に東京で需要が高いのは倒産法のブティック事務所や労働法のブティック事務所でしょう。
実際にどのように需要があるのか
東京は日本の首都であり、1億3000万人といわれる日本の人口のおよそ10%が集中しています。また、羽田空港、成田空港のように空の玄関口もすぐ近くに存在しますし、新幹線もほとんどの新幹線が東京駅を発着するので、遠方への出張なども非常に便利な地理にあるといえます。外国からの顧客を迎えるのにも非常に便利な地理なので、企業の本社が当然ながら集中します。
企業の本社があれば、そこには基本的には法務部があり、そこにニーズが発生します。契約書のチェック等はもちろんですが、それ以外に特に重要になってくるのが、上記二つの専門性となります。
(1)倒産法務
失われた10年といわれるように、日本経済は未だに立ち直ったとは言い切れない状況にあります。確かにアベノミクスといった効果は一定程度出ているのでしょうが、やはり、倒産する会社、再生を図りたい会社、というのは少なくありません。そこにニーズが存在する、ということになります。
会社からすれば、万が一の備えとして倒産法務の知識・経験が豊富な弁護士を顧問にすることは最低限のリスクヘッジです。
また、本社以外の子会社の倒産といった場合についても対応してもらえることになります。
弁護士側からみれば、まず、倒産法務の知識・経験(ブティック型としての経営)があることで上記のような顧客を見込むことができます。
また、それ以外にも、破産管財人の講習を登録3年目以降に受ける(毎年1回施行されています。)ことで、破産管財人に登録されます。事務所のネームバリューももちろんですが、そこで経験を積むことにより、管財人としての信頼を裁判所から獲得することができます。
管財人報酬は個人申立ての破産事件であれば最低20万円、と少額ではありますが、大規模な会社の倒産・再生(記憶に新しいところでは、JALが再生手続きを行った、等ということもありました)であればそれなりの報酬も発生します。
このように、倒産法務については企業と共に需要が存在する、といえます。
(2)労働法務
もう一つ、企業が存在すると当然に発生するのが労働問題です。
使用者と労働者、立場が違えばそれなりにいろいろな問題が存在します。最も問題が顕著になるといえるのは、労働者が企業に解雇されたような場合です。
日本の雇用システムは基本的に、定年退職までの長期雇用を予定しています。
そうすると、企業としても労働者を解雇するにはそれなりに慎重に手続きを踏む必要があります。
そこで弁護士の出番、ということになります。いかにして労働紛争を未然に防ぐのか、発生してしまった労働紛争をいかに公にせず、迅速に終了させるのか、といった点について知恵を絞ることになります。企業、特に東証一部上場企業のような大企業にとっては、基本的には訴訟に持ち込まれ、企業の評判が下がり、その結果株価が下がる、といった事態を未然に防ぎたいわけです。このような視点での解決方法を模索します。
同様に、解雇ではなく、例えば未払い残業代の支払請求、のような問題も存在します。
つまり、企業が人を雇用している以上、何らかの労働紛争に発展する可能性は常にある、といえるのです。
ここで気を付けなければならないのは、労働法務の場合、労働者側につくのか、使用者側につくのか、ということです。
このスタンスをハッキリさせないことには、どちらの味方なのか、スペシャリストなのか、といったことが曖昧になってしまい、中々顧客獲得につながりません(もちろん、両方をこなす事務所も存在はします。)。
まとめ
このように、東京で継続的な顧客を獲得するには上記2つのような専門性を獲得し、弁護士として活動していくことが重要になります。
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