司法書士の仕事について業態別に解説します!
公開日:2016/08/31 | 最終更新日:2016/12/08
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司法書士の仕事を業態・ポジション別に解説した記事です。これから司法書士を目指す方や資格を取得して就職・開業をお考えの方の参考になれば幸いです。司法書士の仕事を業務内容やポジション・年収など様々な角度から分析していきましょう。
司法書士の仕事の種類について
司法書士は専門的な法律の知識に基づき登記や供託の代理、裁判所や検察庁、法務局に提出する書類の作成提出などを行います。司法書士として開業するには司法書士法に基づく国家資格を取得する必要があります。司法書士の仕事を大きく分けると下記のように分類できます。
- ・土地・建物の登記(不動産登記)
- ・会社の登記(商業登記)
- ・企業法務
- ・裁判業務
- ・成年後見
- ・債務整理
司法書士事務所を開業する方であれば司法書士業務全般を行うことは珍しくありませんが、勤務司法書士の場合、どの業務を選ぶかによって働き方や求人の数なども大きく変わってきます。ここからは業務別で仕事内容や求人動向などを解説していきます。
土地・建物の登記(不動産登記)
■不動産登記とは?
不動産登記とは、不動産(土地と建物)の面積や所在、所有者の住所・氏名をを登記簿(不動産に関する権利関係及び物理的現況を記載するために設けられた登記所が保管する帳簿)に記載することをいいます。 登記簿は一般公開されているので、その不動産の権利関係などの状況が誰にでもわかるようになっています。 不動産登記は不動産取引の安全性と円滑をはかる役割をしています。
■不動産登記における司法書士の仕事
不動産が売買される時には、売買代金の授受などに立ち会い、当事者本人であることや売買物件の確認、抵当権の抹消や住宅ローンの実行などを確認、当事者双方から登記手続きの依頼を受けて必要な登記の申請を行います。不動産の相続では、相続人の依頼により、相続登記の申請手続きを代行します。相続人の間での話し合いの内容による遺産分割協議書の作り方や相続放棄手続きや遺産の分割方法に関するアドバイスなども行い、相続が問題なくスムーズに行われるためのサポート役の役割を果たすことも重要な業務の一つです。
■不動産登記の求人動向
現在の不動産登記の求人は、不動産登記の中でもマンション、戸建て、相続等、いずれかに専門特化している司法書士事務所の求人が増えている状況です。いずれの事務所でも登記経験についてはさほど問われる事は無く、一から業務を教えてくれる所が多い傾向にあります。そのため実務未経験の司法書士の方にはおすすめの求人と言えるでしょう。クライアント対応が多い為、コミュニケーションスキルは重要視します。
会社の登記(商業登記)
■商業登記とは?
商業登記とは、商法・会社法その他の法律の規定により登記すべきと定められた一定の事項を、商業登記簿という国家が備えた帳簿に記録して広く一般に公示することです。商号・会社等に係る信用の維持を図り、かつ取引の安全と円滑に資する役割をしています。
■商業登記における司法書士の仕事
株式会社、有限会社等の会社や、宗教法人、NPO法人等の法人は、商号(名称)や本店所在地、資本金、役員等の法定事項を登記簿に記載して公示することが法律上義務づけられています。商業登記は下記のような場合に発生します。
- ○会社を設立したとき
- ○役員(取締役・監査役・会計参与)の氏名や住所が変わったとき
- ○会社の商号を変更するとき
- ○会社の目的を変更するとき
- ○本店を移転するとき
- ○組織(取締役会・監査役会・会計参与)を変更するとき
- ○増資・減資をするとき
- ○会社を解散するとき
司法書士はこういった登記の手続きを代行したり、会社定款の内容に関するアドバイスを行います。
■商業登記の求人動向
商業登記は不動産登記と並んで司法書士業務のメインとも言える仕事です。株式会社の設立数は平成23年から平成28年現在まで6年連続で増加しており、それに伴い商業登記の司法書士求人も増加している状況です。不動産登記の求人と違い、商業登記メインの司法書士事務所では、登記の経験を求めるものが比較的多い傾向にあります。
企業法務
■企業法務とは?
企業法務とは企業に関する法律事務全般をいいます。企業の設立、取引、人事・労務、そして解散に至るまで、すべての活動に法律は密接に関わっています。 企業法務の仕事は企業経営上、非常に重要な役割を担っているといえます。また現代の法律は、急激な経済情勢の変化や既存の法律が追いつかない新たなサービスの出現に合わせるように相次いで改正がなされており、法令遵守に対する柔軟な対応の重要性が高くなっています。
■企業法務における司法書士の仕事
企業法務における司法書士の仕事は商業登記と同じく会社設立業務や定款変更業務に加え、各種契約業務やリスクマネジメント、M&A、アライアンスなど多岐にわたります。また現在では海外展開に関する法律業務も増えてきています。
■企業法務の求人動向
法務での募集で司法書士を求める案件もありますが、登記経験を求めるというよりは、会社法に関する知識を重視する傾向にあります。昨今では企業のグローバル化が進んでいますので、英語力もお持ちの方を求める案件が増えている状況です。
裁判業務
■裁判における司法書士の業務内容
裁判業務で司法書士はクライアントが貸金や家賃・敷金、損害賠償などを裁判所に訴えや申立てをするとき、代理で書類を作成し、訴訟手続を支援します。
司法書士の裁判業務には、訴額140万円以下の訴訟代理業務(簡易裁判所に限る)と裁判所提出書類作成業務(簡裁以外も可)とがあります。
訴訟代理業務については、平成15年4月に施行された改正司法書士法により、新たに法務大臣の認定を受けた司法書士については、訴額140万円以下の訴訟代理業務(簡易裁判所に限る)が認められるようになりました。
具体的には簡易裁判所でクライアントの代わりに弁論したり、調停や和解の手続をすることができます。また代理人として相手方と和解交渉をしたり、紛争性のある事件についてのアドバイスをしたりすることが可能です。
■裁判業務の求人動向
以前は裁判系の司法書士事務所となると、債務整理をメインとした所を思い浮かべてしまっていましたが、昨今では債務整理以外の訴訟も司法書士事務所で対応する傾向にあります。いずれにしても認定考査に合格している方を求めますが、年齢と経験のバランスを重視し、若手であれば経験は問わず、一定の年齢に達している方の場合は相応の経験を求める傾向にあります。相談業務も多い事から、こちらもコミュニケーション能力を重視します。
債務整理
■債務整理とは?
債務整理とは債務=借金を整理することの総称をいいます。現在、日本には200~300万人もの人が、借金問題で悩んでいるといわれています。債務整理の方法には自己破産、個人再生、任意整理、特定調停などがあります。
【自己破産】
現在ある借金を全て処分します。返済することができない状況に陥ったことを裁判所で認められれば免責となり、借金を返す必要がなくなります。ただし資産がある場合は没収されます。
【個人再生】
借金を減額してから、その借金を3年で返済していく方法です。
【任意整理】
借金の減額、分割での支払いなどを要求します。個人での訴えは難しいため司法書士や弁護士が代理交渉するケースが多いです。
【特定調停】
裁判所で調停委員(第三者)を間に置き、債権者と交渉します。
成年後見
■成年後見とは?
成年後見制度とは精神上の障害 (知的障害、精神障害、認知症など)により判断能力が十分でない方が不利益を被らないように 家庭裁判所に申立てをして、その方を援助してくれる人を付けてもらう制度です。
成年後見は、大きく分けて「法定後見」と「任意後見」の2つに分けられます。
【法定後見】
現に判断能力が不十分な状態にある人に対して、家庭裁判所が後見人・保佐人・補助人などを選任する制度です。後見人・保佐人・補助人のいずれが選任されるかは、本人の判断能力の状態によって異なります。
【任意後見】
任意後見制度は、本人自身が、将来判断能力の衰えた場合に備えて、あらかじめ公正証書による任意後見契約によって後見人を選任しておく制度です。
最後に
ここまで司法書士の仕事について業態別に解説してきました。やはり世の中の変化に伴い司法書士の仕事も変わってきているという状況です。これから司法書士を目指す方も転職・開業される方もニーズを的確に捉え、より専門性を高めていくことが成功への近道と言えそうです。
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